【ワシントン=川合智之】米連邦捜査局(FBI)に虚偽の供述をしたとして訴追されたフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は1日、首都ワシントンの連邦地裁に出頭した。フリン氏は2016年12月の駐米ロシア大使(当時)との会談で「対ロ制裁を協議しなかった」などとした供述は虚偽だったと認めたうえで、ロ大使との接触はトランプ政権移行チームの指示だったと証言した。
複数の米メディアは、フリン氏に指示した政権移行チームの1人が、トランプ大統領の長女の夫クシュナー大統領上級顧問だったと報じた。クシュナー氏はフリン氏に電話で「これは大統領の最優先事項だ」と述べ、当時進んでいたイスラエルの入植活動への国連安全保障理事会の非難決議投票を延期するため、ロ大使らへの働きかけをフリン氏に求めたという。
訴追文書によると、フリン氏は16年12月のロ大使との会談で、対ロ制裁に対抗措置をとらないよう要請したほか、国連安保理決議の投票延期を働きかけたが、FBIの事情聴取では否定した。
フリン氏はロ大使との協議内容について政権移行チームから事前に指示を受け、会談後に結果を報告していたという。フリン氏は声明で「特別検察官の捜査に協力する」と述べた。禁錮5年以下、25万ドル(約2800万円)以下の罰金が科される可能性があったが、罪を認めたことで減免される見通しだ。
一方、トランプ氏の弁護士は1日の声明で政権への影響はないと強調した。フリン氏はオバマ前政権で国防情報局長を務め、1月のトランプ政権発足で閣僚級の大統領補佐官に就任。ロ大使との疑惑報道を受けて2月に辞任していた。
ロシア疑惑に関する陣営関係者の訴追はマナフォート元選対会長らに続き4人目で、元政府高官としては初めて。