2025年国際博覧会(万博)の開催都市の立候補が日本時間の23日未明に締め切られ、大阪など4都市の争いとなることが決まった。大阪とフランス・パリに加え、新たにロシア中部エカテリンブルクとアゼルバイジャンの首都バクーが立候補を表明。来年11月の開催地決定に向け、招致合戦は一段と激しくなりそうだ。
■知事「いずれも強敵」
候補地が4都市に決まり、23日午前、松井一郎知事は「これから4カ国で誘致競争がスタートする。いずれの国も強敵であり、相手として不足はない」とするコメントを発表。
「大阪・関西での開催意義を、博覧会国際事務局(BIE)加盟国の皆さんに伝え、理解を得ていく。開催地決定に向け、正々堂々と爽やかに競い合っていきたい」とした。
誘致委員会会長の榊原定征経団連会長もコメントを出し「国、経済界、地元自治体、国民など関係者が一丸となったオールジャパン体制で、誘致活動に全力で取り組む」と強調した。
府の担当部局は、新たな2都市の立候補を驚きと困惑をもって受け止めた。府によると、経済産業省からエカテリンブルクが立候補したとの情報が入ったのは、日本時間の22日午後6時ごろ。約20分後、バクーの届け出も確認し、万博誘致推進室で驚きの声が続いた。推進室の職員は直ちに博覧会国際事務局(BIE)のホームページを開き、情報収集に取りかかった。
■「想定外」「票読めない」
露口正夫室長は「直前の2カ国立候補は想定外だった。PR戦略の練り直しも検討する」と緊張した表情を見せる。「相手が何都市であろうと、大阪の魅力がアピールできるよう、できる限りのことをやるだけだ」と話した。
ロシアは20年の万博、アゼルバイジャンも同年の五輪開催に立候補した。露口室長は「いずれも国際イベントの招致を目指した経験があり、手ごわい相手だ」と漏らす。
万博開催地は18年11月のBIE総会で、加盟国の投票により決まる。欧州勢の多くがパリに投票するとの見方が強いなか、日本はアジア各国の支持固めを急ぐとともに、アフリカと中南米の票の取りまとめを狙っていた。
新たに2都市が名乗りを上げたことで、府幹部は「票の行方が一層不透明になった。どの地域を戦略的に切り崩していくかを改めて議論したい」という。
■若者がPR後押し
招致合戦の行方が混迷の色を濃くする一方で、民間企業や若者らによる後押しの機運は徐々に広がりつつある。府は大手銀のりそなグループの協力を得て、今週から、全国のATM約4100台の画面に「万博を大阪・関西に」などとするメッセージを表示した。
万博を盛り上げるためのアイデアを募集するサイトを立ち上げたのは、関西の学生が中心となった団体「inochi学生プロジェクト」。建築やパフォーマンス、イラストなど各分野ごとに集まった企画をコンテストにかけ、優秀な作品を府に提案する。
サイトでは万博賛同の署名も集めており、代表の大阪大医学部5年の清元佑紀さん(22)は「若者が積極的に関わり、万博の開催計画を充実させていきたい」と話している。