政治資金パーティー 収入の9割以上 誰が支払ったか不明

政治資金パーティー 収入の9割以上 誰が支払ったか不明
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総務省が30日に公表した国会議員が関係する政治団体の去年の政治資金収支報告書をNHKが調べたところ、政治資金パーティーの収益が合わせておよそ48億円と、寄付による収入の1.5倍に上っていたことがわかりました。パーティー券収入の9割以上は購入者の名前などを収支報告書に記載する必要がない1回の20万円以下の購入者で占められ、誰が支払ったのかわからない状態になっていました。専門家は「規制が厳しい寄付の代わりにパーティー券を購入する企業が増えていると考えられ、透明性を高める仕組みに見直すべきだ」と指摘しています。
NHKは、総務省が公表した去年の政治資金収支報告書のうち、当時の国会議員390人が関係する573の政治団体について、収入の内訳などを調べました。

このうち、政治資金パーティーの収入は合わせて59億9400万円余りで、経費を差し引いた収益は48億円余りでした。
一方、個人や企業などからの寄付による収入は合わせて32億1000万円余りで、政治資金パーティーの収益が寄付による収入の1.5倍に上っていることがわかりました。

政治資金規正法では、寄付の場合、寄付した人の名前や住所、金額などを政治団体の収支報告書に記載する必要がない金額は5万円以下ですが、パーティー券の場合は1回のパーティーの購入額が20万円を超えなければ購入者の情報を記載する必要はありません。

名前などが記載されていない5万円以下の寄付は全体の3%以下にとどまりましたが、パーティー券は収入全体の94%が1回の20万円以下の購入者で占められ、誰が支払ったのかわからない状態になっていました。

政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「規制が厳しい寄付の代わりにパーティー券を購入する企業が増えていると考えられる。パーティー収入が匿名性が高い事実上の企業献金になっているのが実態で、透明性を高める仕組みに見直すべきだ」と指摘しています。

寄付は減少 パーティー収入は増加

総務省のまとめによりますと、国に届けられた政治団体の収入のうち、個人の献金や企業や団体からの寄付は、平成3年の958億円ピークに減少傾向となり、去年はピーク時のおよそ6分の1の163億円余りとなっています。

一方、政治資金パーティーの収入は近年増え続けています。
パーティー収入は、平成16年の142億円をピークにいったん減少傾向になりましたが5年前から再び増加に転じ、去年は85億円余りに上っています。

パーティー券収益上位10団体

去年、総務省に収支報告書を届け出た国会議員に関係する政治団体のうち、政治資金パーティーによる収益が多かった上位10団体は以下のとおりです。

1位 西村康稔官房副長官
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「総合政策研究会」9073万9245円

2位 岸田文雄自民党政務調査会長
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「新政治経済研究会」8871万5758円

3位 平沼赳夫元経済産業大臣
   自民・衆議院議員(当時)
   資金管理団体「平沼会」8844万1390円

4位 林芳正文部科学大臣
   自民・参議院議員
   資金管理団体「林芳正を支える会」8024万4385円

5位 亀井静香元郵政改革・金融担当大臣
   無所属・衆議院議員(当時)
   資金管理団体「亀井静香後援会」7732万6771円

6位 伊吹文明元衆議院議長
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「明風会」7234万9607円

7位 遠藤利明元オリンピック・パラリンピック担当大臣
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「新風会」6925万1570円

8位 茂木敏充経済再生担当大臣
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「茂木敏充政策研究会」6774万1586円

9位 塩崎恭久元厚生労働大臣
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「廿一世紀問題懇話会」6571万3819円

10位 岡田克也民進党常任顧問
    民進・衆議院議員
    資金管理団体「岡田かつや後援会」6533万0849円

政治資金パーティーは夜から朝へ

政治資金パーティーは、夜、ホテルなどの立食で酒などを提供する形で開かれるものが一般的に知られていますが、30日に公表された政治資金収支報告書には「朝食会」や「モーニングセミナー」などの名称のものが目立ち、政治資金パーティーが従来のスタイルから変わりつつある傾向もうかがえます。

国会議員が関係する政治団体が開催した政治資金パーティーのうち、「朝食」や「モーニング」など、朝に開催されたことをうかがわせる言葉が含まれていたパーティーは、去年、少なくとも35の団体で115回に上っていました。

収支報告書に記載された内容を見ると、朝に開催されたと見られるパーティーは、1回当たり数十万円から数百万円の資金を集める比較的小規模なものが多かった一方で、現職の閣僚や閣僚経験がある議員の中には1回の朝食会で1000万円を超える資金を集めたケースも複数ありました。

このうち、1回の朝食会で最も多く資金を集めたのは、安倍総理大臣の資金管理団体で、去年、東京・港区のホテルで3回の「朝食会」を開催し、1回当たり300人以上から会費を集め、いずれも2000万円余りの資金を集めていました。

次いで収入が多かったのは、塩崎元厚生労働大臣の資金管理団体で、去年、東京・千代田区のホテルで5回の「朝食会」を開催し、いずれもおよそ1200万円から1500万円の資金を集めていました。

朝に開かれるパーティーが増えていることについて、政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「政治資金パーティーの形式には明確な定義はなく、朝食会に講師を招いてコーヒーを1杯飲むという形でも会費を集めることができる。夜のパーティーより参加者の負担も少ないので、最近多く開かれるようになったのではないか」と話しています。

議員秘書「朝のパーティーのほうが効率的」

朝に政治資金パーティーを開く理由について、与党のベテラン国会議員の秘書は「夜のパーティーの場合は、多くの支援者や来賓にあいさつしてもらうため長時間になるケースが多く、参加する側の負担も大きい。朝食会の場合は大体1時間程度で終わるため、閣僚など多忙な政治家も開催しやすく、忙しい支援者にも参加してもらいやすい。酒の提供も必要ないため、経費も抑えられ、短時間で効率的に資金を集めることができる」と話しています。

また、若手議員の秘書は「ライフスタイルの変化で企業や団体の人も夜より朝のほうが参加しやすい場合が多くなっている。夜のパーティーで一度に大勢の参加者を集めることができない若手議員にとっては、1回当たりの参加人数は少なくても、朝に何回もパーティーを開いたほうが資金を集めやすい」と話しています。

政治資金パーティー 収入の9割以上 誰が支払ったか不明

総務省が30日に公表した国会議員が関係する政治団体の去年の政治資金収支報告書をNHKが調べたところ、政治資金パーティーの収益が合わせておよそ48億円と、寄付による収入の1.5倍に上っていたことがわかりました。パーティー券収入の9割以上は購入者の名前などを収支報告書に記載する必要がない1回の20万円以下の購入者で占められ、誰が支払ったのかわからない状態になっていました。専門家は「規制が厳しい寄付の代わりにパーティー券を購入する企業が増えていると考えられ、透明性を高める仕組みに見直すべきだ」と指摘しています。

NHKは、総務省が公表した去年の政治資金収支報告書のうち、当時の国会議員390人が関係する573の政治団体について、収入の内訳などを調べました。

このうち、政治資金パーティーの収入は合わせて59億9400万円余りで、経費を差し引いた収益は48億円余りでした。
一方、個人や企業などからの寄付による収入は合わせて32億1000万円余りで、政治資金パーティーの収益が寄付による収入の1.5倍に上っていることがわかりました。

政治資金規正法では、寄付の場合、寄付した人の名前や住所、金額などを政治団体の収支報告書に記載する必要がない金額は5万円以下ですが、パーティー券の場合は1回のパーティーの購入額が20万円を超えなければ購入者の情報を記載する必要はありません。

名前などが記載されていない5万円以下の寄付は全体の3%以下にとどまりましたが、パーティー券は収入全体の94%が1回の20万円以下の購入者で占められ、誰が支払ったのかわからない状態になっていました。

政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「規制が厳しい寄付の代わりにパーティー券を購入する企業が増えていると考えられる。パーティー収入が匿名性が高い事実上の企業献金になっているのが実態で、透明性を高める仕組みに見直すべきだ」と指摘しています。

寄付は減少 パーティー収入は増加

総務省のまとめによりますと、国に届けられた政治団体の収入のうち、個人の献金や企業や団体からの寄付は、平成3年の958億円ピークに減少傾向となり、去年はピーク時のおよそ6分の1の163億円余りとなっています。

一方、政治資金パーティーの収入は近年増え続けています。
パーティー収入は、平成16年の142億円をピークにいったん減少傾向になりましたが5年前から再び増加に転じ、去年は85億円余りに上っています。

パーティー券収益上位10団体

去年、総務省に収支報告書を届け出た国会議員に関係する政治団体のうち、政治資金パーティーによる収益が多かった上位10団体は以下のとおりです。

1位 西村康稔官房副長官
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「総合政策研究会」9073万9245円

2位 岸田文雄自民党政務調査会長
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「新政治経済研究会」8871万5758円

3位 平沼赳夫元経済産業大臣
   自民・衆議院議員(当時)
   資金管理団体「平沼会」8844万1390円

4位 林芳正文部科学大臣
   自民・参議院議員
   資金管理団体「林芳正を支える会」8024万4385円

5位 亀井静香元郵政改革・金融担当大臣
   無所属・衆議院議員(当時)
   資金管理団体「亀井静香後援会」7732万6771円

6位 伊吹文明元衆議院議長
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「明風会」7234万9607円

7位 遠藤利明元オリンピック・パラリンピック担当大臣
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「新風会」6925万1570円

8位 茂木敏充経済再生担当大臣
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「茂木敏充政策研究会」6774万1586円

9位 塩崎恭久元厚生労働大臣
   自民・衆議院議員
   資金管理団体「廿一世紀問題懇話会」6571万3819円

10位 岡田克也民進党常任顧問
    民進・衆議院議員
    資金管理団体「岡田かつや後援会」6533万0849円

政治資金パーティーは夜から朝へ

政治資金パーティーは、夜、ホテルなどの立食で酒などを提供する形で開かれるものが一般的に知られていますが、30日に公表された政治資金収支報告書には「朝食会」や「モーニングセミナー」などの名称のものが目立ち、政治資金パーティーが従来のスタイルから変わりつつある傾向もうかがえます。

国会議員が関係する政治団体が開催した政治資金パーティーのうち、「朝食」や「モーニング」など、朝に開催されたことをうかがわせる言葉が含まれていたパーティーは、去年、少なくとも35の団体で115回に上っていました。

収支報告書に記載された内容を見ると、朝に開催されたと見られるパーティーは、1回当たり数十万円から数百万円の資金を集める比較的小規模なものが多かった一方で、現職の閣僚や閣僚経験がある議員の中には1回の朝食会で1000万円を超える資金を集めたケースも複数ありました。

このうち、1回の朝食会で最も多く資金を集めたのは、安倍総理大臣の資金管理団体で、去年、東京・港区のホテルで3回の「朝食会」を開催し、1回当たり300人以上から会費を集め、いずれも2000万円余りの資金を集めていました。

次いで収入が多かったのは、塩崎元厚生労働大臣の資金管理団体で、去年、東京・千代田区のホテルで5回の「朝食会」を開催し、いずれもおよそ1200万円から1500万円の資金を集めていました。

朝に開かれるパーティーが増えていることについて、政治資金に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「政治資金パーティーの形式には明確な定義はなく、朝食会に講師を招いてコーヒーを1杯飲むという形でも会費を集めることができる。夜のパーティーより参加者の負担も少ないので、最近多く開かれるようになったのではないか」と話しています。

議員秘書「朝のパーティーのほうが効率的」

朝に政治資金パーティーを開く理由について、与党のベテラン国会議員の秘書は「夜のパーティーの場合は、多くの支援者や来賓にあいさつしてもらうため長時間になるケースが多く、参加する側の負担も大きい。朝食会の場合は大体1時間程度で終わるため、閣僚など多忙な政治家も開催しやすく、忙しい支援者にも参加してもらいやすい。酒の提供も必要ないため、経費も抑えられ、短時間で効率的に資金を集めることができる」と話しています。

また、若手議員の秘書は「ライフスタイルの変化で企業や団体の人も夜より朝のほうが参加しやすい場合が多くなっている。夜のパーティーで一度に大勢の参加者を集めることができない若手議員にとっては、1回当たりの参加人数は少なくても、朝に何回もパーティーを開いたほうが資金を集めやすい」と話しています。