双極性naoの「てにをは」

双極性障害のnaoが伝える、ことばの力と闘病の記録。

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「5S」の先にあるもの。〜目には見えない6つ目の「S」〜

みずたまなおです。

こんにちは。

 

今回は、5Sと6Sについてのお話です。

どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

 

【目 次】

  

「5S」という言葉

 

「5S」の意味

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あなたは「5S」という言葉を聞いたことはありますか?

もしかしたら、あなたの職場でもこれを導入しているのかもしれません。

これはビジネスの場において、たびたび登場する言葉です。

この言葉は、2000年代後半ごろから徐々に浸透し始め、多くの職場に取り入れられるようになりました。

 

最初に私が入社した会社では、社内教育でみっちり教え込まれました。

そのころはちょうど導入し始めだったこともあり、何かと苦労した経験があります。

残念ながら、あまりよい思い出はありません。

 

では、「5S」について簡単にご紹介します。

すでにご存知の方も、少々お付き合いください。

 

「5S」とは、5つのSのことで、整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seisou)・清潔(Seiketsu)・躾(Sitsuke)のことです。

それぞれを説明すると、次のようになります。(出典:5S - Wikipedia)

  1. 整理 いらないものを捨てること
  2. 整頓 決められたものを決められた場所に置き、いつでも取り出せる状態にしておくこと
  3. 清掃 常に掃除をすること
  4. 清潔 3S(整理・整頓・清掃)を維持し、職場の衛生を保つこと
  5.   決められたルール・手順を正しく守る習慣をつけること

「5S」というもの自体は知ってはいるものの、具体的なところまでは知らなかった、という方もいるかもしれません。

 

「5S」と生産性

この「5S」という考えは、トヨタ自動車が社内改革を行う際に作り出されたもので、「トヨタ生産方式」の取り組みのひとつです。

ムダを徹底的に排除し、生産性を高めることを目的としています。

 

Aというモノを取り出すとします。

雑然とした職場では、歩き回ったりAを探したりと、ムダな行動が発生します。

ところが「5S」が行き届いた職場では、ラベルなどを使って定位置管理がなされているため、どこに何があるのかが一目でわかり、最短の時間でAを取り出すことができます。

この前者と後者との時間の差こそ、ムダな時間であり、その時間を生産的業務に充てることが生産性の向上に繋がるのです。

 

「5S」と「6S」

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今や「5S」は、広く知られ、多くの会社で導入されています。

人材不足が著しい製造業やサービス業だけではありません。

働き方改革によって、長時間労働を見直す企業が多くなってきました。(そうであってほしい。)

労働時間が削減されるということは、時間あたりの生産性を向上させなければ企業の収益が下がってしまうということです。

そのために「5S」の徹底がなされているのです。

 

ある工事現場にて

先日、ある工事現場の横を通りすぎたとき、気になる看板を目にしました。

そこには「6S」の標記が。

「5S」は聞いたことがあるものの、恥ずかしながら「6S」というのは初耳でした。

 

その看板をよく見てみると、5つ目までは「5S」と全く同じでした。

6つ目の「S」に書かれている言葉、それは「作法(Sahou)」でした。

 

それから、いろいろと詳しく調べてみましたが、あまりはっきりとした定義がなされているわけではないようです。

一例を挙げると、「美しいとされる型」「人間として理にかなった型」というようなものがありました。

私は、「なるほど」と思うのと同時に、定義が曖昧な「6つ目のS」について深く考えてみようと思ったのです。

 

6つ目の「S」

6つ目の「S」である「作法」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

先ほど挙げたように大まかな定義はされていても、その解釈や意図は明確ではなく、「5S」のように基準自体がはっきりとあるわけでもありません。

例えば、「清掃」の意味である「常に掃除をすること」ということは、社内で「始業時間からの10分間は机のまわりの拭き掃除・掃き掃除をする」というようなルールをつくり運用していくことで、従業員の間にある程度の共通理解は得られるでしょう。

一方で「作法」は、定義が曖昧で抽象的なため、捉え方によって個々人の認識に差が生じてしまう可能性があります。

 

他にも「5S」と「作法」との違いとしては、次の2つのようなことが考えられます。

ひとつは、「5S」が職場環境にアプローチしているのに対し、「作法」は従業員個人にアプローチしていることです。

「5S」の順番には意味があって、1ができたら22ができたら3というように5まで進んでいきます。

それら「5つのS」ができてはじめて、6つ目Sである「作法」に至ります。

つまり、職場環境が整備されてようやく個人の行動の見直しに着手できるのです。

 

もうひとつは、「5S」がハード面でのアプローチなのに対し、「作法」はソフト面にアプローチをしている、ということです。

「躾」もソフト面へのアプローチと捉えることもできますが、決められたルールや手順を正しく守る、という明確な枠組みがあることを考えると、ソフトとハードの中間、もしくはハードと捉えることもできそうです。

「作法」は「5S」がきちんとできていることが前提で、ハード面の整備ができていなければソフト面の整備はできないということです。

 

「作法」が求めるもの

「作法」は、「美しいとされる型」や「人間として理にかなった型」という意味がある、と先ほどご紹介しました。

しかし、これではあまりにも抽象的すぎて従業員間で共通の認識が得られるか、というと微妙なところです。

 

工事現場に看板を設置していた会社には具体的な定義があるのかもしれませんが、通行人にも見えるところに看板を設置しているということは、従業員ひとりひとりに意識を浸透させるという意図もあるのかもしれませんが、私たちに何かしらのメッセージを伝えようとする意図もあるのだと感じます。

例えばよくある「安全第一」という看板は、従業員に対して意識づけするとともに、近隣者や通行人に対して「私たちは安全を第一に作業をしていますよ」というお約束をしているのと同じことです。

しかしながら、この「作法」という言葉を見かけても、その場ではっきりと理解することはできませんでした。

 

私の過去の経験から

しばらく考えていると、何となく「こういうことなのかもしれないな」と思えるようになりました。

私はかつて、ホームクリーニングの仕事をした経験があります。

ご依頼のあったお客さまのご自宅にお邪魔して、エアコンや台所、窓ガラスなどの清掃をしていました。

ご自宅を空けるわけにはいかないので、当然お客さまは居間などにおられます。

そして、そのお客さまや隣近所の邪魔にならないように十分過ぎるほどの養生をして作業にあたります。

大きな物音を立てず道具はそっと置く、歩くときは慎重にゆっくりかかとから着地する、お客さまのものをどけて作業をしたあとはきちんと元の場所に戻すなどです。

そして、作業前後の明るいあいさつも忘れてはいけません。

これらはおそらく「作法」に入るのではないでしょうか。

 

当時、会社には「6S」という考えはありませんでしたが、「5S」はとても行き届いており、初めのころは厳しく指導をされました。

そのように考えると、「5S」ができてはじめて「作法」ができるということは、すんなりと理解することができました。

  

「5S」の先にあるもの

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「5S」という考え方は、日々働く職場だけでなく、私生活にも当てはめて考えることができます。

多くのもので溢れ雑然とした部屋と、そうでない部屋とでは、どちらの方が精神衛生上よいのかと考えたとき、その答えは明白です。

雑然とした部屋では、ものを探そうとしたとき多くの時間がかかります。

整理整頓ができていなければ、清掃も億劫になり、清潔な部屋が保てないだけでなく、その習慣も身に付きません。

 

そのような環境に身を置いているとどんどん内面が荒んでいってしまいかねません。

そうすると気持ちに余裕がなくなってしまい、誰かに手を貸したり、優しくしたりすることができなくなってしまうような気がします。

人によって考え方に違いがあるとは思いますが、「作法」とはこのようなことなのではないでしょうか。

 

「5S」ができてはじめて「作法」というものがついてくる。

これらは職場だけでなく、私生活においても同じことが言えるのではないでしょうか。

「5S」という環境が整ってこそ、「作法」という大切な部分がついてくる。

よい環境がよい人をつくっていくのだと思います。

 

 

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