食品サンプルにはなかなかないミックスジュース。控えめなところも魅力であります
関東ではなかなか出会えない、喫茶店のミックスジュース。前回は10軒を紹介した。その第二弾である。
ミックスジュースのある店、イコール私にとっては大変好みな空間であることが多い。 レトロ喫茶、純喫茶と称されることもあるその魅力も合わせ、ミックスジュースの布教につとめるのが私のミッションだ。 前回の記事:「ミックスジュースのある喫茶店めぐり」
イカとタコが大好きで、食べたり被ったり本まで出版しました。
でもサイコーに好きなのはアワビだったりします。世間に対する謙虚です。
前の記事:「ミックスジュースのある喫茶店めぐり」 人気記事:「本物? 天才高校生の作るジオラマがすごい。」 > 個人サイト Weekly Teinou 蜂 Woman で。ミックスジュースってなんなのよ店によって様々な味、顔を見せるミックスジュース。
今さらではあるがなんなのよ、というと、Wikipediaによると、「複数種の果汁及び牛乳を混ぜ合わせた飲料、又は、複数種の果汁を混ぜ合わせた飲料」ということになる。 関西ではプラス牛乳が多いとのことだが、このラリーをするにあたって、また知人らから耳にして、とくに東西のちがいに明確なボーダーラインはないのではないかと思われる。 店の数だけミックスジュースがあり、人の数だけおいしさがある。そこに優劣も甲乙もない。あるのは個人の味覚のみだ。 前回同様どの店もすばらしくジュースにはずれはない。星の評価はあえての私個人の主観(ジュースのみ)である。 昭和初期からの味 アンジェラスミックスジュース 700円
みかん、バナナ、桃黄、そしてパイナップル。牛乳ベース。オレンジ色だが酸味は弱く、ちょうどいい甘さだった。あえて新しいことはしないというアンジェラス。もしかしたら昭和初期の味そのままを飲んでいるのかもと思うとますます味わい深くなってくる単純脳。
観光客もくる有名店。待つこと15分(主に友人が)
手塚治虫、池波正太郎も通ったという昭和21年創業の老舗喫茶店。観光地としても人気である。
ケーキの種類が豊富で、実はレモンパイを目当てに行ったのだがまさかのミックスジュースありで歓喜した。 山小屋と教会をモチーフにしたレトロな店内。中2階があり3階建てだ
大好きな絶滅危惧種のバタークリームケーキもあるという、三大好物の揃った店。私にとってはもはや天国である。
なぞのとろみあり、コメダ珈琲店ミックスジュース 700円
もも、パイナップル、みかん、バナナ、牛乳。チェーン店ということで、すっかりナメていたので「おいしい!」というよりもまず「すみません!」という感じ。
同行者は「甘い! 甘い! 甘い!」の連続だったが、私にとっては甘さ、味、量の何をとってもよい。なにより得体の知れぬ"とろみ"の正体が最後までつかめなかった。 初めて入ったコメダ。ファミレスみたいな店内
シロノワールで人気を博したコメダ。濃厚な味の印象が強い名古屋発祥とのことで、なんとなく納得。量も多く、ヒレカツとパンをお持ち帰りしてしまった。
バランスのいい味、パーラーエルミックスジュース 650円
バナナ、りんご、いちご、みかん、牛乳。香りがとにかくミックスジュースのそれだった。しばらく匂いをかいだり、眺めてから飲んだがうまい。王道と言うべき果物の種類だが、そういえばパーラーと名乗っているのであたりまえかもしれない。
パールセンターを見下ろす2階。七夕祭りのときは特等席
めぼしをつけていた店だが、阿佐ヶ谷は何店かハズレがあったので電話して出向いた。「あるけど、うちのミックスジュースはふつうだよ、なんのとりえもないよ」と店主。まさにそのフツーが飲みたかった。満足。コーヒーには別に生クリームが付く。
MOTTAINAIスピリッツから生まれたソウルドリンクミックスジュースは1948年創業「千成屋珈琲店」(大阪)が発祥のようだ。
聞いたところによると、売れ残った果物を捨てるのはしのびないというところから発案されたらしい。でた。MOTTAINAIスピリッツ。それでなくても果物はおいしいのだから、合わせてまずいはずがないのである。 白さは1番。2種類でキメたみずみずしさ ブーケミックスジュース 500円
バナナ、みかん、牛乳。いたってシンプルだが、逆にこの2種類があれば、ミックスジュースは完成するのか! ということがわかった。他店でオレンジとパインを混ぜたジュースを頼んだこともあったのだが、どうしてもミックスジュースだと言い切れないなにかがあった。
比較的うすい印象だが、真夏でノドも乾いていたのでこのサラリとした飲みごこちはちょうどよかった。 純喫茶は喧騒から一息つけるということを知らしめてくれた
この日は阿波踊りだった。観客動員88万人を誇る高円寺では大イベントだ。毎年夜8時過ぎには人民大移動でどこも満員で騒がしく、居酒屋やファーストフード店などでは祭りが続く。
ブーケは一歩店に入るとまるで真空パック。一気に静かになるのも純喫茶ならではだ。紫のライトがツヤっぽい。 ピンクでオレンジ味が強い エスペラントミックスジュース 570円
濃縮いちご、レモン、オレンジ、牛乳とのこと。濃縮いちごというのは冷凍のことだろうか? 色味がとにかくピンクなので、さぞいちご味が強いのかと思ったらオレンジが濃厚だった。見かけよりもトロッとしていて、多方面で予想をうらぎる思わせぶりなジュース。
夕方の静かな時間、高齢の淑女たちの会話に耳を傾けすぎた
高齢のママとなじみのお客さんとの会話にキョーミ深々。戦後の慰安婦(私は見た!)問題、芸能人の不倫、政治家のセクハラまで発展したのでなかなか店をあとにすることができなかった。
「タンパク質が足りないからお味噌汁にチーズ入れたらとろけておいしかった」とママが言うので「え!」と思ったら「あれはおいしいですよね」と言う会話も。マジで? とググッたらクックパッドのレシピがいっぱいでてきた。高田馬場の老女たちはハイカラである。 トロピカルフルーツ、マンゴーの入った友路有ミックスジュース 590円
バナナ、みかん、パイン、牛乳、そしてマンゴー。いきなりのトロピカルフルーツの登場である。今ではどこのスーパーにもおいてあるが、私の幼少期にはちょっとしたスペシャル感があった。20軒めぐって唯一のマンゴー。
ヘアスタイルを変えて痩せた友人の伊藤さんは、「美人風に撮る」に挑戦していたのだが、自ら吹き出してしまいいつもとなんら変わりはなかった。 ……。あいかわらずでなにより。
サービス精神があふれる、至れり尽くせりの喫茶店だった
壁には大量の雑誌・文庫本と、ひとめで長居しやすい雰囲気だなーということがわかる。友路有図書館としてレンタルも行っているのだが、それだけではなく、電源も無料、また、はさみ、のり、ボールペン、朱肉、セロテープ、メモ帳……と、文房具もその場で借りられるのだ。
ステンドガラスの窓で、純喫茶というよりも昭和レトロ感が強い。学生からお年寄りまで、幅広い年代が常連さんの様子だった。 ミルクセーキに近い? スカーレットミックスジュース 710円
パイン、みかん、バナナ、オレンジジュース、牛乳。オレンジではなく、オレンジジュースとのこと。ややミルクセーキに近い印象だったので、牛乳の割合が多いのかもしれない。比較的サラリとしている。
アンティック調のシュガーポットがかわいかった
ミックスジュースがおいてある店にはほとんどといっていいほどナポリタンがある。これもまた大好物だ。ここにはお昼目当てで入ったので、うっかり紅茶とのランチセットを注文したのだが、途中でフト訊いてみたところ「ありますよ」とのことで得した気分だった。
唯一のメロン味、丘ミックスジュース 550円
メロン、パイナップル、バナナ、牛乳。グリーンというのはここのみだった。メロン味がパワフルなのかと思いきや、バナナの存在感が1番。どの店でもそうだが、パイナップルはほとんど味がわからない。
ロゴもいい。店がまえも威風堂々でフォトジェニック。国家レベルで守るべき
ゴージャスな店内は1人がけテーブルがあり新幹線のようでコーフンする
人気店で入れない日も多いのだが、地下に続く螺旋階段、絢爛なシャンデリア、真っ赤な合皮のイス……と、全盛期はいかばかりかと想像力をフルに発揮してしまうゴージャスな店内。高度成長期に贅をつくしきった建物は国家レベルで守っていただきたい。
「牛乳がメインに入っておりますの」名曲喫茶 ネルケンミックスジュース 580円
サーセン! 2度ほど材料を訊いたのだがうまく聞き取れず、気品あふれる老婦人の言葉「牛乳がメインに入っておりますの」を耳にしたとたんそんなことはどうでもよくなってしまった。
かなり薄めで牛乳と市販のミックスジュースを混ぜた感じの味。 蔦が絡まりひっそりと佇んでいる
カフェや喫茶店は、口に入るものを売る商売ではなく空間そのものを提供する場所だということをあらためて痛感した創業1955年の名曲喫茶。生花、赤いベロアのイス、数々の絵画や裸婦のオブジェ……。ちょ、これ、現実?
ギャラリーサロンのような雰囲気。それぞれの席が空間を守れるような作りだ
なんといっても主役はマダム(この言葉がぴったり)で、エレガントな立ち振るまいと言葉づかいは感動的ですらある。うす汚れた自分が浄化された気分! 皇后様ってこんなかな……? と思ってしまった。
本当に浮世離れしているので、現実逃避したいときに小1時間行く。ぜったいに行く。 おかわり3杯。1才児もトリコにする名フレーバー、キムラヤミックスジュース 500円
桃、オレンジ、バナナ、牛乳。店の数だけミックスジュースがあり、人の数だけ好みというものがあるだろう。味と色と香り、そしてなめらかさ、私にとっては【これぞ】という味だった。
マイミックスフレーバー、人間なら即座に婚姻届を提出しているところだ。とめどなく溢れるこのミックスジュースの泉に溺れたい。滝つぼに飛び込みたい。井戸に沈みたい。 何回目かわからないが、あらためて訪れておかわり3杯、おいしさを再認識した。 2011年に訪れたときには、このジュースがきっかけで、当時は1才だったデイリーライター大北高瀬の長女ことダボちゃんにケンカを売られたことがある。 ちょっと渡したら凄まじい勢いでガンを飛ばされ一気飲みされた
甘いものをなるべく避けていた両親にはもうしわけないが、食に対するド根性と味覚はさすがのDNAである。
レトロポップな内装は1967年開店当時のまま!
パーラーも、剥げたキムラヤ(スラッシャー映画風)もアルファベットもすべてのフォントが愛おしい
昭和から続く小さな名店が多い新橋駅前ビルの一角にある。ミッドセンチュリーな内装がかわいいためか、サラリーマンの聖地でありながら女性客も多い。
おいしいうえに栄養満点、ドリンク界最強か私事だが、かつての私はエナジー(栄養)ドリンクを1日2,3本飲んでいた。額にして3,000円前後だ。8月のおわりくらいに銀行残高を確認したら驚愕の数字が並んでおり、精神崩壊をおこしてからは一切のコンビニドリンクを断つことに決めたのだ。
ミックスジュースWEBカラーコード全20
途中でなんのためになんの意味があるのかさっぱりわからなくなってしまった 栄養ドリンク断ちのせいか、ミックスジュースを飲むとやたら活力がわくようになった。足取りなどはもう宙に浮いてるようだし、階段は二段抜かしで上るいきおいだ。直後にカラオケに行くとノドの調子もすこぶる良い。
そもそも果物は栄養があるのだから、ミックスともなれば当然だろう。今さらなにを言ってるの? である。滋養強壮、オリジナリティもありなによりおいしい。こんな飲みものがほかにあるだろうか。ない。ないな。 万が一、未経験の方は1度だけでもいいから試してほしい。なんなら私が作ってもいい。クチに含んだその瞬間、きっとチャクラが開きます。 口のまわりをケチャップに染めながら
ミックスジュース喫茶店めぐりは、ナポリタンも楽しみのひとつでした。今回のお店で扱っていないのは、アンジェラス、コメダコーヒー、ネルケンのみ。他店ではすべてナポリタンも堪能しました。
そして喫煙OKのお店もやはり多いです。今回は完全禁煙はゼロ。分煙もアンジェラスとコメダコーヒーのみになりますのでお気をつけください。
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