認知症の早期発見に向け、子どもたちにも知識を身に付けてもらおうと、症状や患者への接し方を読み札にした「にんちしようカルタ」を、白陵高校(兵庫県高砂市阿弥陀町阿弥陀)の2年生グループが制作した。何も書かれていない真っ白な取り札に、遊ぶ子どもたちが読み札に合った絵を描き込むことができ、主体的に知識を学べるのが特徴という。(広岡磨璃)
メンバーは塩見桃菜さん(17)、植田凜子さん(17)、越智美羽さん(16)、金谷俊宏さん(17)で、全員が医師を志す。
4人は6月から、学生が認知症対策のプランを考え、実行する「inochi学生フォーラム」に参加。学生たちは講義やワークショップを通じてプランを磨き、11月3日の最終選考を通過したチームが同23日に大阪で発表する。県内からは、神戸女学院中や甲陽学院高などのチームが参加している。
白陵高のメンバーは介護現場などで聞き取り調査し、認知症の症状や対処法に理解が広まっていない現状を把握。早期発見が適切な治療につながることから、子どものころから遊びを通して知識を深めてもらおうと、かるたを考案した。
44枚の読み札は、専門家の助言を受けながらメンバーが考案。理解しやすいように一枚ずつに注釈を付けた。前向きな表現も心掛け、患者が人違いする症状を表した「さいとうさん 呼んでみたけど たなかさん」という札には「しゃーない」と付け加えた。
より知識を定着しやすくするため、取り札に子どもらに自分で絵を描いてもらう工夫を凝らした。これまでに2回、親子連れなどに遊んでもらった時には、自分が描いた絵の読み札をつぶやきながら帰っていく子もいたという。
塩見さんは「繰り返し遊んでもらえたらうれしい。かるたをさらに進化させ、活用される場を増やしていきたい」と話している。