先に生まれただけの僕#08[解][字][デ] 2017.12.02
(後藤田)実は今出張でロンドンに来ておりまして日本に帰るのは4日後なんです。
(松原聡子)コーチ?
(鳴海涼介)そう!部活にプロのコーチを雇うわけさ銀行に融資してもらって。
あぁ…。
部活が強くなれば宣伝にもなるし京明館高校を代表して頑張ってもらうわけだから。
他の生徒達だって自分の学校に誇り持てるようになるだろ。
松原君行こう。
はい。
これからクライアントと打ち合わせなの。
あっ仕事中?ごめん。
うん…じゃあ。
当たり前じゃない。
吹奏楽部もコーチ必要だよな…。
(キーボードを打つ音)
(柏木)テニス部のコーチをお願いした吉崎さん。
吉崎直也ですよろしくお願いいたします。
(柏木)それから男子バスケットボール部のコーチになっていただく…。
熱川翔です。
「熱い川」と書いて熱川翔です。
実業団でプレーしています。
(柏木)それから弓道部を指導していただく原益代さん。
(益代)原でございます。
弓道歴50年七段でございます。
(島津)七段!?
(文恵)あんなおばあちゃんでいいの?そして吹奏楽部を指導していただくのは…。
城司です。
青山音楽大学で指揮科の講師をしてます。
よろしく。
(郷原)何だ?あれ。
(日菜子)うれし〜い…!
(河原崎)え〜?
(柏木)こちらの方々が部活の指導に当たってくださることになりました。
他の部活のコーチは見つかり次第お願いしようと思っています。
プロに指導してもらえるなんて…。
(真柴ちひろ)よかった〜。
あの…僕の立場は一体どうなるんですかね?河原崎先生は引き続きバスケ部の顧問をお願いします。
でも練習はあいつが…いえあの人が仕切るんですよね?頑張ります。
任せちゃえばいいじゃん。
河原崎ちゃんはバスケ素人なんだから。
(薫)あの…校長先生。
何度も何度もしつこいと思われるかもしれませんがスマホ問題はどうなったんでしょうか?それは今は…。
島津先生のアクティブラーニングから始まった問題です。
生徒が授業中にスマホで調べものしてもいいんですか?来年度から…。
実験的に2年生の全クラスでタブレットPCを導入します。
えっ?来年度からですよ。
専用のタブレットでしたら…。
(一同)おぉ…!SNSはできませんし生徒達も授業での調べものだけに使えるでしょ?ありがとうございます。
(柏木)2年生だけですからね。
はい。
(柏木の声)あそこで発表しなくても校長。
だって市村先生が…。
ダブレット導入には500万近くかかるんですよ?また銀行に頭下げなきゃ。
僕も一緒に行きますから事務長。
当たり前ですよ!部活のコーチもタブレットも全部校長が言いだしたことなんですから!う〜ん…何だかいろいろ順調に進んで来たよな〜。
(ノック)はいどうぞ!失礼します。
(柏木)どうかしましたか?真柴先生。
うちのクラスの大和田達也君なんですけどこの前の中間テストでこんな成績を。
クラスで最下位?2年生になったばかりの頃は上位だったんです。
(ちひろの声)でも前期の中間期末とどんどん下がって行って今回とうとう特進の基準点を下回ってしまいました。
(大和田達也)はい詰んだ〜。
(加瀬)すげぇ達也!
(門倉)ここ全然分かんない…!
(森)全国ランクトップじゃん!数学だけは悪くないんですけども総合点で…。
3年生では特別進学クラスを外れますね。
ん?普通進学クラスに移るってことですか?でそのことで今大和田君のお父様から電話が。
納得がいかないって大変お怒りになっておられました。
お怒りに?明日学校にいらっしゃいます。
明日?え…それ…特進クラスから外すなって?だと思います。
クレーム対応マニュアルに沿って対応しましょう。
(柏木)「保護者からのクレームが発生した場合担任はまず副校長そして校長に連絡」。
しました。
「保護者が学校に乗り込んで来た場合1人で応対してはいけません」。
私も一緒に。
お願いします。
僕も。
ダメです。
「まずは事情を聞くにとどめその場では結論を出さない」。
はい。
僕も一緒に。
ダメ!「へらへらした言動無表情は厳禁。
決して火に油を注ぐような態度を取ってはならない」!分かってます!僕も一緒に行きます!だから校長は出て行っちゃダメなの。
どうして!校長先生がかかわるのはトラブルが大きくなった時。
小さな芽のうちに摘んでおくためには我々だけで解決しておかなきゃいけないんです。
それは学校の常識であって…。
じゃあさ!じゃあさじゃあさ!会社じゃあさいちいち社長が出て行くわけ?あんたちょっと出しゃばり過ぎよ。
失礼。
校長先生は出しゃばり過ぎなの!部活のコーチもタブレットもそれで私が苦労してんだから!いろいろ順調に行ってると思ったのにな〜。
(熱川)はい!行け行け行け…!ここ出るとほら!パスが通るだろ!よしもう1本!俺がいる意味ねえじゃんよ…。
(ホイッスル)♪〜ハァ…ストップ。
例えて言えば君達はまだ熟していない果実だ。
でも青い果実からも匂い立つ香りがある。
君達自身がそれを感じながら演奏してほしい。
(生徒達)はい!頭から。
何訳の分かんねえこと言ってんだよ。
♪〜♪〜・矢部先生…・♪〜何で吹奏楽部にまでコーチがいるんだよ…!うわぁ…汚っ。
吹奏楽部が強くなって大会で優勝とかするようになれば受験で上位のコが他の学校に逃げずにうちを選んでくれるからよ。
まぁ楽器代はかかりますけど。
それに運動部の応援や入学式とかの学校行事にも使えるし。
やっぱり生演奏は違うもんな〜。
私だってコーチを雇うとすれば吹奏楽を選ぶわ。
さすが次期校長を狙ってる杉山先生!でも河原崎ちゃんの不満の本質はそこじゃないんでしょ?要するに自分の居場所がなくなっちゃったわけだ。
居場所はありますよ。
教室とか…職員室とか。
生徒達は先生を構ってくれないじゃん。
職員室だって仲良くしてあげてんの私達だけじゃない。
クッ…!この間までの俺の孤独が分かったか。
僕…どうしたらいいんですか?だから私達がいるって言ってんでしょ。
(郷原)そうだよ河原崎先生は杉山先生の家来なんだから。
家来ってやめてよ!郷原ちゃん。
じゃあもういいですよ家来で。
いいの?郷原先生も一緒でしょ?え?俺も?嫌なの?嫌じゃないです。
本日はわざわざお越しいただきましてありがとうございます。
私副校長兼事務長の柏木でございます。
達也君の担任の真柴と申します。
今日は達也君の進級に関するお話ですよね。
(大和田和宏)私は1年前から大阪に単身赴任しておりまして。
息子のことは妻に任せておりました。
はい。
今回たまたま1週間ほど本社勤務で帰って来ましたら息子が特別進学クラスを外されると妻から聞きました。
達也君の成績が特進クラスの基準を下回ってしまったんです。
当校のルールといたしまして…。
(大和田)達也は都立南を落ちて京明館に入りました。
でも特進クラスなら志望する東京六大学を目指せると週3回塾も通って本人は努力をしていたはずです。
・今度みんなで飯行こうよ・・あっいいね・じゃあ俺塾あるからじゃあね。
じゃあね〜。
(大和田の声)達也の成績があんなことになってるとは知らなかった。
(大和田美代子)あのコは今反抗期で私とはほとんど口を利いてくれないんです。
あの年頃にはありがちです。
でも本人はこのままでは特進クラスを外されると分かっていたはずです私何度も言いましたから。
「言いましたから」じゃないでしょ。
高い学費を払って私立に通わせているんです。
どうしてしっかりケアしてくれなかったんですか。
でもそれは…。
達也だけのせいなんですか?規則で決まっているから普通進学クラスに落とされるんですか?京明館は私立ですよ。
サービス業と一緒ですよね?責任を持って教育する義務があるんじゃないですか?でも…。
真柴先生。
達也君の進級についてはもう一度検討させていただきます。
ですので本人とご家庭でお話しになってみてください。
サービス業と一緒ってどうしてそういう発想になるかな!僕はある意味正解だと思いますよ。
学校は教育サービスを売ってるわけですから。
あぁここでビジネスマンになるわけですか。
でも成績の足りない大和田君を特進クラスに残しても本人が苦労するだけです。
大阪から帰って来ていきなり今回のことをお知りになっておとう様は多少取り乱されてるんじゃ…。
多少どころじゃありません!完全なモンペです!モンペ?
(沙織)モンスターペアレンツ。
あぁ…。
学校に責任を押し付けて次は授業料返せって言って来ますよ。
トラブルが大きくなったら校長も対応するってクレーム対応マニュアルに書いてありましたよね。
次の話し合いは僕も参加しますから。
(柏木の声)ホントに困るんですよ。
校長のせいでトラブルが増えちゃって。
いや…今回は違います。
私が悪いんです。
真柴先生変わりましたね。
えっ?柔らかくなった。
校長のことだって前にはボロクソに言ってたのに。
いやそんなこと…。
鳴海校長って守ってあげたいキャラなんですか?は?でも本人は分かってないですよ女心なんて。
え…何のこと?私はいろいろ知ってるの言えませんけどね。
婚約者のこととか。
あぁ…松原さん。
おっご存じなんですか?京明館高校の先生ですよね?
(柏木)実は私松原さんとはちょくちょくあんみつを食べながらおしゃべりするんです。
やっぱり気にしてるんですね〜真柴先生のこと校長は何にも知りませんウフフフ…!松原さんってステキですよね。
何だろ華やかっていうかいかにもビジネスの世界にいる人っていう感じ。
でも彼女なりの悩みがあるんだなぁこれが。
あ〜言いたい!何ですか?言いたいなぁ!教えてくださいよ。
指輪。
えっ?婚約指輪。
まだもらってないんです。
でも自分からねだるわけにもいかないしねぇ。
(柏木の声)校長忘れてるんですよそんな大事なことを。
(加賀谷圭介)希美はまだ起きてるか?
(加賀谷雅子)…と思いますけど?
(ドアが開く音)
(加賀谷瑠美)パパおかえりなさい。
ただいま。
(ビンのふたを開ける音)
(瑠美)それ私の!水は一緒じゃないのか?
(瑠美)返して!希美。
希美!
(加賀谷希美)・何?・パパだ。
(希美)・何?・入っていいか?
(希美)・何で?・話がある進路のことで…。
(希美)何?立ち話で済ませるようなことじゃない。
何だ?これ。
話って何?何で京明館なんだ京明館のどこがいいんだ?校長先生。
あんな校長先生がいる学校絶対他にないもん。
ぜひうちの学校に来てください鳴海か…。
あいつは本当はダメな奴なんだよ左遷されて校長になったんだ。
ウソじゃないぞパパが飛ばしたんだから。
意味分かんないんだけど。
(加賀谷)京明館はやめろ!ろくな学校じゃない!パパの会社の…。
でもろくな学校じゃない!希美…!
(希美)出てって!の…希美!希美!どうして…どうして分からないんだ!
(瑠美)ほっときゃいいじゃないパパ。
あ…瑠美…お前本郷女子大には上がらないって言ってたけどじゃあどこの大学行くつもりなんだ?
(瑠美)留学。
(加賀谷)あぁ留学…!どこだ?アメリカか?イギリスか?
(瑠美)アルゼンチン。
アルゼンチン?もう決めたから。
アル…。
何でアルゼンチンなんだ?何でアルゼンチンなんだ?お肉がおいしい国なんですって。
はい。
お肉…お肉…。
(振動音)
(振動音)う〜ん…。
(振動音)ん!
(振動音)ハァ…。
もしもし…。
ごめんね朝早く。
明日の朝ロンドンを発つんだけど鍵なくしちゃったの。
マンションの鍵。
なくした?どこ捜しても見つかんないから涼君が持ってる合鍵貸して。
そっちに着くのは明日の14時半頃。
あ〜…。
じゃ学校取り来てよ。
学校?
(あくび)校長室の机の上に置いとく。
分かった。
うん…。
仕事はうまく行った?何の仕事で出張してるのか知らないけど。
ノルディック石油と850万ポンドで契約を交わしたの。
へぇ〜すごいね。
僕も前はそんな仕事してたんだよな。
ハァ…懐かしいよ。
来たら事務室に声掛けて分かるようにしとくから。
ごめんね。
すいません…。
(後藤田)また鳴海?仲いいんだな。
そういうんじゃありません。
英語Thankyou.じゃ今回のミッションの成功を祝って…。
乾杯。
お疲れさまでした。
ハァ〜おいしい。
(後藤田)「そういうんじゃない」ってどういうこと?えっ?一昨日もため息ついてたよね鳴海と電話した後。
うまく行ってないの?よく分からないんです。
前に後藤田さんおっしゃってたじゃないですか。
あいつはもう別の世界の人間だって。
本当にそんな気がして来ました。
じゃあ…別れちゃえば?婚約を解消して俺と付き合おう。
本気で言ってんだよ俺は。
無理です婚約解消なんて。
鳴海より俺のほうが君に近いところにいる。
フ…やめましょうこの話は。
今日は打ち上げだけっていうことで。
分かった。
(ノック)
(ドアが開く音)今からいらっしゃるそうです。
大和田君のご両親。
大和田君本人も同席させて話がしたいって。
返り討ちにしてやる!事務長!
(せき払い)校長の鳴海です。
今回の件は柏木事務長そして真柴先生から聞いております。
ご家庭でお話はされましたか?はい…。
成績のことどうしてご両親に言わなかったの?全然勉強してなかったそうです。
えっ?塾にも行っていませんでした。
はっ?それはつまりさぼっていたってことですか?将棋です。
はっ?将棋ばっかりやってたんですよこいつは。
(柏木:鳴海:ちひろ)将棋!?
(達也)そういう言い方すんなよ。
将棋の勉強です。
(柏木)ちょっと待って。
将棋の勉強?どういうこと?だから…。
(達也の声)毎日将棋ソフトで対局して棋譜を読んで勉強してました。
棋譜?塾に行くふりして将棋教室に通ってたんです。
(大和田)成績が落ちるのは当然ですよ。
プロ棋士になりたいから僕。
プロシキ?将棋のプロです。
(柏木:鳴海:ちひろ)えっ?だから学校の勉強なんかしてる暇ないんだよ。
大学だってどうでもいいです。
バカなこと言うな!プロなんかなれるわけないだろ。
何で決め付けんだよ。
ちょっと待って大和田君。
おとうさんも落ち着いて…。
特進クラスがどうとかそれ以前の問題です。
どうしたらいいんでしょうか?校長先生。
どうしたらって…。
息子の将棋好きは知ってましたけどまさかプロになりたいなんてね。
これはクレームから相談に移行したということでよろしいでしょうね?あ…将棋のことはよく分からないんだけど大和田君はあれなのかなその…プロ目指せるくらいうまいの?『月刊将棋』。
あっ?関東大会優勝?五段!教室の先生はプロですから先生の推薦をもらって受かればもう奨励会に入れます。
奨励会?プロを目指す養成所です。
でもプロになるためには21歳までに奨励会初段を取らなきゃいけないんです。
だから学校の勉強に時間を使うくらいなら…。
将棋で食って行ける人間なんてほんのひと握りだ。
分かってるよ。
そんなまともな道から外れたギャンブルみたいな人生…。
まともな道って何だよ!もうやめて。
お父さんはいい大学出て有名な会社に入ることしか知らねえんだろ?達也!それの何が悪いんだ!おとうさん!僕に「将棋やれ」って言ったのお父さんじゃない!大和田君!そんなの小学生ん時だろ!もうやめましょねぇやめましょ。
(泣き声)お前がこんなにバカだとは思わなかった!それはお父さんだよ!ストップ!ちょっと一度クールダウン!ねぇクールダウンしましょう!
(熱川)スピード!スピード!
(熱川)戻れ戻れ!戻れ!スピードだ!プロ棋士になる?大和田君はもうアマチュア五段だそうです。
それってめちゃめちゃ強いんじゃ…。
関東大会優勝ですから。
それを親は知らなかったってこと?全く。
そんなことがあるんですか?今はパソコンで過去の対局も研究できますしネットで対戦し合って腕は上げて行けるそうですから。
でもそれで大学には行かないって言ってるんですか?大学どころか高校辞めたっていいって。
プロなんて簡単にはなれないわよ?知らないけど。
そうですよ…知らないけど。
今の大和田君の実力なら入会試験に合格すれば奨励会に入れるそうです。
プロになれるんですか?違います。
入会した時点で大体奨励会六級。
さらに頑張って五級四級と上がり初段。
そこでプロ。
違います。
21歳までに初段を取れなければそこで終わり。
終わり?奨励会は退会させられてプロへの道は閉ざされます。
そこをクリアできたとしてもさらに頑張って二段三段と力をつけ26歳までに四段を取る。
そこまで行ってやっとプロに入れるんです。
大変だそりゃ。
今プロ棋士は160人くらいしかいなくてそのプロ棋士になれるのも一年に4人だけだって。
4人!全国の若者がしのぎを削ってるわけですよ。
だから学校の勉強をする暇なんかないという大和田君の意見はある意味正しいんです。
21歳までに奨励会初段を取らなきゃいけないんですから。
そういうことか。
でも親は反対してるんでしょ?大反対です。
プロ棋士を目指すなんてギャンブルだと。
そりゃそうよ。
無理やり夢を諦めさせて大学受験しても本人は満足できるんでしょうか?できません。
じゃあ大和田君の意思を尊重してあげるんですか?それは無責任過ぎません?無責任ですよ。
ですよね。
でもそれしかないんじゃ…。
もう本人と保護者に決めてもらうしかありませんよね。
教師の出る幕はないってこと?まぁほとんどの人は小学生中学生で奨励会に入って高校生の頃には二段とか三段とかになってるって。
(柏木)実際中学生のプロ棋士が大活躍してますからねぇ。
大和田君のようなパターンでプロになれる確率は0.1%だって。
0.1%!?じゃあ無理じゃない。
そうですよ。
つまり大和田君は99.9%プロにはなれない。
でも我々は彼に夢を諦めさせることもできなければ応援することもできない。
ただ特進クラスからは外れてもらう。
本人が高校辞めるって言ったらどうぞって言うわけだ。
え〜…。
何だか後味の悪い話し合いね。
何でこんな議題職員会議にかけたんですか?校長先生。
生徒の人生まで背負うわけいかないんだから我々教師は。
(対戦相手)参りました。
ありがとうございました。
(島津)真柴先生。
はい?帰りに晩ごはん一緒にどうですか?まだ仕事が残ってるんで。
手伝おうか?大丈夫です…お疲れさまでした。
じゃまた明日。
はい。
「手伝おうか」?えっ今「手伝おうか」って言ったよね?タメ口?ウインクされちゃった。
ウインク!?もう完全にちひろちゃんと何かの一線を越えたと思ってるね島津ッチ。
私言ったのよ同じ学校の先生とはそういうのは考えられないって。
それは説得力ないんだって。
職場結婚多いんだから教師なんて。
私は…。
ないって断言できる?でも島津先生と…。
じゃあもう「無理」ってはっきり言っちゃおう!「あなたはないEnglishteacher,getout」!そんなの言えない。
Nevergiveup!娘がまともに口を利いてくれないんです。
15歳の女の子が父親を嫌う傾向にあることは知ってます。
でも度が過ぎる。
娘にとっての人生のターニングポイントに父親がかかわるのは当然でしょう。
こんなこと相談できるのはあなたしかいません。
思春期の子供のメンタルを一番分かってるのは保健の先生だ。
うちの学校でも今似たようなトラブルが起こってるんですよ。
そんなのと一緒にしないでください。
こっちはもっと深刻なんだ!私だって息子が反抗期の時は大変だったんですよ。
そんな大きな息子さんが?ええ。
今二十歳です。
えっ!私短大時代にデキちゃった結婚して3年後に夫と死別して。
それで1人で息子を育てるために養護教諭になったんです。
波瀾万丈の人生じゃないか。
それだって息子には手を焼いたんですから。
当たり前なんですよ加賀谷さん。
ごちそうさまでしたじゃあ。
あっまだ…。
帰らないでください。
あ…当たり前じゃない。
私の場合は当たり前じゃないんです。
どういうことです?分かりました。
言います。
娘が京明館に入りたいって言いだしたんです!あら!もう決めたって言うんですよ。
私には何の相談もなく。
どうしてダメなんですか?え?いやどうして京明館じゃダメなの?ん…どうしてって…。
鳴海先生が校長先生だから?自分の部下を「校長先生」って呼びたくない?あっ…あなたはメンタリストか!だってご自分の会社が経営している学校にお嬢さんが入りたいっておっしゃってるんですよ?ステキなことじゃないですか!今日の職員会議に比べたらむしろほっこりする話だわ。
じゃあ私は失礼します。
まだいたんですか?真柴先生。
校長先生も。
仕事してました。
あぁよかったら晩ごはんでも食べて行きます?おいしい。
あ〜よかった。
よく来るんですか?ここ。
いえ。
実家暮らしなんでいつもは母が。
僕は1人なんでこういうとこ助かります。
もっと早く教えてくれればよかったのに…。
うまっこれ。
何の仕事されてたんですか?学校で?うん。
大和田君のことでクレーム対応マニュアルの相談の欄読んでました。
あ〜。
生徒から進路の相談を受けた場合他人に迷惑を掛けないようにすること。
選択肢を狭めないようにすること。
本人の後悔するような決断を強いないこと。
はいでも普通は大学行ったほうがいいって言いますよね。
ほら声優になりたいとかサッカー選手になりたい…って言うコいるじゃないですかたまに。
う〜ん大和田君の場合タイムリミットがあるからなぁ〜。
やめろって言うのは簡単だけど99.9%無理な中で頑張れって言うのも…。
う〜んそうですよね。
いや食べてください。
はい…。
もう最近仕事のことで頭がいっぱいで…。
彼女の前でも仕事の話とかするんですか?ん?婚約者の方。
あぁ…。
うん…してるかも。
ハハ…大丈夫ですか?何が?いやほらその方は学校のこととか分からないだろうし。
きっと結婚に向けた話とかしたいのかも。
あぁ…。
婚約指輪のこととか。
婚約指輪…。
渡してない。
えぇっ!いや全然考えてなかった。
そうか…婚約したら婚約指輪ですよね。
いや渡してないってそれはダメでしょう〜!いやでも彼女自分から何も言って来ない…。
それは自分からは言えないでしょう!そっか…。
まぁ…私がどうのこうの言う立場じゃないですけど…。
すいません。
(店員)はい!お冷やを。
(店員)はいただ今。
婚約指輪ってサプライズで渡すんですよね…。
でも指のサイズ知らないと買えないしなぁ…。
後から直せますけどね。
直せる?はい。
まだデパート開いてる時間だな。
今から行くんですか?下見だけでも。
ありがとうございます。
真柴先生に言ってもらえなかったら大変なことになるとこでした。
200万?
(店員)きっと喜ばれると思いますよ。
今日は下見なんで…。
婚約指輪って給料3か月分だっけなぁ…。
(店員)今は1か月分で大丈夫です。
ホントに?
(店員)はい。
何で余計なこと…!
(後藤田)これから得意先に行くから明日会社で報告書を作ろう。
分かりました。
(後藤田)お疲れさま。
お疲れさまです。
婚約解消は無理って言ってたけど…迷ってるんだろ?ホントは。
え?俺は待つよ。
そして君は必ず俺を選ぶ。
どうしてそんなことを…。
今の君が幸せそうに見えないからさ。
じゃあ明日。
(ノック)大和田君のご両親がいらっしゃいました。
どうするつもりですか?校長。
分かりません。
大和田君の顔を見て…。
・絶対おかしいと思うんだよね・・ホントだよね・・こんにちは・こんにちは。
じゃあご家族の間では答えは出なかったと…。
こいつは「やりたいやりたい」ばっかりで…。
でも私はプロになれるとは思えませんから。
そんなの分かんないだろ。
おかあ様のお考えは…。
とにかく…高校だけは出てほしいです。
ここが涼君の…。
(鳴海の声)君の気持ちはよく分かった。
でも君は1人で生きて来たわけじゃない。
ご両親に育てて来てもらったんだそうだよね?だから君は両親を納得させる義務がある。
義務?うん。
おとうさんがおっしゃるように学校の勉強を捨てて将棋のプロを目指すんだったらそれはギャンブルだと思う。
だからもしそれがダメだった時のことをよく考えてご両親を説得しなきゃ。
失敗するかもしれないと思って頑張るんですか?スポーツ選手みんな言いますよ「失敗を恐れるな」「自分を信じろ」って「夢は必ず叶う」って!そんなわけないだろう!おとうさん。
世の中の人間がみんな夢を叶えられると思ってんのか!待ってくださいおとうさん!その通りだと思います。
夢を必ず叶えられるそんなことあり得ないと思う。
もしそういうことを言う奴がいたらそれは無責任だと思う。
でも夢を叶えるために努力することは全然悪いことじゃないよ。
だってそれをやらない人間は夢を叶えることなんてできないんだから。
(鳴海の声)僕は今回初めて知りましたけど将棋の世界の人間は優しいなって思いました。
だって21歳というタイムリミットをつくってやり直せるチャンスを与えてくれているんですから。
あぁ…。
約束してくれないかな大和田君。
もし21歳までに奨励会の初段に入れなかったら将棋はきっぱり諦める。
そっから大学を受験して22歳。
友達が大学卒業する頃に君は大学1年生。
就職する頃に26歳。
少し遅れてしまうけどそっから…そっから再スタートを切るんだ。
ご両親納得させるんだったらそれ約束できなきゃ。
待ってください!26歳で社会に出るなんて…。
遅過ぎますか?おとうさん。
(柏木)・私は遅いとは思いません・おとうさんくらいの年になった頃に達也君が地に足の着いた人生を歩んでいればいいんじゃないですか?約束できるの?達也。
うん。
本当に?約束します。
おとうさん。
僕は…僕は息子さんを応援してあげるべきだと思います。
(柏木)やめさせることなんかできませんよ。
だって彼はアマチュア五段を取るまで頑張って来たんですから。
私もそう思います。
校長先生。
あなたはお子さんはいらっしゃるんですか?いません結婚もしてません。
じゃあどうしてそんなに確信しているような物言いができるんです?21歳まで4年もあるんですよ?それを無駄にするかもしれないんです。
プロになれる人なんてホントに…ホンットにひと握りなのに。
親の気持ちが分かるんですか?分かっておっしゃってるんですかあなたは!子供はいません。
でも僕はここで毎日高校生と接しています。
ここにいる先生方みんなそうです。
人生で一番大事な時の不安や希望や夢や失望。
いろんな感情を抱えながら大人になる生徒達と毎日接しています。
僕は思うんです。
僕達の役割はこのコ達に希望を持たせてあげることだって。
勉強を教えることも社会のルールや現実を教えることも全て希望を持たせるためにやっていることです。
親の役割も同じじゃないでしょうか。
このまま覚悟を決めて夢に全力で突き進んで行くのなら全力でサポートする。
「無謀な挑戦は諦めろ」「まっとうな人生を歩みなさい」それも間違った考えではないと思います。
でも…!子供がやると決めたなら親の役割は変わって来ると思います。
もしダメだった時のセーフティーネットを考えてあげるべきなんじゃないでしょうか。
僕はそう思います。
(柏木)そうですね。
でも大和田君には私はもう1つ約束してほしいです。
え?高校だけは卒業して。
おかあ様はそれを望んでらっしゃる。
先の人生を考えた時高校は出ておくべきよ。
僕もそう思います。
僕達は京明館高校の生徒として君のことを全力でバックアップするし将来何があっても「大和田達也」という卒業生を全力でサポートする。
大和田君。
分かりました。
高校は卒業します。
息子さんはこう言ってますよおとうさん。
あなた…。
こいつにはいろいろ言いましたけど…。
どこかで息子をうらやましいと思う気持ちもあるんです。
こんなに早い時期に自分のやりたいことが決まっててそれを実現できるかもしれない才能がある。
まぁ…ホントにあるかどうかは分かりませんけどね。
でも…うらやましい。
絶対後悔はしないんだな。
しないよ。
ダメだった時にちゃんと人生をやり直す覚悟はあるんだな?はい!分かりました。
息子が真剣に夢を追い掛けるなら親として全力で応援します。
ありがとうございます。
(益代)残〜心〜!心心…!心を残して…下がる。
(友梨子)どうぞ。
娘がダメなら鳴海だ。
鳴海があの学校にいなきゃいいんだ。
フフフ…。
ワンツー…。
♪〜
(柏木)随分良くなりましたねぇ吹奏楽部。
素人にも分かりますよ。
どうかされました?校長ん?大和田君は4月から普通進学クラスかぁ…。
残念ですが…。
あ〜プロになってほしいなぁ〜!限りなく厳しいですけどね。
限りなく厳しいけど…プロになってほしい。
校長!クレームです!クレーム?バスケ部の保護者が怒り狂ってますよ!あのコーチのせいで!走れ〜!行け〜!
(ホイッスル)
(熱川)行け行け行け…!行け!
(柏木)えぇっ!
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番組内容
学校改革の手応えを感じ始め、一層気合いが入る鳴海(櫻井翔)。そんな中、2年3組の大和田達也(伊能佑之介)の成績が急降下している事を聞かされる。なんと、塾に行くと嘘をつき、将棋教室に通っていた事が判明。さらに、「プロ棋士になる為に学校を辞めたっていい」と言い始める。達也の父は困惑。鳴海やちひろ(蒼井優)は、話し合いの場を設けるが…。一方、聡子(多部未華子)は後藤田(平山浩行)から衝撃の告白を受け…
監督・演出
【演出】
水田伸生ほか
【プロデューサー】
次屋尚
高橋史典
原作・脚本
【脚本】
福田靖
音楽
【主題歌】
「Doors 〜勇気の軌跡〜」嵐(ジェイ・ストーム)
【音楽】
平野義久
制作
【製作著作】
日本テレビ
【制作協力】
ケイファクトリー
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
主音声ステレオ
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
解説ステレオ
サンプリングレート : 48kHz
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