貼っちゃまずいかな?
許してTBS。
やはりこの作品だけは今も刺さる。
京都アニメにとっても、僕にとっても分岐点となった作品だ。
良くこんなものをTVシリーズでやったものだ、と今更ながら感心する。
もちろん単純な作画クオリティで言えば『フルメタTSR』や『ハルヒ』、『氷菓』なんかも全く劣らないと思うが……。
現場は殺気だっていた。とにかく天下を獲る!という意気込みで、大げさではなく、本当に戦場にいる感覚だった。
社内のスタッフ同士が、味方のようでいて敵だった。
とにかくいいものを上げないと置いていかれる、そんな凄まじい空気だった。
こんなものを出された業界は、そりゃ慌てふためくだろう。
本当に激震が走ったらしい。2005年の話だ。
そんな作品で心行くまで大暴れできたことは、誇りに思う。
解るようで解らない「セカイ系」。
ゲームを全編プレイしたが、正直訳が解らなかった。
でも、雰囲気だけは伝わった。
これはヌーヴェルヴァーグ?いや、そこまで捻くれていない。
僕は北野武を思い出した。
あ、これ、『あの夏、いちばん静かな海。』だ。
監督に絶対参考になるから、とビデオを渡した。
「良く解んなかったよ」
ダメか。
キャラの感情線だけは必死になって追いかけた。
観鈴ちんも他のキャラも、まぁ訳の解らない不思議ちゃんだったが、どこかに血の通った、脚本の都合でこうなりました、という描写は避けた。
特に狂言回しである往人、彼だけは崩れてはならない。
それが#5のシナリオでものの見事に崩れた。
僕は監督に直談判、抗議を行った。
「これでは感情が繋がってません!無茶苦茶です!」
監督はこう返した。
「じゃあどうすればいいのさ?」
僕はすぐ答えた。
「僕に任せてください。脚本は無視します」
本当にシナリオを破棄し、一字一句見ることなく、原作のゲームだけを参照して#5のコンテを上げた。
良く許してもらえたものだ・・・。
「オトナアニメ」でも言ったと思うが、『AIR』から『ハルヒ』までの数年間は、まさにアニメ界の「ヌーヴェルヴァーグ」をやり抜いたのだと思う。
僕がもうちょっといたら変わったろうにね。まぁそこまで自分を高く評価するつもりもありません。
そもそもその「ヌーヴェルヴァーグ」の意義も解らない。
結局今どこもかしこもこんななっちまったし。
ただ、川上さんの声が心に染みる。