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「幻想都市・妹紅編2」
玉兎「ひ、姫様!あ、あの・・・」
輝夜は縁側で五つ目の盆栽の手入れをしていた。竹林に囲まれたその庭を眺めながら作業する事を、輝夜は好んでいた。
それは閉ざされた、変わらない空間こそが永遠を、そして自分自身が刹那の時の流れを体現しているような気分になれるからであった。
そんな中、突如として現実は動き始める。
ジオフロートに、何者かが「着港」したというのだ。
姫様「船・・・?」
玉兎「そ、そうなんですよ~。」
姫様「イナバ・・・言っている意味が良く分からないわ。私たちは今、空の上にいるのよ。」
玉兎「言うなれば飛空艇・・・という感じの船です!」
姫様「あ、あー。そうかそうか、スキーズブラズニル的な?」
玉兎「えー・・・と、はい。どっちかって言うとナグルファルですが。」
姫様「そうとは限らないわよ。もしかしたら月から神が帰ってきたのかもしれないしね。」
輝夜は盆栽をほうって歩き出した。どんな物事も移り変わるもので、常に同じことは有り得ない。
輝夜の永遠という虚構の現実を打ち砕いたその須臾を、この目で早く確かめたかったのである。
藤原「・・・ハローハロー。聞こえますか宇宙人。」
姫様「なんと」
忘れられた人間、藤原妹紅がそこにいた。
輝夜の現実を殺すには格好の存在である人間の登場に、輝夜は興奮を禁じえなかった。
姫様「これは藤原さん。」
藤原「グレーのお姫様。月がどうなっているかは知ってるんでしょう。」
姫様「視えないってことくらいだけど。」
藤原「どうもおかしいと思わない?二十年前のあの日から。」
竹林が風に鳴き、異変の到来を告げるようである。
輝夜は聞き返したい気持ちを抑え、その眼に炎を湛えた人間の言葉を待った。
藤原「月は狂っている。」
姫様「おおおお」
藤原「あの光は何か禍禍しい何かよ。幻想郷の変化に呼応して、原始の光さえ届かない。」
姫様「それで?」
藤原「私はアンタが、何かしていると思っている。」
姫様「ほおほほ!」
拮抗状態の二人に緊張していた鈴仙も、輝夜があげた奇声に思わず造り物の耳を疑った。
何を震えているんだこの人は、と。
姫様「もこお、それが貴女の考え?」
姫様「ふふ、ふ、ふんくくくく・・・」
藤原「あ?」
姫様「幻想郷の変化に・・・ね・・・くっくふふくふん!」
輝夜は笑わざるを得なかった。失笑でも冷笑でもない、言うなれば暗黒爆笑である。
姫様「残念ね・・・ふふ、ん、は、ハズレよ。」
藤原「なに?」
姫様「答えは無いの。ふふふ・・・」
藤原「輝夜・・・アンタ・・・」
姫様「・・・ごめんね、分からないのよ。何も。」
輝夜は嬉しかった。この無気力な毎日に思考する術を持たなかったからである。
そしてその根本疑問を紐解こうとする、貧弱な人間が尋ねたのは、自分の所であったこと。
輝夜は少し、月の民であるというこの地位に感謝した。
自分たちのする事といえば、殺し合いだ。
ならばこの世界を殺し潰そう。
互いを殺し尽くし、飽和した二人の現実は、殺戮から始まる。
輝夜は興奮を禁じ得なかった。
輝夜は縁側で五つ目の盆栽の手入れをしていた。竹林に囲まれたその庭を眺めながら作業する事を、輝夜は好んでいた。
それは閉ざされた、変わらない空間こそが永遠を、そして自分自身が刹那の時の流れを体現しているような気分になれるからであった。
そんな中、突如として現実は動き始める。
ジオフロートに、何者かが「着港」したというのだ。
姫様「船・・・?」
玉兎「そ、そうなんですよ~。」
姫様「イナバ・・・言っている意味が良く分からないわ。私たちは今、空の上にいるのよ。」
玉兎「言うなれば飛空艇・・・という感じの船です!」
姫様「あ、あー。そうかそうか、スキーズブラズニル的な?」
玉兎「えー・・・と、はい。どっちかって言うとナグルファルですが。」
姫様「そうとは限らないわよ。もしかしたら月から神が帰ってきたのかもしれないしね。」
輝夜は盆栽をほうって歩き出した。どんな物事も移り変わるもので、常に同じことは有り得ない。
輝夜の永遠という虚構の現実を打ち砕いたその須臾を、この目で早く確かめたかったのである。
藤原「・・・ハローハロー。聞こえますか宇宙人。」
姫様「なんと」
忘れられた人間、藤原妹紅がそこにいた。
輝夜の現実を殺すには格好の存在である人間の登場に、輝夜は興奮を禁じえなかった。
姫様「これは藤原さん。」
藤原「グレーのお姫様。月がどうなっているかは知ってるんでしょう。」
姫様「視えないってことくらいだけど。」
藤原「どうもおかしいと思わない?二十年前のあの日から。」
竹林が風に鳴き、異変の到来を告げるようである。
輝夜は聞き返したい気持ちを抑え、その眼に炎を湛えた人間の言葉を待った。
藤原「月は狂っている。」
姫様「おおおお」
藤原「あの光は何か禍禍しい何かよ。幻想郷の変化に呼応して、原始の光さえ届かない。」
姫様「それで?」
藤原「私はアンタが、何かしていると思っている。」
姫様「ほおほほ!」
拮抗状態の二人に緊張していた鈴仙も、輝夜があげた奇声に思わず造り物の耳を疑った。
何を震えているんだこの人は、と。
姫様「もこお、それが貴女の考え?」
姫様「ふふ、ふ、ふんくくくく・・・」
藤原「あ?」
姫様「幻想郷の変化に・・・ね・・・くっくふふくふん!」
輝夜は笑わざるを得なかった。失笑でも冷笑でもない、言うなれば暗黒爆笑である。
姫様「残念ね・・・ふふ、ん、は、ハズレよ。」
藤原「なに?」
姫様「答えは無いの。ふふふ・・・」
藤原「輝夜・・・アンタ・・・」
姫様「・・・ごめんね、分からないのよ。何も。」
輝夜は嬉しかった。この無気力な毎日に思考する術を持たなかったからである。
そしてその根本疑問を紐解こうとする、貧弱な人間が尋ねたのは、自分の所であったこと。
輝夜は少し、月の民であるというこの地位に感謝した。
自分たちのする事といえば、殺し合いだ。
ならばこの世界を殺し潰そう。
互いを殺し尽くし、飽和した二人の現実は、殺戮から始まる。
輝夜は興奮を禁じ得なかった。
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