7オイコノミア「足りない!どうする?欠乏の経済学」[解][字] 2017.11.29

2911月 - による admin - 0 - 未分類

魔法のソースですね。
魔法のソース!?頂きました。

(テーマ音楽)街で聞きました。
何ですか?
(女性)足りないこと…。
お金!一番多かった答えは…。
(女性)時間ですね圧倒的に。
はい。
(女性)時間。
(男性)あの今大学3年生なんですけど就活に向けてちょっといろいろ準備とかしたりするのに時間がいろいろ足りないなとは思ってます。
うん……あとはなんだろ?なんだろう?結構…中にはこんな声も。
(男性)愛情が足りない。
今は。
帰ってきて暗い部屋戻ってきて電気つけてちょっとテレビ見たらもう寝る。
次の日また仕事行くっていう。
このなんか寂しい。
お金時間恋人…。
人生に起こるさまざまな「足りない」。
ホントはこのぐらい必要なのに今はこれだけ。
すごく「足りない」…。
そんなとき人は「欠乏」の状態にあります。
どんな「欠乏」でも直面すると同じような心の動きが起きると最新の経済学で明らかになってきました。
意外にも「欠乏」が心のパワーを高めることもあるんです!一方生活に支障をきたす恐ろしいワナに陥ることも…。
ん?トンネル?ん?ジャグリング?さまざまな「足りない!」にどう対処すればいいのか?「欠乏の経済学」で考えます!
(又吉)街頭インタビューいろんな「足りない」がありましたね。
(岩尾)ありました。
時間の方がちょっと多い印象でしたね。
なんかそんな…商店街のあの感じにおる人たちやから時間に追われてる感じがそんなにしないんですけどね。
実際聞いてみると。
学生さんでも時間がないというね。
部活やめたらええやんとかこっちは思いますけどそういう訳にはいかないんですね。
やめれないんでしょうね。
(中室)岩尾さんが今何か足りないなって思われるものってありますか?まあ今この並びで…
(笑い声)そうですね。
後藤とか綾部みたいなのがどっちかおらんとみたいなとこありますね。
1人いないとねええ。
まあでも僕は結構どうでしょう。
足りないものだらけのようなまあ髪の毛の量が足りてないというのはありますしルックス面とかは足りてないんじゃないかなと思いますね。
又吉さんは何か足りてないなと思うものはおありになりますか?僕もいろいろあるんですけどでもさっき街頭インタビューであったように僕も時間がちょっと足りないなと感じますね。
なるほど。
何が足りてないかは人によるということなのかもしれませんけれども本当はもっとあったらいいのになというように考えてそれが足りていない。
そういう事を「欠乏」というふうに経済学は呼んでいまして。
この「欠乏」というものに今大変注目が集まっています。
うん。
「足りない」が経済学のテーマなんですか?そうなんですね。
英語ではこの欠乏というものをですね「Scacity」というふうに言っていましてこれは日本語では「希少性」などというふうに訳されることもあるんですね。
へぇ〜!これどういう事かと言いますともともと……ですので経済学は「欠乏」をそもそも研究している元祖「欠乏」の科学とでも言いましょうかそういうところがあると思います。
そうなんですね。
実はですねこれまで経済学は主にお金とかモノが足りない。
こういうモノのことを「物的資源」というふうに言いますけれどもモノが足りてないということを考えてきたわけですけれどもこれに加えて最近はハーバード大学のセンディル・ムッライナタンとかプリンストン大学のエルダー・シャフィールという非常に有名な経済学者がいましてこの人たちはモノが足りてないという…心の資源。
はい。
何かが欠乏した状態になりますとある共通した心の状態マインドセットになるということなんですね。
ふ〜ん。
ですから今回はその「欠乏」ということがもたらすこととそれにどういうふうに対処したらいいのか。
それを知ることによってより幸せになろうということで「欠乏」について考えてみたいと思います。
はい。
難しいなぁ。
心の資源。
はい。
まず考えるのは…例えば先ほど岩尾さんは髪の毛だったりとかルックスだったりということをおっしゃいましたけれどもそれが欠乏している状態だとなりますとどんなふうにお感じになりますか?どんなふうに?いやなんかみじめな気分にはなりますけどね。
髪の毛が欠乏してると言われたくないですよね。
こんなんじゃ家出れないとか。
ウフフフッ。
そこまで考えます?もう今日は外出たくないみたいな。
だからもっとこうシュッとならんもんかなとか。
うん。
なるほど。
時間がないというふうにお考えになる又吉さんはあと1時間で原稿の締め切りがあるという時にはどんな状態なんでしょうか?それをどうしようかなという事をずっと考えちゃってますよね。
お金がない時もやはりですね人はどうやってやりくりしようかなというふうに考えるわけですよね。
…締め切りだったりルックスだったりお金のことだったりそのことで心がいっぱいになってしまうというわけですね。
ただこれは必ずしも悪いわけではありませんのでちょっと簡単な実験をすることでそのことを確かめてみましょうか。
(2人)はい。
「欠乏」は悪いことばかりじゃない?一体どんな実験なんでしょう?お手玉をですねあの5m先にあるカゴに入れていただきます。
玉入れで使う玉を5m先のザル目がけて投げ入れます。
見事ザルに入ると10点。
惜しいと5点手前は3点。
距離が足りなくてもオーバーしても0点です。
そして2人に配る玉の数が…。
岩尾さんにはまず3球。
はい。
はい。
又吉さんは10球です。
ですのでこのままお渡しします。
はい。
何なんですか!?そのMC優先みたいな。
(笑い声)え〜!持ち玉の数が違うなんて不公平。
岩尾さんが3個なのに又吉さんは10個。
でもこれがゲームのミソなんだとか。
とりあえず実験開始!いきます。
うん。
ハハッ…。
あっ点数は入るんですね。
あっあぁ。
あ〜出ちゃ駄目ですもんね。
こんな感じか。
ああ。
惜しいですね。
ん〜よっと。
って又吉さんしゃべって。
これテレビですよ。
ま・た・よ・しさん!しゃべってね。
又吉さ〜ん。
お〜!あ〜。
(笑い声)点数はとってるんですね。
結構ほとんど入ってるから。
だいぶ。
続いて岩尾さん。
持ち玉はたったの3個。
3球しかないんで10点狙わないと勝てないんですもんね。
そうですね。
これで勝負するならば。
はい。
おいしょ。
ああ。
あ〜!惜しい。
フフフッ…。
これぐらいかな。
ああ惜しい。
うまいですねでも。
最後の玉慎重に狙いを定めて?あかんな。
ああ惜しい。
うまい。
10点ですかね。
3個ともザルに当たるナイスコントロール。
それでは第2試合を行います。
第2試合は逆になりますね。
又吉さんに3つ岩尾さんに10個差し上げます。
おやおや!今度は持ち玉の数が逆。
又吉さんが3個。
岩尾さんがはい10個です。
皆さん実験の目的わかってきましたか?ということでここからは早送り。
どうぞ。
ふんふん。
投げてますね。
はいはいはいはい。
5505。
5が3つ。
10個投げた岩尾さん。
今度はあんまり振るいませんでしたね。
そして3個の又吉さん!はい。
最後の1球!よいしょ。
お〜載った。
載った。
15点。
又吉さん最後に決めました!すばらしい。
第1ゲームは45対10で又吉さんの勝ち。
第2ゲームは引き分け。
でもここから一体何がわかるの?はい。
はい。
こうなっています。
はぁ。
又吉さん持ち玉が10個の時はひと玉あたり4.5点。
3個の時は5点。
岩尾さんは持ち玉が3個の時は3.3点ですが10個の時は1.5点。
2人とも持ち玉が3つしかなかった時のほうがひと玉あたりの点数が高くなりました。
…というふうに考えられる。
大事にという感じでね。
はい。
お二人は…あぁ〜まあ3球のほうが3回しかチャンスないからというのはありましたね。
先ほどご紹介しましたハーバード大学のムッライナタンとプリンストン大学のシャフィールもゲームを使ってよく似た実験をしています。
そうしますと持ち玉の数が少ないほうが集中力を発揮すると。
そういう研究結果になっているんですね。
すなわち玉の数が少ないという欠乏はですね集中するという意味での集中ボーナスというものをもたらすというふうに考える事ができるわけです。
なるほど。
時間がなくなってきた時のほうが集中してるなというふうに感じる時ありませんか?テストの前だったり締め切りの前だったり。
確かにそういう実感はありますね。
いうたらネタ作りでもなんぼ時間かかってもええから最高のネタ作ってと言われたら多分できないと思うんですよ。
この日までに作らなアカンというから作るという。
文章書く人でも締め切りがないと書けないという人いっぱいいますよね。
実際そうかもしれないですね。
欠乏状態はふだん以上の集中力を発揮できる集中ボーナスをもたらす。
試験前の一夜漬け締め切り前のラストスパート。
皆さんも身に覚えがありますよね。
しか〜し!それには思わぬ代償があるといいます。
これは実は集中をすると脳の物事を処理する能力に負荷がかかっているということになりますので欠乏している状態というのは物事を処理する能力に大きな負担がかかっているということでもあるんですね。
どうなるんですか?それで。
そうしますと……ということが増えてきます。
その1つが「トンネリング」という現象なんです。
トンネリング。
はい。
ちょっとこういう物を用意してみました。
はい。
これはですね列車の模型とそれからトンネルですね。
これをちょっと見ていただけますでしょうか。
トンネルに入る前は周りの風景が見えているわけですね。
岩尾さんが映っています。
はい。
でそれが列車がだんだんだんだんトンネルに近づいてきてですねこういうふうになってトンネルに入りますと今度は出口に見えるもの以外は全て見えなくなってしまう。
今だと岩尾さん以外は見えなくなってしまう。
岩尾さんだけが見えてますね。
はい。
こういった状態のことを「トンネリング」というふうに呼んでいるわけなんです。
はぁ岩尾しか見えない状態…。
出口の。
そうですね。
あくまでも1つの例ですからね。
例えば歩きスマホ。
画面に集中するあまり「わっ〜!あっ!」ってことありません?又吉さんの場合目の前の締め切りに集中することで他のいろいろなことがおろそかになってしまう。
まさにトンネルに入って視野が狭くなった状態!締め切りとか小説とかいつまでに書かないといけないみたいになったら他のことはもう一切やらないですよね。
友達の誘いとかにも乗らないですし…アハハハッ…。
そうですね。
つまりですね……ということがあるわけです。
ひょっとしたら大事な約束をすっぽかして忘れてしまっていたりとか他の重要な仕事に関心を持ってやるチャンスを失ってしまうというような事もひょっとするとあるのかもしれません。
あれもトンネリングの状況やったということですか?おっしゃるとおりですね。
岩尾さんはトンネリングみたいな状態になったことっておありになりますか?そこまで何かを周りが見えないぐらいのめり込むってなかなかないかもしれないですね。
それこそ恋愛とかでもなんかどっか俺がこんななんかデートとかそんなんしてて端から見たらどう映ってんねんやろうとかハハハッそんな感じでどっかこう周りに何にも見えないみたいにはならないかもしれないですね。
無我夢中みたいな事はあんまりないですか?そうですね。
そうなってほしいなでも。
もう岩尾さんしか見えないみたいな。
そんなこと言われたいですけどね。
この「トンネリング」という状態がまあ続くとこうなります。
「ジャグリング」ですね。
このいわゆるジャグリングっていう状態ですか?そうなんです。
私たちの生活はさきざきの予定が徐々に近づいてきます。
しかしトンネリングを起こしてしまうと視野が狭くなり先の予定は見えなくなります。
気付くと次の予定が突然目の前に現れ慌てて対処するのに手いっぱい。
とても計画的な行動はできません。
まさに落ちてくるボールをひたすら受け止めては投げるだけのジャグリング!今の又吉さんこの状態なんですって。
トホ。
締め切りがいっぱいあるとか結構これやって次これやって次これやっての常にそういう状態にはなってますね。
ホントやったら1週間とか1か月かけてやらないといけないものが2日とか3日ぐらいでもうさばいていかなアカンというふうになっちゃってますよね。
岩尾さんはあんまりジャグリングの経験はないんですか?ジャグリングの経験あまりそうですねぇ。
うん。
そこまであれもこれもっていう状態まで行ってないかもしれないですね。
なんかご自身でやるライブの前とかこうテンパったりしないんですか?でも言ってもまあ僕犬を飼ってるんですけどなんか1人で自宅で集中してバーって作ってるけどパーってこうそのトイプードルが来てくれたりとかするとそれは目に入らないじゃなくて……ってやっぱなるんですね。
なるほど。
トンネリングになってないんですね。
トンネリングになってないです。
ちゃんとこう見えてるので。
こちらが岩尾さんの愛犬つくしくん。
かわいい!あっつくしくんがですよ。
いくら集中していてもつくしくんが来ると思わずかわいがっちゃう岩尾さん。
実はここにトンネリングから抜け出す大きなヒントがあるそうなんです。
ワン。
かつて行われた研究に「マシュマロテスト」という研究がありまして小さい子供にですねマシュマロを目の前に1個置いて先生が戻ってくるまでの間このマシュマロを食べずに待っていられたらもう1個あげますよというふうに言って先生は部屋を出て行くんですね。
で15分後に先生が戻ってくるまでにホントに子供がこのマシュマロを食べずに待っていられるかどうかっていうことをはかったんですけれども3分の1の子供がマシュマロを食べずに待っていることができた。
その2つ目のマシュマロを手に入れて……というと実は……ということが後の研究の中でわかっているんですね。
なので。
トンネリングを避けた。
そのとおりです。
なのでひょっとすると岩尾さんは目の前に締め切りがあるあしたライブがあるということがあるんだけれどもワンちゃんがいてそのワンちゃんのことにこう気をそらしているせいであまりトンネリングを起こさなくて済んでいるということなのかもしれないですね。
なるほど。
ほう。
トンネリングを避けるには追い込まれている時ほど他のことで気分を変えるべし。
うん!なるほど!ここまで見てきたことをですねまとめてみるとこんなふうになります。
「欠乏」の状態になりますと人は「集中ボーナス」を起こすんですね。
そのことによって処理能力が低下をしそして「トンネリング」を起こす。
目の前のことしか見えなくなってしまう。
でそういう事を続けているうちにあっという間に「ジャグリング」の状態になってしまってそれが…集中できるからいいというよりはたまにもしかしたらそういう状況をあえて作って集中してみるのもいいけどずっとやってると大変になってくると。
そうですね。
グルグルこう行くという事ですか?2周目に3周目に入っちゃう。
2周目3周目に入ってしまうと。
例えばお金がないという人がサラ金に手を出してしまう。
これはよくあることだと思うんですけどこれは結局トンネリングとジャグリングを起こしているということによってサラ金からお金を借りることによって当座はしのげるんだけれどもそのことによってさらに借金が増えてまたお金がないという欠乏の状態になってしまう。
又吉さんが時間がないという事をさっきおっしゃってましたけどこれに当てはまるなと思うようなことはありませんですか?そうですねこうなってますね。
こうなると自分が仕事を断ればよかっただけやのに自分が3か月後やったらまあ全然いけるかとか思って請けてるのに…なんでこんなこと頼んでくんねやろとかなんで俺こんなんできるわけないやんみたいなふうになってくるとそれ多分処理能力低下の状態ですよね。
普通に考えたら断ればいいし自分で請けたんでしょっていう事なんですけどそれすらわからんようになってくる。
いやいや。
そういう話じゃないの?締め切りの事だけで今言ってるんで。
はい。
大切なことは今の又吉さんのお話からも明らかなように……ことなんだということなわけなんですよね。
実はいわゆる「貧困」という問題があります。
これはまあ我々が抱える最も大きな社会問題と言っても過言ではないと思いますけれども…で私は実はですねフィリピンのある地域でこの貧困欠乏から生じる貧困という問題を解決しようとしてこの2年間ぐらい研究をしてきています。
フィリピン首都マニラから北東に20キロ。
ケソン市郊外にあるパヤタス地区には巨大なゴミ集積場があります。
周辺に住むのは低所得者層の人々。
ゴミの山から資源ゴミを拾いリサイクル業者に売るなど不安定な職で生計を立てています。
2000年には大規模な崩落事故が起きたくさんの住宅がゴミに押し潰されました。
死者行方不明者が300人以上という悲劇に襲われたのです。
多くの人が学歴も低く親から子供へと貧困の連鎖が続いているパヤタス地区。
中室さんは長年この地区を支援してきたNPOから依頼を受け貧困問題を改善するための共同プロジェクトに参加。
子供たちに教育支援を行うとともに親に対してもさまざまな働きかけをしています。
そこから見えてきたのは「欠乏のワナ」にはまってしまった人々の姿だといいます。
あれだけ大きい山になるぐらいゴミが集まってるんですね。
そうですね。
ゴミの焼却炉ってのはかなりお金がかかりますので開発途上国ではゴミを燃やさないでですねこういうふうに集めたゴミを積んでいくというのはよく行われているんです。
このゴミの中から使える物をまた取ってそれを使ったり売ったりするんですか?おっしゃるとおりです。
ペットボトルであるとかガラス瓶であるとかそういう物を集めてですね「スカベンジャー」と言われるゴミ拾いの人たちが拾って集めてそれで日々の収入を稼いでいると。
どっちが先やったんですか?このゴミをここに捨てるようになってそれを目当てに移り住んできたのか。
そのとおりです。
はい。
おお!この周辺にもですねたくさんのバラックがあってそこにたくさんの人が住んでいて問題なのはやはり…なるほど。
ここのこういう状況にある人たちもその「欠乏」の悪循環の中にいるんですか?そのとおりですね。
やはりお金がないという「欠乏」の状態の中では最も深刻なものだと思いますけれども……ということが大変よくわかります。
はい。
私もこの地域で調査を始めて約2年ぐらいになるんですけども非常に特徴的なこととして毎日の暮らしの中でですね例えばこれ見ていただいてわかるようによくこう…要するに普通我々がシャンプーを買うときってボトルの大きな物を買ってですねそれを毎日使うというふうになっていますよね。
そのボトルを買わないでですねこういう小さなシャンプーをその日その日買って使っているわけです。
これはまあシャンプーですけれどもお米もそうですし調味料もそうですしコーヒーもそうですしその日一日分だけを買ってで消費をするというわけなんですね。
でそれをするとですね高くついちゃうわけです。
はい。
これ毎日毎日シャンプーをこんなふうに小さい袋で買っていると結局……ということが起きるわけですけれどもこれまさに先ほどのトンネリングとジャグリングの状態ですよね。
今日お金がない。
お金がないということに集中してしまってでこういうふうに小分けの物を毎日毎日買っていく。
まとめ買いするお金もないってことですよね。
まずボトルを買うお金がないから。
そうなんです。
ところがやっぱり面白いなと思うのは時々追加的な収入が入ってくるってことがやっぱりあるわけなんですよね。
そういう時にそのお金を貯蓄をしておいて例えばボトルの物を買いましょうとかそういうふうに考えずにですねお酒に使ってしまった。
タバコに使ってしまった。
ひいてはギャンブルに使ってしまったというようなこれまさに判断能力が落ちていると。
現地で人々の暮らしを見ていてそういう矛盾があるなというふうにいつも思っています。
なるほど。
先を見越した計画的な行動が取れず貧困から抜け出せない人々。
「欠乏の経済学」の視点に立つとこれまでとは違った効果的な支援のあり方が見えてきました。
この貧困ということを議論するとですねよく言われるのが自己責任だっていう話なんです。
すなわち自制心がない。
自分できちんと管理する能力がない。
そのことによって貧困に陥ってしまう。
その人の能力が低いからいけないんだ。
自己責任なんだというような見方があるわけですけれどもまあ実はこれは因果関係が逆なのではないかということです。
すなわち自制心がないから貧困になってしまうというわけではなくって貧困という状態によって自制心が弱ってしまってるんじゃないかということなんですね。
はい。
…のではないかというふうに思っています。
僕さっきのマシュマロの実験みたいに今日洗わずあと10日シャンプーするのを我慢すればボトルが買えるよということを教えてあげれば10日ちょっと臭なるけど我慢してみようみたいなことを誰かがやってくれればいいんじゃないかな。
なるほど。
岩尾さんがおっしゃったことってとっても大切なことだと思うんですよね。
教育を受けるなりあるいはお金をきちんと貯蓄するなりそういうことをすればですねちゃんと将来がよくなりますよという情報を提供するという事はとても大切な事なんじゃないかなと思ったんですね。
はい。
将来の利益をちゃんと「見える化」しようということですよね。
はい。
中室さんたちは地区の親を集め子供に教育を与えれば将来どんな利益を生むのか情報提供に力を入れています。
大学の授業料は年間8000ペソ。
卒業すれば月収は10000ペソ以上が期待できます。
また学費のために貯金を勧め日頃のちょっとした節約を積み重ねれば目標は達成できると教えます。
さらにお金をためる習慣がない彼らに貯金箱も提供します。
しかしこうした情報提供も1回だけでは効果は上がりません。
またすぐに欠乏のトンネリングに陥り貯金をおろそかにしがちだからです。
そこで中室さんたちが活用しているのが「リマインダー」。
こちらが教育の重要性を知らせるチラシ。
必要な学費や目標の貯金額も記されています。
これを毎週子供たちがプログラムに参加するたびに渡し親に届けてもらいます。
繰り返し届くリマインダーによって貯金の重要性を忘れさせない仕組みです。
これ1度教えるということだけではやっぱり人間ってこう残念ながらすぐ忘れてしまってまたトンネルの中に戻ってしまうということがありますので繰り返しリマインダーを送ることでついトンネルの外に行ってしまいがちな教育とか貯蓄とかいうことをトンネルの中に引き戻そうと。
実は海外で行われた研究の中にはきちんとリマインダーをした家庭というのは貯蓄率が6%も上がったというような研究もあるぐらいなんです。
まあ1回きりよりは。
うん。
うん。
なんか電気止められたりした時とかガス止められた時ももう一回来るとまだ間に合うんやと思うんですけどこうへんかったら今払っても遅いんやろうなと思ってもうええわと思っちゃうんですよね。
なるほど。
だから定期的にあるとまだチャンスあるんかなというふうにも気付けるのかなとは思いますけどね。
私もまあ今スケジュール管理なんかは秘書さんがやってくださってるんですけれども秘書さんがやってくださる前は締め切りが来てから仕事やろうみたいな非常にルーズなタイプだったんですけれども秘書さんがちゃんとリマインドしてくださるようになってからちゃんと締め切りを守るようになりまして今皆さんにどうしたんですかって。
心を入れ替えたんですかって言われるんですけどリマインドがある効果ってすごく大きいなと思いますね。
でもその…
(笑い声)だって今秘書さん頼りになってたら。
秘書さんってそういう存在なのでそういうイメージになっちゃいます。
なっちゃいますけどね。
ええ。
そんなことはない?ええ。
暴言吐いたことはございません。
よかったです。
はい。
「足りないもの」を尋ねた街頭インタビューでこんな答えがありました。
足りないもの?
(取材者)余裕。
でどういう余裕?ええ何だろう?心だったりとか時間だったりとか。
なんか余裕が足りないなって思うときあります。
実は「欠乏のワナ」に陥らないためのカギを握っているのがこの「余裕」なんですって。
それを私たちは「スラック」などというふうに呼んでいます。
スラック。
スラックとは緩みたるみという意味。
経済学では……をいいます。
先ほどの欠乏の状態を思い出してみましょうか。
こうトンネリングを起こして周りが見えなくなってジャグリングを起こしてまったく余裕がないというわけですよね。
余裕があればね。
はい。
余裕がない時こそあえて余裕スラックを設ける。
それにより見事欠乏の悪循環から抜け出した成功例をご紹介しましょう。
アメリカミズーリ州のセント・ジョンズ地域医療センターは年間およそ3万件の外科手術が行われる大病院。
32の手術室は常にフル稼働。
しかしそこに急患が飛び込んでくると手術の予定を大幅に組み直さなければならず医師やスタッフは常に残業でヘトヘト。
うわ〜あっちもこっちも大変。
病院はたまらず専門家にアドバイスを求めました。
病院の状況を分析した専門家は驚きの提案をします。
「what!?ただでさえ手術室が満杯なのに〜!?」。
病院は半信半疑で提案を受け入れました。
すると目を見張るような変化が現れたのです。
かつては急患が来るたびに予定が狂い残業やミスも増えていました。
あああっちもこっちも終わらないよ。
大変だよ。
しかし急患専用の手術室つまりスラックを設けたところ他の手術のスケジュールを変えることなく急患に対応できるようになったのです。
その結果効率は格段に向上。
手術件数は毎年7〜11%増加したのです!わ〜お。
急な手術が起こるというのはジャグリングの玉が1個急に増えるというようなもんなわけです。
ですから今手術室がいっぱいなのにまた新しい患者が来てで部屋がないということでパニックになってしまうわけですよね。
…というわけでそのことによって全体の手術する数を増やすことができたというわけなんです。
へぇ〜!なんかいい和食屋さんとかも予約いっぱいにせえへんみたいの聞いたことありますよ。
あああえて空けとく。
あえて空けといてなんかとんでもない人が急に来た時とか対応できるようにしてると。
なるほど。
ここまで話聞いてると岩尾さんあんまり「欠乏のワナ」にはまっていないなというふうに思ってたんですけどそれは岩尾さんにもスラックがあるということなんですかね。
別に僕裕福な家に育ったわけでもなくまあ普通に両親が公務員だったのでまあ普通にお金に困ったことはないんですよ。
はい。
で若手の頃なんか仕事はないけれどもなんか親が僕一人っ子なんでお年玉とかをためてくれてて普通に仕事何にもない状態でなんか郵便貯金とかが100万ぐらいあったんですよ。
ええ!?だからそのなんか金ないとかいう状態が今まで1回もないんですよ。
はぁ〜なるほど。
だんだんだんだん自分で給料もらえるようにもなってきましたからずっと……のかなというような感じはありますね。
なるほど。
そういうずっとスラックがあるというような状態がまあ岩尾さんを欠乏の状態から遠ざけてきたということなのかもしれないですね。
はぁ。
すごいいいですよね。
でもそれ判断能力が低下しないということですよね。
しない。
ある意味でもうずっと冷静すぎておもろないという事になりません?失敗しにくいということですか。
うん。
こういう仕事をしてる分にはマイナス面もあるかもしれないですね。
そういう考えでいると。
なるほど。
今日は「欠乏」がテーマでしたけど岩尾さんは実は欠乏していなかったということですよね。
そうですね。
まあ確かにそのなんかこんな見た目ですからモテないですし彼女いない友達もいない。
でも犬飼ってるからその…へぇ〜!ほんまに友達であり彼女でありまあオスなんですけどね全部その我が子でありみたいな事をあの埋めてくれるからあまりその欠乏を感じてないんですよね。
人から見たらホントに40も過ぎて独身でモテないというのは欠乏だらけやと思うんですけど。
はい。
うん。
なんかまあいいかみたいなことであんまりこうね欠乏に目を背けてきたのかもしれないですね。
こんだけあるしまあいいかとか。
一人っ子というのもいいんでしょうね。
なんとなく兄弟おると早取らな取られるみたいなこととかね。
その自分の食べたいものは自分のものという状態ですからね。
ずっと。
でもそれはお子さんの頃からの環境ももしかしたら関係してるのかもしれないです。
スラックがあったということが重要であったのかもしれないですね。
私が今日申し上げたかった一番重要な事っていうのはですねこういう……ことなんじゃないかということなんですね。
又吉さんのようにですね非常にスマートな方でも締め切りが近づいて時間がないということになれば突如として欠乏の状態に陥ってしまってまあ非常に不合理な選択をしてしまうということですよね。
例えば貧困のように経済的な困難。
これも欠乏のひとつですけれどもどういうふうに制度設計をしていくことによって社会をより良くしていくかということを考えるための1つのヒントになればというふうに考えました。
岩尾さんのゆとりみたいなのを見習うべきですよね。
そうですね。
断ったらアカンというのもあるんですよ。
あいつ断りよったで。
2度ともう声かからへんようになったらどうしようっていうそういうのもあるじゃないですか。
いや別に僕断りまくってるわけじゃないですよ。
単純にそこまで欲されてないということでスケジュールが埋まって時間が足りないという状態じゃないってことですから。
そういう意味で言うと僕はなんかもっと岩尾をみたいなそういう需要は欠乏してるかなというのは感じてますよ。
ああ。
でも一個一個の仕事のなんかね精度高まりそうですもんね。
集中してできるから。
あれもこれもになるとこれはちょっとおろそかにみたいなとこ出てくるところをまあそうかもしれないですね。
そのほうが。
そう聞くと岩尾さんにはスラックがあって僕には今の働き方だとないというのは結構わかりますね。
だからなんとなくそんなにガツガツ声も張らないみたいな2人やから似たような感じなのかなと思ってたらそこは全然違うんですね。
又吉さんも何もやらないっていう日を1日作っておくみたいな。
必要ですね。
はい。
そういうスラック必要なんじゃないでしょうか。
スラックがあればそこでいろいろ対応できる…。
はい。
急なことに対応できる。
はいはい。
うん。
「つまった本棚に新しい本は入らない」。
2017/11/29(水) 22:00〜22:45
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「足りない!どうする?欠乏の経済学」[解][字]

時間、お金、才能など足りないものはきりがない?経済学は元祖欠乏の科学とも言われ、その解消が大きな目的だ。でも一方で欠乏にもメリットがあるという。ホントに〜?

詳細情報
番組内容
いつも時間がないと悩むあなた。経済学の研究では時間がないと逆に集中力がアップするというメリットが報告されている。とはいえ何かが欠乏した状況は望ましいとはいえない。そこで元祖欠乏の科学・経済学が提唱する解消のヒントを大公開!一つめは「本当に足りないものを見破る」。貧しい原因は実はお金ではなく○○が足りなかった!?さらに二つめは「無理してでも余裕を作る」ってホント?実際の成功例を紹介する。
出演者
【ゲスト】岩尾望,【出演】又吉直樹,【解説】慶応義塾大学総合政策学部准教授…中室牧子,【語り】朴ろ美

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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