トットちゃん! #45[解][字] 2017.12.01
終わりそうですけど…。
はいいきます。
(シャッター音)ハハハハ…。
相当おかしかったね今。
ハハハハ…。
かあさんっていつもあの家のどこでセリフを覚えたりお芝居の事考えたりしているの?台所でピピピッとね。
「あんたはそれでいいかもしれませんけどこっちは困るんですよ」
徹子は沢村貞子を女優としても女性としても尊敬しそれから何十年も慕い続けました
ここで時計の針を進めてみましょう
時は1989年
「それではせーの…」
(ノック)はい。
あらま。
かあさんも今日この局だったの?
(ドアの閉まる音)朝一で終わって帰ろうと思ったらあなたの名前があったから。
はいこれあげる。
たけのこご飯のおにぎり好きでしょ?わあ〜。
でもこれかあさんのでしょ?いいのいいの。
私は帰るから。
嬉しい。
いただきます。
うん…。
ねえかあさん。
ん?本番が終わるまで待っててよ。
一緒にご飯食べよう。
今日はいいわ。
んっ?あなたは花も実もある女優さん。
私は花も実もないロートル。
だからこの辺で失礼するの。
じゃあそういう事で。
とうさんが待ってるからお先。
待ってよかあさん。
しばらくしてかあさんはきれいさっぱり芸能界を引退しました
かあさんらしい潔い鮮やかな身の引き方でした
徹子は葉山のマンションに引っ越したとうさんとかあさんのもとをその後も忙しい合間を縫ってしばしば訪ねました
ねえとうさん。
私とうさんに初めて会った時からずっと気になってたんだけどとうさんはなんでかあさんのお料理を食べておいしいって言わないの?もしかして2人の時は言ってるの?毎日の事なんだからそんな事いちいちあなた…。
おいしくなかったら食べないよ。
あらま!
とうさんはありがとうも言わない人でした
今日のゲストは沢村貞子さん
かあさんは女優引退後も徹子のたっての願いで『徹子の部屋』には出演してくれていました
かあさん?早かったわねえ。
今来たところよ。
ねえ今日は珍しい人連れてきたの。
とうさん!
(大橋)ちっとも葉山へ来てくれないから会いに来ちゃったよ。
とうさんも出てよ。
照明さんゲストお二人にして頂けない?
(大橋)いやちょっと勘弁してくれ。
わしは役者じゃないからね。
あらそう。
じゃあ待ってて。
本番終わったら一緒に帰りましょ。
いやいやもういい。
顔を見に来ただけだから。
じゃあ…これでね。
照れ屋ね。
とうさんがかあさんの仕事場まで一緒に来たのはこの一度きりだったそうです
そしてこれが徹子がとうさんを見た最後でした
とうさんは突然あの世に旅立ってしまったのです
私にさよならも言わずに逝ってしまったのよ。
とうさんはかあさんと一緒に書くはずだった本の執筆も置いていってしまいました
(貞子)私よりとうさんの方が2つも年下なのに何を焦ったんだろう。
かあさんが死んだらとうさんに会えると思う?そりゃあ会えるわよ。
じゃあその時あの本の続きの話をしないと。
もう何も書けないわ。
とうさんが書いた原稿無駄にしたらもったいないじゃない。
続きを書いてよ。
書く事いっぱいあるでしょ?どうかな…。
でもとうさんとは価値観が同じだったからうまくいったんだわ。
とうさんが言う事に逆らってるかあさん見た事ないもん。
フフ…。
(鳥のさえずり)
50年もの間かあさんは毎朝早く起きてこうして身繕いをしそれをとうさんはこのベッドの中から見つめていたのだな…と徹子は考えました
しばらくしてかあさんは中断していた原稿の執筆を再開しました
原稿用紙…。
あっそうそう…。
(大橋の声)「わたしにこんな楽しい老後があるとは思っていなかった」「あなたにめぐり合えたということそして二人で寄り添って生きて来たこと」「いろいろ苦労はあったけれどわたしはしあわせだった」「あなたもしあわせだったと思う」「戦後無一文のどん底からなんとか生き伸びて来られたのはただ一人あなたという心優しく聡明な女性にめぐり合えたからである」
(大橋の声)「ありがとう」
ありがとうなんて言われなくていいと言っていたかあさんでしたがこの予想だにしなかったとうさんからのラブレターを死ぬまでお守りのように身につけていました
本が発売になりとうさんの3回忌が終わるとかあさんは食べ物を口にしなくなりました
かあさん。
お願いだから何か食べて。
人間はね一生懸命やると後悔なんてしないものなのよ。
出来る限りの事やったもの。
だから未練も後悔もなんにもないの。
これでさらりとおしまいよ。
そんな事言わないで。
早くとうさんのところに行かないと…。
もうちょっととうさんに待っててもらってよ。
それから毎日徹子は仕事の合間に葉山に通ってかあさんを見舞いました
きれいよ。
さっきまで本番だったからお化粧してるの。
ううん…きれいよ。
起きるの?あなたにだけは幸せになってもらいたいの。
かあさん…。
もう…ここには来ないで。
えっ?もういいから。
はあ…。
さよなら…。
徹子は思いました
かあさんは最期の瞬間を私に見せたくないのだと
それから2日後かあさんはとうさんのもとに旅立ちました
もう一度時計の針を1961年に戻しましょう
(坂本九)「上を向いて歩こう」
(久松勇)いいだろ?ヒットするわねこの曲。
八大さんのリサイタルで坂本九が歌ってていいと思ったんだ。
本当。
ああ。
これで必ず本当のスターになるよ彼は。
NHKのバラエティーショー『夢であいましょう』からは永六輔中村八大というヒットメーカーコンビにより坂本九梓みちよジャニーズなどたくさんのスターが巣立ってゆきました
久松さん!なあに?用って。
『上を向いて歩こう』がヒットして坂本九の名前が全国に知れ渡ったら君に言おうと思ってたんだ。
好きです。
ずっとずっと前から君が好きでした。
僕は…3割でいいので。
仕事7割僕3割でいいですから。
僕と結婚してください。
結婚はしないわ。
誰とも。
だって私沢村のかあさんみたいには出来ないもの。
だから僕は3割でいいんです。
お仕事してたら3割も無理よ。
じゃあ1割でも0.5割でも。
0.5割でも無理。
私誰とも結婚しないって決めたの。
ごめんなさい。
(ため息)
(久松)はあ〜。
(渥美)ああ〜。
(久松)なんであんなにケロッと断れるんですかね。
(グラスを倒す音)
(2人)わあ〜!おやじ!拭くもの拭くもの。
ごめんごめん…。
はっきり言うところがお嬢さんのいいところだよ。
そういうとこが好きなんですよ僕。
諦めな。
あの人は誰のもんにもならねえよ。
そうかな…。
この先誰かのものになったらやりきれな…。
おお…!あ〜!ごめんなさい。
ごめんなさい。
もう!未練な酒だねえ。
許しませんよ…許しません!うん。
お酒!
(ため息)おはようございます!
(渥美)お嬢さん。
男泣かしちゃいけませんよ。
えっ?
(坂本)「上を向いて歩こう」「涙がこぼれないように」
時代は高度経済成長のど真ん中
東京オリンピックを間近に控えみんな上を向いて頑張っていました
ただ一人久松を除いては
(坂本)「上を向いて歩こう」
(向田邦子)人生なんて明日の事わかんないんだもの。
逆算して芝居されてもいい事ないのよ。
(カール)これからパリに帰る。
僕と一緒にパリに行こう。
2017/12/01(金) 12:30〜12:50
ABCテレビ1
トットちゃん! #45[解][字]
辛く困難な時代を明るく前だけを向いて駆け抜けた、黒柳徹子とその家族の激動の昭和史を笑いと涙で描く!「窓ぎわのトットちゃん」の時代から国境を越えた恋まで初映像化!
詳細情報
◇番組内容
テレビジョンの華やかな時代が幕を開ける!徹子(清野菜名)は、渥美清(山崎樹範)と「お兄ちゃん」「お嬢さん」と呼びあうほど仲良しに。そんな二人にある日、熱愛報道が出る!一躍売れっ子女優となった徹子は、森繁久彌(近藤真彦)や沢村貞子(浅野ゆう子)といった錚々たる面々とも親交を深めていく。一方、徹子は父・守綱(山本耕史)から、母・朝(松下奈緒)も交えて家族ですき焼きを食べに行こうと誘われるが…!?
◇出演者
清野菜名、松下奈緒、山本耕史
三宅健、山崎樹範、橋爪淳、趣里、林部智史、浅野ゆう子
◇原案
黒柳徹子
◇脚本
大石静
◇演出
星田良子
◇主題歌
福山雅治『トモエ学園』(アミューズ/ユニバーサルJ)
◇スタッフ
【チーフプロデューサー】五十嵐文郎(テレビ朝日)
【プロデューサー】服部宣之(テレビ朝日)、角田正子(クリエーターズマネジメント)、菊地裕幸(クリエーターズマネジメント)
【協力プロデューサー】田原敦子(テレビ朝日)
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/totto/
☆Twitter
https://twitter.com/totto_tvasahi
☆Instagram
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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日本語(解説)
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