殺害された金正男氏、「解毒剤」を所持=報道
北朝鮮の最高指導者・金正恩氏の異母兄で、今年2月13日に殺害された金正男氏は、殺害に使われた猛毒の神経ガスへの解毒剤を所持していたと、マレーシアの地元メディアが30日伝えた。
金正男氏はクアラルンプール国際空港で、猛毒のVXガスを顔にすりつけたれて、死亡した。
マレーシア紙スターによると、金氏が事件当時持っていたバックパックにアトロピンのビン12本が入っていたという。アトロピンは、VXやサリンなどの神経ガスの緊急治療に使う。
同紙によると、マレーシア高裁の審理で医師が、成分検査のために警察からビンを渡されたと証言した。
医師は、「3月10日に毒物検査のために、ほかに7点の証拠物と共に(ビンを)受け取った」と法廷に説明している。
事件については、ベトナム人のドアン・ティ・フォン(29)とインドネシア人のシティ・アイシャ(25)の両被告が、VXの入った液体を正男氏の顔にこすりつけたとされ、起訴された。2人は10月の初公判で、無罪を主張。テレビ番組用のいたずら企画だと思っていたと供述している。もし有罪となれば、絞首刑が言い渡される可能性がある。
北朝鮮政府は一切の関与を否定しているが、マレーシア検察は法廷に対して、北朝鮮の男性4人が関与したと主張した。
異母弟の正恩氏が父の後継者に選ばれた後、正男氏は北朝鮮よりもマカオや中国本土、シンガポールなどに滞在することが多かった。自分の一族の独裁体制を批判することもあり、2012年に出版された本では、正恩氏には指導者としての資質が欠けていると発言していた。
(英語記事 Kim Jong-nam killing: Regime critic carried 'antidote')