子どもの甲状腺検査で専門家会議
原発事故を受けて福島県で行われている子どもの甲状腺検査について、評価や検査のあり方を検討する専門家の会議が開かれ、子どものがんを長期的に把握するための新たな方法を検討すべきという意見が出されました。
原発事故で放出された放射性ヨウ素は甲状腺に蓄積しやすく、特に小さい子どもにがんを引き起こすおそれが指摘されているため、福島県は、事故当時18歳以下の子ども、およそ38万人を対象に甲状腺を調べる検査を行っていて、これまでに194人が、がんやがんの疑いと診断されています。
検査は3年前から2巡目が行われ、その結果が確定したことを受けて、結果の評価や検査のあり方の検討を行う専門家で作る検討委員会の部会が30日、福島市で開かれました。
出席者からは、年齢が高くなるにつれて検査の受診率が低下していて、将来的に有意なデータが得られなくなるおそれが指摘されました。
そのうえで、検査を受けなくなったあとにがんが見つかる可能性も捨てきれないとして、子どもの健康を見守りながら要因を検証するためにも、長期にわたって検査結果をどのように集めるか新たな方法を検討すべきという意見が出されました。
また、検査で見つかったしこりなどががんかどうかを判定するため組織をとって調べる「細胞診」という検査の実施率が1巡目のおよそ40%から2巡目では15%と低くなったことについて、「実施する基準がずれてくると解析に影響が出かねない」という懸念が出されました。
部会長を務める国際医療福祉大学クリニックの鈴木元院長は、「解析を進める上で1巡目と2巡目の受診率や細胞診の実施率などの違いをどう補正するかが課題だ。今のしくみでデータを集め続けることも難しく、意見を整理していきたい」と話していました。