ニュース
» 2017年11月30日 09時20分 公開

アップデートを自動配信:Apple、パスワードなしで管理者ログインできる脆弱性を修正 ユーザーに謝罪

パスワードを入力しなくても、管理者権限でMacにログインできてしまう問題が修正された。アップデートはmacOS High Sierra向けに、自動的に配信される。

[鈴木聖子ITmedia]
photo ユーザ名に「root」と入力し、パスワードは空白のままで何度かログインボタンをクリックすれば、管理者権限でログインできてしまう問題が報告されていた

 AppleのmacOS High Sierra(バージョン10.13)に、パスワードを入力しなくても管理者権限でログインできてしまう脆弱性が発見された問題で、Appleは11月29日、この脆弱性を修正するセキュリティアップデート「2017-001」を緊急公開した。

 Appleのセキュリティ情報によると、認証情報の検証に関するログインエラーがあり、攻撃者が管理者パスワードを入力しなくても、管理者認証を迂回できてしまう可能性がある。

 今回のアップデートはmacOS High Sierra 10.13.1のみが対象となる。一方、macOS Sierra 10.12.6までのバージョンは影響を受けないとしている。

 なお、自分のMacで管理者用のrootユーザーアカウントを必要とする場合、今回のアップデートを適用後、rootユーザーを再度有効にして、rootユーザーのパスワードを変更する必要があるという。

 Appleのサポート情報では、rootのユーザーアカウントを「ほかのmacOSユーザアカウントのファイルなど、普通ならアクセスできない広い領域に対する、システムの読み書き権限を持つスーパーユーザー」と定義。このアカウントはデフォルトでは無効になっている。rootユーザーを有効にする代わりに、ターミナルで「sudo」コマンドを使う方が安全だとも解説している。

photo Appleのサポート情報。Macでルートユーザを有効にする方法やルートパスワードを変更する方法を解説している

 米セキュリティ機関CERT/CCによれば、今回の脆弱性は、ローカルだけでなく、SSHのようなリモートアクセス経由でも悪用される恐れがある。rootアカウントが有効にされれば、「画面共有」や「リモート管理」といった内蔵のリモート管理機能が利用できる状態になる。

 Appleはメディア各社に寄せた声明で、「われわれのセキュリティエンジニアは28日午後にこの問題を認識すると、直ちにセキュリティホールをふさぐためのアップデートに取りかかった」と説明し、「今回の過ちについては非常に申し訳なく思っており、全Macユーザーに謝罪する」とした。

 アップデートはmacOS High Sierraの最新版(10.13.1)が搭載された全システムに、自動的にインストールされるという。再発防止のため、開発プロセスの監査を行っていることも明らかにした。Appleが脆弱性に関してこうしたコメントを発表するのは異例だ。

関連キーワード

macOS | High Sierra | セキュリティ | 脆弱性

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

セキュリティ記事ランキング

  • 本日
  • 週間
  • 半月
  • 月間

Special

- PR -

現場を含めた約230人でWindows 10の検証を進めるCygames。一度は移行プロジェクトをストップした同社が、今どのように移行を進めているのか? 「ぶっちゃけ話」を聞いた

いよいよ2019年1月から適用される「IFRS16新リース会計基準」。業務負荷が増加する会計処理を、ミスや抜け漏れなく行うために注意すべき4つのポイントとは。

違反したら巨額の罰金がある、来年施行の「GDPR」。その中でも保護は重要なステップの1つだ。なぜ特権ユーザーが危ないのか、どのようにGDPRを進めるべきなのか紹介する。

ビジネスをデジタル化するなら、作業を自動化してもダメ。人間の判断プロセスや思考をIT化する――今注目の「ディシジョン・オートメーション」を知っているか?

1600ユーザーを想定したグループウェアのシステム負荷が、いきなり5000ユーザークラスに!? そんな“地獄”を切り抜けた日能研のシステムのトラブルの一部始終を語る!

2020年1月にWindows 7の延長サポートが終了します。Windows 10に順次移行する必要がありますが、そのためには準備が必要です。何をすればいいのか確認しましょう。

まだ使えるし安定しているのに、保守切れだからといってサーバやネットワーク機器を変えるのは手間も時間もコストも掛かる……。その悩み、解決できるとしたら?

タスクの海に溺れて凡ミスを連発し、ホウレンソウもなってないあの営業担当が生まれ変わった! 彼の働き方を変えた、セキュリティと効率化に効くITツールとは?

データベースの統合に関していうと、サーバ仮想化技術は必ずしもベストではないんですって!その理由、分かってますか?私、加藤多佳子がクローズアップしちゃいます!

社内システムの運用管理業務に日々追われて、本来取り組むべきIT戦略計画などの業務に手が回っていないIT部門必見。PCライフサイクル全体をカバーする運用管理サービスとは

Special

- PR -

経営者の腕の見せどころは既存事業と新規事業を上手く両立させること

実際に移行中のCygamesが語る「リアルな話」と、移行を進めるための「極意」

「AWS」いいね「Azure」いいね「Oracle」…は?本気? 本気ですよ、だって…

売り上げ拡大と作業工程の自動化をカルチュア・コンビニエンス・クラブが実現

2020年1月に延長サポートが終了。今からWindows 10移行を着実に進めよう。

迫りくるタイムリミット…2人の専門家が話す「GDPR対策」に必要なこととは?

ポイントはセキュリティと生産性向上。ITでこの2つを両立する方法、教えます

”みんなだよ”と答えた方必読!イベントで130人が目の当たりにした真実とは

RPAで自動化できる業務はほんの一部。本当に成功したいなら判断を自動化せよ

まずは影響額を試算できたら。そんなニーズに応えて登場したツールの実力は?

ランサムウェア対策、市場動向など、セキュリティに関する最新情報をチェック

今年も幕張メッセでサイボウズとコラボ。3人が語るグループウェア活用のコツ

安定しているシステムは変えずにそのまま使いたい……。それが叶うとしたら?

ISVが業務パッケージソフトの積極的な対応を進めるデータベースの魅力とは?

サーバ仮想化によるDB統合の利点って意外と少ないんです。もっと良い方法は?

メーカー以外の事業者が保守を行う「第三者保守」、そのメリットと品質とは

次に買うPCという観点では待ったなし。苦労しつつも移行した企業に話を聞いた

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -