3 Lines Summary
- ・ガード下がガイドブックに紹介されている
- ・日本食を巡るツアーでガード下の希望が増えた
- ・老舗もつ焼き店には外国人の常連も
今、東京、京都などの定番観光スポットではない意外な場所が外国人観光客に人気だ。
その場所は「ガード下」。なぜ、外国人観光客はこのディープなスポットにひかれるのか。
ガイド本でも紹介される「ガード下」
多くの外国人観光客でにぎわう夜の東京・有楽町。
最近では、ガイドブックでも紹介されていることから、海外から注目されている場所の一つ。
もちろん「ガード下」という場所なだけに、絶えず電車の通過音が鳴り響いている。しかし、古くて狭いこの空間を外国人観光客は「煙たさや賑やかさも含めてこの空間が好き」(イギリス人観光客)、「古風なところが興味深い」(南アフリカ人観光客)と魅力を明かした。
そこで、今回はJR有楽町駅から新橋駅方面に続くガード下から外国人たちの動向を調査。
有楽町を出てすぐの「有楽コンコース」では、昭和レトロな雰囲気と高層ビルという新旧の日本が交差する場所にひかれたというフランス人が夢中で写真を撮るなど、ガード下を訪れる外国人の姿が多い。
さらに最近では、日本食を巡るツアーでガード下を希望する人が増えているという。
日本の食を巡るツアー「arigato Japan food tours」のアメリカ人ツアーガイド・ジャシュさんは「電車のレールの下という意味です」と、外国人観光客に対して、ガード下の意味をレクチャー。
ジャシュさんは「飲み歩きの文化は日本発祥かもしれません。日本人は、一次会、二次会、三次会とわざわざ番号までつけて実践しています」といった詳しい解説や「この辺りの鉄道は地面から浮かせて作られました。その下は所有権がグレーでしたが、駅から近く飲み屋さんにとって最適な場所だったので店が増えていきました」とガード下の歴史を話す。
ツアー客たちが向かった「まんぷく食堂」には、ツアー以外にもスペイン人やオーストラリア人など外国人の客であふれていた。居酒屋の定番メニューのハムカツや赤いウィンナーが付いたナポリタンなど懐かしのメニューが人気だが、このお店の魅力はメニューだけではない。
明治時代に開通した当時のままのガードのコンクリートが見える天井や、昭和情緒漂う看板、古い映画のポスターなど、散りばめられたレトロな要素が引き付けられるポイントだ。
「まんぷく食堂」のオーナー・みっしぇるさんは「『日本では昔、こうだったんですよ』というお話も外国の方にはできますし、日本にこういう所があるんだって知っていただけて、とてもうれしく思います」と語る。
一人飲みから常連まで!
居酒屋が密集する「有楽町産直飲食街」も外国のガイドブックにも掲載されるほどの人気スポット。
ガード下ならではの電車の音と狭さに、ロシア人の男性は「狭いというより、とてもフレンドリーな空間。みんな近寄って座っているしね」と笑顔を見せる。
中東・オマーンからビジネスで来日した3人組の男性は宗教上、お酒は飲めないというが、グラタンにチャーハンなど22品を堪能した。彼らは、日本の食文化を感じるためにガード下を選んだという。
また、有楽町から歩いて5分ほどの昭和28年から続くガード下の老舗もつ焼き屋「ふじ」には、一人飲みをたしなむメキシコ人女性の姿があった。
「ふらふらしていたら、ここにたどり着いた」と話すこの女性。
かつてサラリーマンの常連客ばかりだったという「ふじ」では、最近、外国人の客が大勢来るようになったようだ。
3代目店主の五十嵐義幸さんは、「外国人の常連さんもいるよ。日本に来ると必ず寄ってくれるという人がいる」と話す。
外国人まで常連客にしてしまうこの店の自慢は、店で丁寧に仕込んだもつ煮込み。味付けはシンプルに味噌だけで、ネギ以外に具材は入れず、もつの旨みが凝縮されている。他にも先代から付け足し続けるタレの串焼きもこだわりがある。
2年後にはこのお店を引き継ぐ長男・貴洋さんは、「ごちゃっとした雰囲気。それがこのお店の温かさだと思うから」と60年以上続く伝統の味と昭和の雰囲気を残してきたガード下への変えたくない熱い思いを語った。
日本人がどこか懐かしさを感じる料理や昭和レトロな空間を味わえる「ガード下」に、外国人も引き付けられているのかもしれない。
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