JR九州の説明を聞く住民ら 「お年寄りや障害者が利用しにくくなる」「安心を軽視しているのか」―。JR九州が来春から大分市内の日豊、豊肥両線8駅で無人化を計画しているのに伴い、2日に市内の沿線地区で始まった説明会では住民から批判の声が相次いだ。同社は「監視カメラの設置で安全、防犯面は向上する」と繰り返したが、出席者たちはサービス低下などを懸念し、不満を漏らした。 説明会は市の主催。この日は大在公民館や南部公民館など4カ所であった。 同社は、駅員がいなくなる代わりに、既に無人となっている市内2駅を含め、新システム「スマートサポートステーション(SSS)」を導入すると説明。券売機や精算機にインターホンを設置するなど、遠隔操作で乗客案内や安全確認に当たるほか、3人が各駅を巡回し、清掃や介助要請に対応するという。 出席した高齢者からは「1人で機械が扱えるか分からない」「利用が遠のき、免許証の返納が難しくなる」などの意見が続出。障害のある人たちは「インターホンのボタンが見えない」「音声案内が聞こえないのではないか」と指摘した。 転落防止用のホームドアの設置を求める質問もあり、同社は「金額面で難しい」と答えた。 視覚障害のある鍼灸(しんきゅう)師、森下信乃さん(47)=同市東鶴崎=は「負担を掛けないよう自分で頑張ろうとする人もいる。無人化は本当に不安」とうつむいた。 同社によると、無人化を計画している駅のうち、利用者の多い高城、鶴崎、大在の3駅は、一部の時間帯に限り、窓口を設けて定期券の販売などに応じる考え。具体的な時間は今後検討する。 説明会は3、9、10日にも計5カ所で予定されている。 同社の仲義雄営業部担当部長(42)は「すべてご理解を頂いたとは思っていない。意見をもらった中で改善できるところがあれば見直し、駅にポスターを掲示するなどして市民に伝える。10日以降の説明会は計画していない」と話した。