ドンキホーテが19800円(税抜き)で買えてしまう、超安いノートパソコン「MUGA」を発表した。正直に言って、2万円で販売できるノートパソコンって製造可能なんだなと…素で驚いたわ※。しかもディスプレイ解像度はフルHDと来てる。
さて…スペック表も公開されているので、それを見ながら感想を書いてみます。
※これ以前にも2万円前後のノートパソコンはいくつか存在します。
ドンキホーテ製「MUGA」のスペック
製品名 | MUGA ストイックPC |
---|---|
型番 | KNW14FHD-SL |
OS | Windows 10 Home 64bit |
CPU | Intel Atom x5-Z8350(4コア搭載 / 1.44 ~ 1.92Ghz) |
メモリ | LPDDR3 2GB(カスタマイズは不可能) |
ストレージ | eMMC 32GB |
インターフェイス | Mini HDMI x1 |
USB 3.0 x1 | |
USB 2.0 x1 | |
Micro SD x1 | |
3.5mm イヤホンジャック x1 | |
無線LAN | IEEE 802.11b / g / n |
通信 | Bluetooth 4.0 |
バッテリー | 10000mAh |
駆動時間 | 約7時間 |
ディスプレイ | 14.1 inch / IPS液晶 / 1920×1080(FHD) |
カメラ | 30万画素(インカメラ) |
スピーカー | 1W x2 |
サイズ | 幅329mm x 奥行219mm x 高さ20mm |
重量 | 1200g |
価格 | 19800円(税抜) |
Atom x5-Z8350はかなりショボイ
「Atom」はインテル製のSoC(=スマホやタブレット向けのCPUと思って構わない)でして、いわゆるノートPC向けのCPUと比較すると大幅に性能が低いんですよね。
Cinebench R15 / Single Thread Score
Cinebench R15 /Multi Thread Score
とりあえず有名なCinebench R15で比較してみると、この様子である。「i5 8250U」はノートPC向けとしては一般的なグレードに位置するCPUです。
Atom x5-Z8350が2015年に開発されたCPUで、i5 8250Uは2017年後半に登場したCPUなので…そもそも世代が違うすぎるというのはあるんですが、Atomの性能は相当に悪い部類ということを言いたい。
確かに分かりづらいよね。じゃあ次はスマートフォン向けのベンチマーク「AnTuTu Benchmark v6」で比較してみよう。AtomはSoCなので、本来はスマホやタブレット向き。
AnTuTu Benchmark v6
Exynos 8890は主にGalaxy S7などに搭載されているSoCで、Snapdragon 625はASUS Zenfone 3などによく搭載されています。前者は6万円、後者は3万円ほどなので「MUGA」よりも高額だ。
よって、ドンキのMUGAはミドルクラスのスマートフォンと比較すれば性能あたりのコストパフォーマンスは高いといえるんですよね…意外なことに。
と同時に、ドンキのMUGAで出来ることはせいぜいWeb閲覧(Chromeなど)と簡単な文書作成や表計算くらい(MUGAにはWPS Officeが付属している)が限界ですね。
- MUGAの性能は3万円くらいのスマホ並
- Web閲覧と、Officeソフトで簡単なことをするのがせいぜい
- ゲームには決して期待してはいけない
ストレージは「eMMC」規格
SSDではなく、どちらかと言うとUSBメモリーやSDカードに近いタイプのストレージです。よって、読み書き速度はHDDとそう変わらないレベルになるはず。
QuickBench Storage Test / 秒間転送速度
読み込み速度(Read)書き込み速度(Write)
2015年に2万円ほどで発売された「HP Stream 11」にも、ほぼ同じ規格・容量のeMMC形式のストレージが搭載されていた。読み書き速度は見ての通りSATA3接続のHDDと同格で、書込みに至っては50%程度。
2016年に同じく2万円台で発売された「Chuwi Hi10」の64GBのeMMCを搭載していたが、やはり速度はそこまで速いものではない。普段SSDを使った環境に慣れている人なら、間違いなくストレスを感じるだろう。
- HDD並のストレージ速度
- SSD並のキビキビとした動作は期待できない
むしろ、Android OSなどによってハードウェアと密な最適化が行われているスマホの方が、体感上はずっとキビキビとしている可能性が高い。
外で気軽に、Web閲覧やブログ書けるのは便利そう
というわけで、性能には期待できませんが用途をちゃんと限定しているなら悪くはないと思います。
- フルHD & 14インチの広い画面
- ChromeやWord程度なら問題ない処理性能
スマホやタブレットはChromeなど、コンテンツを消費するには便利ですが、逆に生産するのは面倒なんですよね。キーボード無いですし画面も狭い。
それに比べるとこのドンキのMUGAは、3万円クラスのスマホに大きなディスプレイとキーボードを取り付けたようなモノですから、外でブログなどを書くのにも重宝しそう…。
メモリーがわずか2GBしか無いため、Chrome + Officeだとモッサリしだすかもしれないが、他のデバイス(スマホとか)を使って作業を分散すれば十分に乗り切れるだろうし。
【補足】グラフィックス性能について
Atom x5 Z8350には「Intel HD Graphics(Charry Trail)」という内蔵グラフィックスが搭載済み。しかし、ここまでの流れで理解できると思いますが、決して期待していいレベルじゃない。
そもそもデスクトップ向けCPUの内蔵グラフィックスですら、性能は優秀ではない。Atomの内蔵GPUだと、マインクラフト(描写設定は低め)を20~30fpsで動かすのが精一杯だ。
この動画が参考になります。HD画質(1280×720)で30fps前後といったところ。でも一応マインクラフトくらいのゲームなら動くのか、地味に驚いた。
まとめ:2万円で買える格安ノートPC「MUGA」は意外と良い
かもしれない。
少なくとも、現状で分かっているカタログスペックとそれらのベンチマークデータを見た範囲ですが、2万円というコストに対して十分なリターンを得られる良品になりそう。
14インチでフルHD画質というのも個人的にはちょうどいい。17インチは持ち出すには邪魔くさいし、11インチはキーボードが狭くて入力が手間な部分もある(まぁ、手先が不器用なだけですが)。
しかもディスプレイは色再現が得意な「IPS液晶」というところも、2万円という価格を考えると脅威的。実際にこの目で見てみないと断定はできないが、手持ちのIPS液晶モニターはつややかでキレイなんですよ。
というわけで以上「ドンキの2万円で買えるノートPC「MUGA」への率直な感想」でした。
そもそも窓辺とおこさん+フルHD画面でRAMメモリ2GBって時点で破綻してませんか?
とおこさん自身で1GB以上食うらしいですし、フルHDだと画面表示だけでビデオメモリとして少なくとも256MBは食ってるでしょうから、残りのRAMで動かせるソフトってほとんどない気が…。
Chromeの場合、タブを開けば開くほどメモリーを食う仕様なので、かなり2GBはキツイ状態だと思います(Win10 + 常駐アプリで、残りは多分800MBくらい?)。
「多くても10タブ程度のWeb閲覧のみ」「かんたんなOffice作業のみ」、などなどかなり限定された使い方じゃないと快適な動作はほぼ期待できないかと…。
2GBのメモリ対策にUSBレディで対処すれば、まぁ、それなりにやってくれるかもしれません。