AIと人類が共生する時代へ向けて :情熱のミーム 清水亮
新会社「ギリア」設立スピーチに込めた思い
連載
注目記事
SIMフリー「Xperia XZ Premium」 x 「nuroモバイル」は本当に安いのか:週刊モバイル通信 石野純也
IQOS、gloより5倍お得な加熱式タバコ「ヴェポライザー」で知っておきたいこと使い方やメンテ術解説(世永玲生)
Amazon Echo Dot速攻レビュー。スキル試行は最初のスマホ的な楽しさ、日本語周りは意外な弱点が
人気記事
第4の加熱式タバコ「ヴェポライザー」WEECKE FENIXの衝撃。IQOS、gloの5倍お得、味は濃くてまろやか(世永玲生)
ワイモバがAndroid Oneスマホ4機種を発表。HTC U11 lifeベースや京セラ、シャープ製も
SIMフリー「Xperia XZ Premium」 x 「nuroモバイル」は本当に安いのか:週刊モバイル通信 石野純也
ギリアとは、UEIとソニーCSL、そしてシリコンバレーのベンチャーキャピタルであるWiLの三社によるジョイントベンチャーである。
すでにあちこちでニュースになっているから、詳細はそちらを参照されたし。
僕達は2013年からソニーCSLと人間の人工進化について共同研究を進めてきた。
秘密プロジェクトだったが、ようやく皆に発表できる時が来たので記者会見を行った。
冒頭の挨拶ではギリア会長の北野宏明(ソニーCSL社長)が設立の経緯について軽く述べたあと、ついに僕の番になった。
僕は普段、プレゼンのスピーチ原稿を書いたりはしないが、今回はステークホルダーが多いのと、失敗できないため、事前に何度もスピーチ原稿を練り直した。個人としてはスピーチ原稿を書いてからスライドを作るという方式を初めて採用した。
このスピーチ原稿には多くの人の手を借りている。中でも重大な貢献を果たしたのは、ビジネス・インサイダーの伊藤くんと、映画監督の樋口真嗣さんで、特に仕上げは樋口さんのアドバイスをかなり踏襲している。その結果、前代未聞の内容の記者会見となった。
また、選曲もJASRACの許可をとった上で、樋口真嗣さんの選曲アドバイスが実に冴えていたのでそのまま採用した。
しかし柄にもなく緊張した。
そして矢崎は取材に来ていたくせにニュースを書きもしないので、仕方なく自分で書いている。
自分の連載なので、なにを書くべきか矢崎に相談したら、スピーチ原稿をそのまま載せてくれい、とのことなので、スピーチ原稿を以下に掲載する。もちろん実際にはこのように喋ってはいない。あくまでも、スライドを作るための材料である。
普通に読むと眠たいので、暇で暇で仕方がない時にひまつぶしで読んでいただければ幸いである。
おはようございます。ギリアの清水です。
今日皆さんにお話したいことは、人類の進化についてです
人類のなかでもホモ・サピエンスだけがなぜこれほどまでの進化を遂げることができたのか?
ヘブライ大学のユヴァ・ハラリ教授によれば、それは、ホモ・サピエンスだけが虚構を信じる力、つまり想像力を持っていたからだと言います。
想像力は常に新しい概念を作り出し、概念は形となり、それは道具と呼ばれます。
人は皆、生まれながらのサイボーグなのです。
ホモ・サピエンスは想像力によって家族や社会を作りだしました。想像力によって安全を獲得し、さらに新しい道具を生み出して行き、様々な生物学的な制約を乗り越えてきました。
そしてとうとう、ホモ・サピエンスはヒトのように思考する、究極の道具までをも発明しようとしています。
そう、コンピュータです。
オックスフォード英英辞典によれば、コンピュータという言葉は、17世紀からあったと言われています。
走る人をランナー、記事を書く人をライターと呼ぶのと同じように、計算する人をコンピュータと呼んでいました。
コンピュータはやがて、職業になりました。
これは1949年のNASAの前身となったNACAのコンピュータルームです。
計算を専門に行う部署で、主に女性が働いていました。
かつて数式の計算はとても複雑で難解なので、人間でなければ解くことができないと思われていました。しかしこれを機械にやらせようと考えた人たちがいたのです。
デジタルコンピュータです
それからたくさんのコンピュータが作られました。もう数え切れないほどの数のコンピュータです。
コンピュータは、これからどうなっていくのでしょうか。
コンピュータそのものの性能は2010年で頭打ちになっています。ただ高速になり、大容量になるだけでは、コンピュータの進化はとまってしまいます。
この20年の間、コンピュータは様々な形態に進化しました。しかし、できることはほとんど変わっていません。
人類の進歩とは、つまり道具の進歩です。
リヤカーから自転車、自動車と道具が進歩することで人類は新しいライフスタイルに移行してきました
人類が生み出した最先端の道具であるコンピュータの進化がとまるということは、人類の進歩が止まるということと同義です。
誰かが新しい想像力で、全く新しいコンセプトを考えなければ、人類の進歩は停滞してしまう。
少なくとも人類は1968年のアラン・ケイ以来、半世紀にも渡って、新しいコンピュータの形について考える事をやめていました。
もちろんそのビジョンがそれほどまでに強烈だったからなのですが、当時のアイデアのほとんどが実現できてしまった現代、我々は想像力の翼を広げ、もっと新しいコンセプトを考えなければなりません。
2012年に私達がenchantMOONと呼ばれる端末を開発しようと思い立ったのは、そんな思いがあったからでした。
ひとまず私達は手書きの研究をすることにしました。
奇妙なことに、コンピュータの第一線で働くプログラマーでも未だに手書きを愛用しているからです。手書きには、コンピュータに実現できていないなんらかの秘密があると、私達は考えました。
enchantMOONが目指したのは、手書きだけでプログラミングができることです。
実際、enchantMOONを使って、小学校低学年でも、自分の考えをプログラムとして表現し、Webアプリを開発できるようになりました。
しかし、手書きだけではなにかが足りない、という気持ちも同時に浮かびました。手書きとコンピュータのギャップは、手書きに寄せすぎても、また、キーボードによりすぎても、決して埋めることのできないミッシングリンクがあると感じたのです。
そんなとき、ソニーCSLの北野さんが私達に声をかけてくれました。
彼もまた、手書きに大きな可能性を感じていた研究者の一人でした。
我々は共同研究として、秘密裏に手書きの可能性を探ることにしました。2013年のことです。
当時の北野さんのアイデアは明快でした。「ディープラーニングを使おう」というのです。
2013年ですよ。当時、企業人は誰もディープラーニングに注目していませんでした。ディープラーニングという言葉など、聞いたこともない人の方が多い時代です。
今思えば、これは極めて冴えたアイデアでした。
そうして我々は手書きとディープラーニングを組合せた全く新しい知能へのアプローチを考えました。
当初は既存の端末上で動くOSを開発することにしました。
しかし、ディープラーニングは、驚くべきものでした。
当初予想していたよりもずっとずっと重大なものであるとすぐにわかりました。
それまでのコンピュータは、論理的なことは得意でも、写真を見て、それがネコかイヌか判別したり、それが可愛いか可愛くないか、という主観的なことを感じ取ることは不可能でした。
しかし、ディープラーニングは、それを可能にします。
驚くべきことです。そしてディープラーニングの持つ、そうした「直感力」とでもいうべき性質は、いまや人間を凌駕するほどの力を持っているのです。
これを利用してもっと新しい道具が作れないか。
たとえばユーザの表情の微妙な変化から、ユーザと一体化し、ユーザの思考を直接拡張するようなことができないか。私たちは考えました。
我々はNDAのもと、様々な方々の協力を得て、既存端末で開発と実証実験を繰り返しました。
その結果、重大なことがわかりました。
今の既存のハードウェアは、AIを前提として設計されていないということです。
AIを最大限機能させるためには、全く新しいフォームファクタとアーキテクチャが必要だということがわかったのです。
私はenchantMOONのプロジェクトで、アポロ計画のアナロジーをよく使いました。そのアナロジーでいうところの月面着陸、その到達点を、これからお見せします。
我々は、これをMEMEコンセプトと呼んでいます。
タブレットのような形をしていますが、特徴的なのはバッテリなどの重い部品が全て片側に寄せられ、片手で持ったときにもほとんど重量感を感じないようになっているところです。
MEMEは、文化遺伝子です。手書きをするとき、ユーザの脳にぼんやりと浮かぶアイデアを漠然と書くと、端末の方からユーザに語りかけます。キーワードから視覚的なイメージを提案したり、逆に手書きで書いた絵からキーワードを提案されることもあります。また、同じ会社や同じチームの人が書いた別のメモから、似たようなアイデアがあれば提案されます。ミームを通じて、人々のアイデアが溶け合い、一体化していくのです。これは全く新しい、共生型知性ネットワークです。
実際に使っているところをお見せしましょう
MEMEには360度撮影可能な魚眼カメラが搭載されています。このカメラは常にユーザやその周囲を観察しています。ユーザはどのようなときに喜ぶか、どのようなときに怒るか、戸惑うか、そういった一挙手一投足を観察し、ユーザが提示された情報に興味を持つかどうかを学習し、ユーザの知能の働きを直接支援するようにユーザ一人ひとりにあわせて成長していきます。
21世紀の人類は、一人ひとりが、自分の中にあるミームの分身ともいえる、自分のことを知り尽くしたAIを持つことになるでしょう。
我々はこれをパーソナルAIと呼んでいます。
さて、次の段階は、このコンセプトをどうすれば製品として実現できるか、です。
北野さんは、UEIに期待するのは、独自のOSからアプリケーション、ネットワークサービスまで一気通貫で作ることが出来る開発能力、そしてなにより人類全体に及ぶスケールでものを考える想像力であると言いました。
私達としては、enchantMOONというハードウェアを開発した際に製造面で非常に苦労しました。また、海外の展示会に出展しても、ほとんど注目を集めることができませんでした。世界を変えたいと心から願っているのに、小さな会社だけではできることにも限界があります。しかしソニーと組めば、世界展開が極めて現実味を帯びます。
さらに強力な援軍を得られることになりました。シリコンバレーに本拠地を置くベンチャーキャピタルのWiLです。彼らの豊富な経験とコネクションを駆使すれば、最初から世界を狙った製品開発が可能であると我々は考えました。
そうしてギリアが誕生しました。
会長は北野さん、社長は私、取締役として、ソニーから2名、WiLから伊佐山さんを含む二名が参加します。
今回の取り組みについて、WiL創業者の伊佐山さんから、ビデオメッセージを頂いています。
※伊佐山さんのメッセージ
WiLとのコラボレーションを通じて、我々は様々な企業の「AI化」を行っていきます。
WiLのパートナーや投資先はもちろん、あらゆる業種の顧客とジョイントベンチャーを作り、共同研究を行い、顧客の「内側」にAI対応人材を育成します。AIを使いこなすためには、それを理解している人間が顧客の側にどうしても必要だからです。
つまり、既存企業の皆様は、我々とコラボレーションすることで、社内にもノウハウを貯めることが出来るようになります。これは当社が、技術やノウハウを内側に閉じ込めることをせず、開かれたイノベーションを推進していくということです。
さらに、さまざまなコラボレーション企業のAIを組み合わせることで、単体では開発できないほど高性能なAIや、それまで考えられなかったようなイノベーションが生まれる、アンサンブルイノベーションを実現できると考えています。
我々はヒトとAIの共生環境を実現し、人類全てをAIで知能サイボーグ化します。それが我々のミッションです。
ギリアのターゲットはAIのロングテールです。
今存在している人工知能技術は、一部の研究者や大企業が独占しています。いわばかつてのメインフレームです。われわれは、まだAIを活用できていない人々にむけて、パーソナルなAIを提供していきます。
先程紹介したMEMEコンセプトを考えた際、これを社会実装していくにはどんな方向性があるか検討しました。
MEMEコンセプトがそのまま商品化された場合、最初に問題になるのは、AIがどのようにヒトの知的作業を支援し、生産性を向上させることができるかという問題です。
たとえば、先程お見せした、落書きから画像を推定する機能・・・我々はDeepDrawと呼んでいますが、これは単純な画像分類とキーワード検索を組合せたものです。しかしこれを作るには大量の手書き画像データが必要でした。
ほかにも、いろいろな方法を開発しましたが、明らかに、もっともっと、たくさんの可能性があるのに、それを我々だけで開発することは到底不可能に思えます。
我々が気づいていないだけで、もっと面白くて便利なAIを作れる可能性があります。
そのためにはもっといろいろな人がいろいろな仮説を試す場が必要です。AIをもっとカジュアルに、それこそ、ブログやSNS、Youtubeなどになにか投稿するのと同じくらい気軽に公開できるような場所のほうがむしろ必要なのではないか。もちろんそこで公開されたものが、ほかのいろいろな人も手軽に使えるようになって、AIを作った人も使った人も双方がメリットを享受できるようになるべきではないか。
そこで我々は、AIの恩恵を誰もが受けられるようにするプロジェクト、「みんなのAI」をスタートします。
MEMEコンセプトからは2つの方向性が見えます。
ひとつは、AIの仮説を実験するためのツール、つまりAIをもっと多くの人が気軽に試せるような場所の提供です。もうひとつは、気軽に作られたAIを使ってみることができる方法の提供です。
MEMEを開発する過程で、我々はAIをつくるということそのものは、それほど難しいことではないことを発見しました。問題があるとすれば、むしろ環境なのです。コンソールでプログラミングをしないとAIが作れないということです。これだけでハードルがグッと上がってしまいます。
そこで、文字通り誰にでもAIを作ることが出来る環境の構築が重要だと考えました。
我々の第一弾製品はノンプログラマーのための人工知能育成環境です。
GHELIA Studioと呼んでいます。
GHELIA Studioがあれば、ブラウザだけで誰でも人工知能をつくることができます。
手持ちのデータをアップロードすると、それを使ってどんなAIを作ることが出来るか、いくつかのAIテンプレートが提案されます。
当初用意するのは三種類、画像分類、特徴把握、画像変換のテンプレートです。
この3つは非常に有用で、かつ、素人が見ても面白いと感じられるものだからです。
先程のDeepDrawでは、落書きを分類して、画像検索のキーワードを拾っていました。
画像分類は非常に簡単で強力なツールになりえます。まだみんなが気づいていないだけで、もっと有用な画像分類の方法がありえるはずです。
芸能人の顔を見分けたりとか、漫画のキャラを見分けたりとか、そんなシンプルなものでも、一切のプログラミングスキルを持っていなくても、作れるとしたら、便利だと思う人はたくさんいるはずです。
ほかにも、たとえば画像変換を使ってみます。
写真と、それに対応する線画を学習させると、
逆に線画から写真を作り出すAIができます。
カラー写真と、それを白黒にした写真を学習させると、白黒画像をカラー化するAIをつくれるのです。
自動運転車などのカメラが公道で撮影した写真と、それを色分けしてどの部分が道でどれが通行人でどれが他の車なのか教えると、自動的に道路を認識するAIを作ることができます。
画像変換という一つのAIテンプレートだけをとっても、アイデア次第でバラエティに富んだ人工知能を作ることができます。重要なのはむしろデータです。
実際、使ってみればわかるのですが、実際に学習ができることがわかると、誰でも感動します。
そして、もっとたくさんのデータを使いたくなったり、もしくは手持ちのデータだけでは足りない、というタイミングが来ます。
人工知能の性能を決めるのは、実はアルゴリズムではなくデータの量と質です。
アルゴリズムの進化では性能向上はわずかしか得ることができません。データの方が圧倒的に大事なのです。
GHELIA Studioのユーザは、ブラウザ上から簡単にデータ作成を依頼することができます。どんなデータをどのくらい、いつまでにほしいのか、極めてシステマティックに指示すると、料金と納期が示され、すぐに依頼することが可能です。
GHELIA Studioがあれば、普通の人でも、アイデアとチャレンジ精神だけでいろんな人工知能を作ることができるようになります。
面白い人工知能ができたら、それを使ってビジネスがしたい、と考えるのが自然です。
また、自分にはそんなにいいアイデアはないけれども、誰かの作った人工知能を手軽に使いたいというニーズも出てくるでしょう。
そこで、もうひとつの方向性を考えてみましょう。もっとコンシューマに寄った場合、どういう方向性がありえるでしょうか。
MEMEがタブレット端末だとすれば、GHELIA Studioはデスクトップです。だとすれば、スマートフォンにあたる部分はどんなものになるでしょうか。
そこで第二弾製品を用意してあります。
「GHELIA Lens」と呼んでいます。
たとえばこんなことができます。
写真を見せるだけで人数を数えたり、たとえばこんなふうに・・・いま撮影しました。
この中から人々の顔だけ抜き出すことができます。
今日わざわざここへ足を運んでくださった報道陣の皆さんの顔を忘れないように残しておくことができますね。
ほかにも、アウトドアで野生の植物を撮影するだけで、それが毒性をもっているのか、食べられるのか判定したり、犬を見せて犬種をあてさせたり、虫を見て危険かそうでないか判定したりすることができます。料理の写真を見せてカロリーを計算したりもできるでしょう。そんな身近なところから、AIは人々の生活を変えていくことができます。
「みんなのAI」は世界初のAIのマーケットプレイスです。GHELIA Studioでいろんな人が作ったAIを、誰でも活用できます。
先日スタイリストの知人にギリアレンズを見せたら、「今すぐ使いたい」というので驚きました。
何に使うの?と聞くと、彼女は撮影するだけで質感からその服の素材が知りたい、というのです。
驚きました。まさにAIのロングテールの例です。
国立がんセンターの先生は、プログラムが全く書けないのですが、ギリアスタジオの試作品を使って、内視鏡写真から癌かどうか見分けるAIを開発して学会発表した、ということでわざわざお礼に見えられました。
こんなふうに、誰でもアイデアがあればすぐにAIとして実現できるのが、まさに我々の目指す世界です。
GHELIA StudioとGHELIA Lensを使えば、誰でも今すぐ、AIを自分の仕事にできるのです。特別な才能は必要ありません。必要なのはちょっとした遊び心とチャレンジ精神です。AIは誰にでも作れるのです。
そうして作られた多種多様なAIは、最終的にはMEMEコンセプトのようなタブレット端末はもちろん、多種多様な端末に実装されていくでしょう。つまりこの2つの製品の先には、全てのマシンがAI化する世界があるのです。
我々、ギリアはAIによるグローバルヒューマンエンハンスメント、つまり、地球規模の人間強化を行っていきます。
いかがだったでしょうか?
MEME、GHELIA Studio、そしてGHELIA Lens
いろんな話をしました
最後に、ギリアの名前の由来についてご紹介しましょう。
GHEはグローバルヒューマンエンハンスメント、最後のIAは、「場所」という意味があります。
ギリアは、地球全体を包み込む薄いレイヤーとして存在しています。誰でもギリアに参加できるのです。
かつて、あるネット企業はいずれできるだろう世界政府のための道具を作るという理想を掲げていました。しかしながら、主要なネット企業は、それら企業内のクラウドで閉じた形で事業を行っているのが実際です。
そして現実の世界は、それらの企業が理想とした形、つまり単一の政府が世界を支配するのではなく、さまざまな多様性をもった文化圏が交流することで、ゆるやかな連帯をもって、人類全体が平和に共存を目指すような時代が到来しつつあるのだと捉えています。
インターネットとブロックチェーンがそれを可能にしました。
インターネットによって情報に国境がなくなりました。これまでは情報、インフォメーションだけを扱ってきましたが、これからの時代はそれに加えて知能、すなわちインテリジェンスも同様に流通することになります。
ブロックチェーンがあれば、もはや中央集権的な存在に頼らなくても、契約の履行や通貨システムを実現できることがすでに示されました。時代は統一的な世界政府や単一の企業国家ではなく、緩やかな世界連邦へと向かっています。
我々の目標は、地球全体をゆるやかに包み込む、巨大な共同体を作ることです。だからこそ、誰でも参加できることが重要だと考えています。
人類は前進しなければなりません。そのためにAIという新しい道具があります。我々は文字通り世界を変えるつもりです。
報道陣のみなさん、本日はお越しいただいてまことにありがとうございました。