- 要旨
偏光量子もつれ光子ペアを用いたEPR通信の成否は、光子の偏光を個別に測定できるかどうかにかかっている。
高速軸を垂直方向(上下方向)に設定したλ/4板に、+45°偏光光子や-45°偏光光子を入力した場合、
右円偏光光子や左円偏光光子に変換されるので、λ/4板にトルクがかかる。
一方、同じλ/4板に垂直偏光光子や水平偏光光子を入力しても、偏光状態は変化しないので、λ/4板にトルクはかからない。
したがって、λ/4板トルクセンサーを使えば光子の偏光を個別に測定できる。
そこで、偏光量子もつれ系において、Alice側における偏光板の角度(45°または0°)の切り替えを送信事象とし、
Bob側におけるλ/4板トルクセンサーによるトルクの変化の検出を受信事象とするEPR通信が成立する。
本稿では、λ/4板トルクセンサーを利用したEPR通信について、まず、光速以下のEPR通信が可能なことを論証し、
次に、超光速EPR通信と時間逆行EPR通信の成立条件を量子力学の新しい解釈(実存主義的様相解釈)にもとづいて考察する。
- 1. はじめに
ニック・ハーバート著『タイムマシンの作り方』(ブルーバックス)に次の記述がある。
「EPR実験によって(中略)信号を光より速く送信するためには、光子の偏光を個別に測定する方法を発見すればいい」
そこで、ハーバートはレーザー増幅器を用いた偏光の測定方法を提案した。
物議を醸した末に、彼の提案は否定されたが、その議論がきっかけとなって、
量子複製不可能定理と呼ばれる量子コンピューティング分野における重要な定理が発見された。
一方、レーザー増幅器を用いる代わりに、偏光ビームスプリッタと光子検出器を用いて光子の偏光を個別に測定しようとしても、
測定値が確率的に分散してしまうため、測定前の光子の偏光を正確に知ることはできない。
実際、"no-communication theorem"(EPR通信のno-go定理)は、測定値が確率的に分散する測定系についての論証を根拠としている。
つまり、複製や成分分割という方法によって、光子の偏光を個別に測定することはできない。
そこで、我々の探索対象は、「複製や成分分割によらずに光子の偏光を個別に測定する方法」へと絞られる。
高速軸を垂直方向(上下方向)に設定したλ/4板に、+45°偏光光子や-45°偏光光子を入力した場合、
右円偏光光子や左円偏光光子に変換されるので、λ/4板にトルクがかかる(トルクの時間積分値≒±ħ)。
一方、同じλ/4板に垂直偏光光子や水平偏光光子を入力した場合、偏光状態は変化しないので、λ/4板にトルクはかからない。
したがって、λ/4板トルクセンサーを使えば光子の偏光を個別に測定できる。
この測定方法は、光子の決定論的な状態変化にもとづく方法なので、測定値の確率的な分散がない。
したがって、λ/4板トルクセンサーを用いれば光子の偏光を個別に測定できる。
- 2. 光速以下のEPR通信
λ/4板トルクセンサー(以下QWTSという)は、λ/4板とトルクセンサーとからなる。
図1 (a), (b) のように、 高速軸を垂直方向(上下方向)に設定したQWTSへ+45°偏光光子や-45°偏光光子を入力した場合、
右円偏光光子や左円偏光光子に変換されるので、トルクがかかる(トルクの時間積分値≒±ħ)。
この思考実験で使われるQWTSは超高感度であり、上記の微小なトルクに反応して装置上部のランプが点灯する。
図1 http://img-cdn.jg.jugem.jp/ae8/2114200/20150119_1128763.png
しかし、図2 (a), (b) のように、高速軸に沿った垂直偏光光子や、低速軸に沿った水平偏光光子をQWTSへ入力した場合、
偏光状態が変化しないのでランプは点灯しない。
図2 http://img-cdn.jg.jugem.jp/ae8/2114200/20150119_1128820.png
したがって、QWTSは{+45°偏光光子と -45°偏光光子とからなる光子群}と{水平偏光光子と垂直偏光光子とからなる光子群}の識別に使える。
QWTSを利用した光速以下のEPR通信の概念を図3に示す。
図3 http://img-cdn.jg.jugem.jp/ae8/2114200/20150118_1127958.gif
ただし、EPRペア生成時点の状態は、次のように設定されているものとする。
なお、図3では、Alice側の光路の屈折率をna=1、Bob側の光路の屈折率をnb=3に設定して、
光子がQWTSを通過する事象がAliceの「記録事象を頂点とする未来光円錐(以下、記録光円錐という)」内に入るようにしている。
下記の図4は、EPR光子ペアの世界線を赤線で示したミンコフスキー時空図である。
図4 http://img-cdn.jg.jugem.jp/ae8/2114200/20150119_1128750.png
Bobの光子がQWTSを通過する事象はAliceの記録光円錐内にあるので、Bobの光子がQWTSに到達する前に、
Bobは光速以下の古典通信チャンネルを使ってAliceによる偏光の測定値を知ることができる。
したがって、帰納的推論により、Bob側の光子の偏光はQWTSに到達する前に、Aliceによる偏光の測定値に対応して確定しているといえる。
そこで、わざわざ古典通信チャンネルなど使わなくても、
BobはQWTSの点灯・非点灯によってAliceの偏光板の角度が45°であるか0°であるかを知ることができる。
つまり、Aliceによる偏光板の角度(45°または0°)の切り替えを送信事象とし、
Bob側におけるQWTSの点灯・非点灯を受信事象とするEPR通信が成立する。
ここまでの推論は、因果律,帰納法,物理法則および量子力学の従来解釈だけを前提としており、新規な解釈を一切含まない。
また、QWTSは、エリツール・ベイドマンの爆弾検査問題で用いられた超高感度な起爆装置と同様に原理的な意味で実現可能である。
よって、光速以下のEPR通信(spooky communication at a distance)は、QWTSを利用することにより実現可能である。
- > Aliceによる偏光板の角度(45°または0°)の切り替えを送信事象とし、
図3もしくは4を見ると2光子の生成はAliceとBobの間でなされているようですが、
Aliceが情報の送信者なのですか?
- >>4
>Aliceが情報の送信者なのですか?
Aliceが送信者で、Bobが受信者です。
- >>1
λ/4板トルクセンサーが円偏光状態の測定器として機能するなら、
|+45>→(λ/4板)→|R>=(|H>-i|V>)/√2
|-45>→(λ/4板)→|L>=(|H>+i|V>)/√2
だけでなく、
|H>→(λ/4板)→|H>={(|H>-i|V>)+(|H>+i|V>)}/2=(|R>+|L>)/√2
|V>→(λ/4板)→-i|V>={(|H>-i|V>)-(|H>+i|V>)}/2=(|R>-|L>)/√2
に対しても、円偏光状態(|R>か|L>)への射影測定が行われるはずですよね?
- >>6
高速軸を上下方向に設定したλ/4板によって、
+45°偏光光子や-45°偏光光子が右円偏光光子や左円偏光光子に変換される過程は、
ミラーによる光子の反射などと同様の決定論的な過程です。
そこで、光子の運動量の変化に応じてミラーに力がかかるのと同様に、
光子の角運動量の変化に応じてλ/4板にトルクがかかります。
一方、垂直偏光光子や水平偏光光子が上記のλ/4板を透過した場合、
光子の角運動量は変化しないのでλ/4板にトルクはかかりません。
λ/4板トルクセンサーは、シュテルン・ゲルラッハ装置や偏光板のような
状態ベクトルを成分分割してその内の一つに収縮させる測定装置とは原理的に異なります。
- >>7
>そこで、光子の運動量の変化に応じてミラーに力がかかるのと同様に、
ミラーにかかる力を測定した事実がありますか?
あるとしても経路測定にあたるはずです。
単一光子が複数の経路で観測されることはないでしょう。
>光子の角運動量の変化に応じてλ/4板にトルクがかかります。
波長板にかかるトルクを測定した事実がありますか?
ミラーにかかる力や波長板にかかるトルクが測定できたとしても、それら自体の「ゆらぎ」も含まれてしまうので、
>一方、垂直偏光光子や水平偏光光子が上記のλ/4板を透過した場合、
>光子の角運動量は変化しないのでλ/4板にトルクはかかりません。
こんな呑気なことは言えませんよ。
それとも何らかの手段で証明されたのですか?
- >>8
いま問題にしている光子の光路は、λ/4板の広がりの範囲で十分に定まっていると考えてさしつかえありません。
だから、この思考実験における測定は経路を特定するための測定とは何の関係もありません。
また、光子によってミラーに力がかかりλ/4板にトルクがかかるのは事実です。
光子の運動量や角運動量を微小物体に与えることによって、
その物体を直線運動や回転運動させる光学的手段として光ピンセットが実用化されています。
光ピンセットにはレーザーが使われますが、原理的には1光子でもかまいません。
直接的な実験的証拠を要求されていますが、それを要求するならそもそも思考実験などできません。
Wikipedia/思考実験には、「科学の基礎原理に反しない限りで、極度に単純・理想化された前提により遂行される」とあります。
- >>9
λ/4板によって、|+45>→|R>,|-45>→|L>,|H>→|H>,|V>→-i|V>のように時間発展することは良いんですよ。
任意の偏光状態に対するユニタリ変換になりますから。
ただ、λ/4板トルクセンサーによって、光子の偏光状態まで同時測定できるという仮定に疑問があるわけです。
光子の偏光状態とλ/4板トルクセンサーの状態の直積に対するユニタリ変換になりますか?
>光子の運動量や角運動量を微小物体に与えることによって、
>その物体を直線運動や回転運動させる光学的手段として光ピンセットが実用化されています。
>光ピンセットにはレーザーが使われますが、原理的には1光子でもかまいません。
物体に直線運動や回転運動を与えた光子の状態は変化するでしょう?
- >>2
>量子複製不可能定理と呼ばれる量子コンピューティング分野における重要な定理が発見された。
「クローン禁止定理」とも呼ばれていますね。
名前だけは有名ですが、この定理の証明を理解していますか?
「光子の偏光状態とλ/4板トルクセンサーの状態の直積に対するユニタリ変換」が存在しないことは、「クローン禁止定理」とまったく同じ方法で証明できます。
つまり、あなたの思考実験は原理的に実現できません。
- >>10
>光子の偏光状態とλ/4板トルクセンサーの状態の直積に対するユニタリ変換になりますか?
光子の反射過程が、光子とミラーの合成系を表す方程式によって決定論的に記述できるのと同様に、
直線偏光光子から円偏光光子への変換過程も、光子とλ/4板との合成系を表す方程式によって決定論的に記述できます。
>物体に直線運動や回転運動を与えた光子の状態は変化するでしょう?
物体に運動を与えれば光子のエネルギーは変化しますが、力やトルクがかかったというだけではエネルギーは変化しません。
「科学の基礎原理に反しない限りにおいて極度に単純・理想化された前提により遂行した」この思考実験においては、
λ/4板に、±45°偏光光子を入力するとトルクがかかるが、H, V偏光光子を入力してもトルクはかからないといえます。
細かい計算はできるでしょうが、思考実験の主旨からははずれます。
- >>11
>「光子の偏光状態とλ/4板トルクセンサーの状態の直積に対するユニタリ変換」が存在しないことは、「クローン禁止定理」とまったく同じ方法で証明できます。
ここで証明してみせてください。
- >>13
>>11を証明します。
λ/4板トルクセンサーの状態を|>Mで表すと、光子の偏光状態の時間発展に対して、
|H>→|H>⇔|0>M→|0>M
|V>→-i|V>⇔|0>M→|0>M
|+45>→|R>⇔|0>M→|+τ>M
|-45>→|L>⇔|0>M→|-τ>M
つまり、「光子の偏光状態とλ/4板トルクセンサーの状態の直積に対するユニタリ変換」Uが存在するなら、
U|H>|0>M=|H>|0>M
U|V>|0>M=-i|V>|0>M
U|+45>|0>M=|R>|+τ>M
U|-45>|0>M=|L>|-τ>M
ところで、|H>=(|R>+|L>)/√2=(|+45>+|-45>)/√2とも表せるので、
U|H>|0>M=|H>|0>M
={(|R>+|L>)/√2}|0>M
=(|R>|0>M+|L>|0>M)/√2
U|H>|0>M=U{(|+45>+|-45>)/√2}|0>M
=(U|+45>|0>M+U|-45>|0>M)/√2
=(|R>|+τ>M+|L>|-τ>M)/√2
よって、|0>M=|+τ>M=|-τ>MでなければUは存在しないことが証明されました。
あなたの思考実験は原理的に実現できません。
- 「クローン禁止定理」も簡単に証明しておきます。
任意の状態|ψ>,|φ>を乱さずに複製できるユニタリ変換Uが存在するなら、
U|ψ>|0>=|ψ>|ψ>
U|φ>|0>=|φ>|φ>
ここで、両者の内積をとると、
左辺同士:(<ψ|<0|U†)(U|φ>|0>)=(<ψ|<0|)U†U(|φ>|0>)=(<ψ|<0|)(|φ>|0>)=<ψ|φ><0|0>=<ψ|φ>
右辺同士:(<ψ|<ψ|)(|φ>|φ>)=<ψ|φ><ψ|φ>=<ψ|φ>^2
∴<ψ|φ>=<ψ|φ>^2
よって、<ψ|φ>=0もしくは<ψ|φ>=1でなければならず、「任意の状態を乱さずに複製できないこと」が証明されました。
この証明からも分かるように、クローンや複製という単語こそ使われているものの、「任意の状態を乱さずに測定できないこと」に他なりません。
>>2
>つまり、複製や成分分割という方法によって、光子の偏光を個別に測定することはできない。
>そこで、我々の探索対象は、「複製や成分分割によらずに光子の偏光を個別に測定する方法」へと絞られる。
- >>14の証明は無効だと考えます。
トルク状態は、トルクを受ける系と反トルクを受ける系との合成系に関する過渡的な状態だといえます。
そこで、トルク状態の時間発展は以下のように表せます。
|0>Hin → |0> → |0>Hout
|0>Vin → |0> → |0>Vout
|0>Din → |+τ> → |0>Rout
|0>Ain → |-τ> → |0>Lout
ただし、Dは+45°偏光,Aは-45°偏光。
したがって、垂直偏光光子や水平偏光光子を入力しても出力の偏光状態が変わらないので合成系のトルク状態も|0>のままで変わりません。
部分系であるλ/4板の状態を誤ってトルク状態として扱うと矛盾が生じます。
- >>16
それでは何の反証にもなりません。
>トルク状態は、トルクを受ける系と反トルクを受ける系との合成系に関する過渡的な状態だといえます。
光子とλ/4板とセンサーの直積状態である|光子>|λ/4板>|センサー>に対し、>>14と同じ方法で証明すれば良いだけです。
- 私の疑問は次の点にあります。
λ/4板は、トルクセンサーなど付けなくても、トルクを受ければ結晶格子に歪みが生じ、
その歪みに対応する極めて微小なエネルギーが環境に吸収されるので、トルクセンサーと同等の役割を果しているように思えます。
一方、λ/4板にその高速軸または低速軸に沿った直線偏光を入力すると、直線偏光のまま出力されるという経験的事実があります。
したがって、λ/4板トルクセンサーが直線偏光光子を必ず円偏光光子に変換する考えると、実際の経験と合わないということになります。
このパラドックスは、入力する光子の状態と関係しているのでしょうか?
たとえば、アンチバンチング光のように光子が孤立する形で並んだ直線偏光光子群を、
高速軸に沿う形でλ/4板に入力すると、RLランダムな円偏光光子群に変換されるのでしょうか?
もしそのような著しい効果があるなら、よく知られていると思うのですが、私はそのような報告を知りません。
- つぎの簡単な考察から、λ/4板トルクセンサーは個別光子偏光計測器として機能すると私は考えています。
アインシュタインvsボーア論争におけるダブルスリット反跳測定の思考実験では、
電子が上経路状態と下経路状態とに空間的に分離され、
上下どちらかのスリットによって個別に反跳が測定されるので、必ず上下どちらかの反跳が測定されます。
一方、高速軸を上下方向に設定したλ/4板トルクセンサーに水平偏光光子を入力した場合は、
水平偏光状態のままλ/4板の同一箇所を通過するので、トルクは発生しません。
つまり、光子がλ/4板の同一箇所を重ね合わせ状態のまま通過するという特殊な構造になっているために、
λ/4板トルクセンサーは個別光子偏光計測器として機能すると考えられます。
- 位相と光子数の不確定性が何か悪さをしてそうな気がします。
量子光学的なお約束で。
- >>18
>たとえば、アンチバンチング光のように光子が孤立する形で並んだ直線偏光光子群を、
>高速軸に沿う形でλ/4板に入力すると、RLランダムな円偏光光子群に変換されるのでしょうか?
変換されません。
確かに、過渡的には光子とλ/4板との「量子もつれ状態」になるでしょうが、
最終的には円偏光(RとL)の「重ね合わせ状態」としても表される、元の直線偏光に戻るでしょう。
>>19
>一方、高速軸を上下方向に設定したλ/4板トルクセンサーに水平偏光光子を入力した場合は、
>水平偏光状態のままλ/4板の同一箇所を通過するので、トルクは発生しません。
λ/4板は連続固有値をとれるはずなので、光子ごとにランダムな偏光状態への射影測定になるでしょう。
過渡的に生じた光子とλ/4板との「量子もつれ状態」に対し、λ/4板トルクセンサーによる射影測定が行われるわけです。
たとえ、高速軸に対し平行か垂直に入射された直線偏光であっても任意の楕円偏光になりうるし、
高速軸に対し±45°傾けて入射された直線偏光であっても任意の楕円偏光になりうるということです。
- 光子と物質の相互作用によるトルク・反トルクの発生過程は、
「量子的粒子の複製」のような架空の過程ではなく、実際に観測されている可逆的な過程です。
したがって、その過程を記述するために立てた計算式が矛盾をきたしているということは、
その過程の不可能性を意味しているのではなく、その計算式の誤謬を意味しています。
そこで、>>14の計算のどこに誤謬があるのかについて考えてみます。
問題になっているのは、光子とλ/4板の複合系の時間発展がユニタリーな時間発展として記述できるかどうかです。
ここで記述すべき時間発展とは、角運動量状態の時間発展です。
注意すべきは、光子のスピン角運動量状態(ヘリシティー±1)は円偏光状態とは対応するが、直線偏光状態とは対応しないということです。
そこで、ユニタリー変換における始状態と終状態とは、予め偏光基底を円偏光基底に統一しておく必要があると思われます。
つまり、>>14では角運動量状態の時間発展に関するユニタリー変換に無理に直線偏光基底を混ぜ込んだため、矛盾が生じたのではないでしょうか。
- >>22
「思う、思わない」の水掛け論になってしまうので、これにて失礼します。
>光子と物質の相互作用によるトルク・反トルクの発生過程は、
>「量子的粒子の複製」のような架空の過程ではなく、実際に観測されている可逆的な過程です。
「実際に観測されている可逆的な過程」であることは確かなのでしょう。
ですが、「λ/4板に作用するトルクと光子の偏光状態との相関」として直接観測されているわけではありませんよね?
であるなら、「実際に~過程」をもとにして具体的な相互作用を構成せずに、「λ/4板に~相関」に適用することはできません。
ただし、そのようにして構成された相互作用はユニタリ変換になるので、結局は>>14の証明の別証明にしかなりません。
>つまり、>>14では角運動量状態の時間発展に関するユニタリー変換に無理に直線偏光基底を混ぜ込んだため、矛盾が生じたのではないでしょうか。
まったく違います。
>>14の証明が量子力学に基づいた客観的なものであるのに対し、「あなたの予想」が量子力学に反した主観的なものに過ぎないからです。
- トルクセンサーで反動を正確に検出するにはλ/4板の角運動量のゆらぎを光子とやりとりするスピン角運動量よりも十分小さくしないといけませんが、そうするとλ/4板の角度のゆらぎが大きくなって、意図したような直線偏光→円偏光の遷移にならずデタラメな結果になりそうですね。
- >>23に追記します。
例えば、角運動量J1の粒子と角運動量J2の粒子の相互作用を考えましょう。
これらの全角運動量J^2=(J1+J2)^2とそのz成分Jz=J1z+J2zは交換し、同時固有状態を持ちますが、
J^2とJ1のz成分J1z,J^2とJ2のz成分J2zは交換せず、同時固有状態を持ちません。
つまり、全角運動量が保存するような相互作用のもとでの時間発展においては、各粒子の角運動量が一般には保存しないのです。
したがって、光子とλ/4板の全角運動量が保存するならば、光子の角運動量もλ/4板の角運動量も一般には変わってしまいます。
λ/4板の角運動量が変わらなかったからといって、光子の角運動量まで分かるわけではないのです。
- >>23
>>つまり、>>14では角運動量状態の時間発展に関するユニタリー変換に無理に直線偏光基底を混ぜ込んだため、矛盾が生じたのではないでしょうか。
>まったく違います。
> >>14の証明が量子力学に基づいた客観的なものであるのに対し、「あなたの予想」が量子力学に反した主観的なものに過ぎないからです。
>>14の証明は、角運動量状態の時間発展に関する証明です。
それなのに、角運動量基底と対応しない直線偏光基底を採用しています。
そのようなことが許される根拠はどこにあるのでしょうか。
- >>24
SN比が極端に悪い場合、1EPR光子ペア限りの計測であれば、信号を取り出すことは不可能でしょう。
しかし、そのような場合でも、1ビットの信号に対して十分に多くの試行回数を設定すれば、統計的に信号を取り出せると考えられます。
- 基底の選択が物理的意味をもつと考えるのは「座標変換でテレポート」するどこかのラノベ設定並に無理がありますし、λ/4板のゆらぎはちょっと暗算するだけで統計的にすら通信不可能な大きさ(角運動量のゆらぎを甘々の としても角度のゆらぎは )だと分かるでしょう。
ですがまあ、あとはTImeCommさんが納得するかどうかの問題なので、これ以上は何も申しません。
思考実験だけに依る独自研究について、自他のチェックを厳しく課すも、理解不足のままごまかして甘やかすも、結局は自己責任です。
- >「座標変換でテレポート」するどこかのラノベ設定
興味があるのでその本を教えていただけませんか?
- 光速以下のEPR通信を問題にしているのですから、Bobは、古典通信チャンネルを使ってAliceの偏光測定値を知ることができる立場に居ます。
ということは、BobがAliceの測定値を知ろうが知るまいが、λ/4板に入力する前の光子の偏光状態は量子相関によって確定しているということです。
λ/4板が±1°の範囲で揺らいでいても、H,Vの種類の偏光光子は、偏光状態をほとんど変えずに、λ/4板を通過するでしょう。
そのとき、1光子がλ/4板に与えるトルクの時間積分値はほぼゼロです。
一方、同様の揺らぎがあっても、±45°の種類の偏光光子は、ほぼR,Lの種類の偏光光子に変換されてλ/4板を通過するでしょう。
そのとき、1光子がλ/4板に与えるトルクの時間積分値はほぼ±ħです。
ゼロと±ħという明確な違いが存在するのに、その違いが統計的にすら計測にかからないという主張は、私の理解を超えています。
やはり、素人が独自研究をするなら、思考実験ではなく再現性のある手頃な実験による以外になさそうです。
- >>26
>そのようなことが許される根拠はどこにあるのでしょうか。
基底の完全性です。
ただし、>>14においては【誤った結論】を導いてしまいました。
- 【正しい結論】
高速軸に対し±45°傾けて入射された直線偏光が、
U|+45>|0>M=|R>|+τ>M
U|-45>|0>M=|L>|-τ>M
のように変換されるならば、高速軸に対し水平や垂直に入射された直線偏光も、
U|H>|0>M=(|R>|+τ>M+|L>|-τ>M)/√2
U|V>|0>M=-i(|R>|+τ>M-|L>|-τ>M)/√2
のように変換されなければならない。
これが、量子力学的な【正しい結論】になります。
つまり、光子の偏光状態とλ/4板の回転状態は「量子もつれ状態」になってしまいます。
U|H>|0>M=|H>|0>M
U|V>|0>M=-i|V>|0>M
のように変換されるという前提自体が、古典光学的な思い込みに過ぎなかったわけです。
- ただし、「あなたの思考実験は原理的に実現できません」という最終結論自体は揺るぎません。
λ/4板トルクセンサーによる射影測定では|0>Mが測定されず、{|+45>,|-45>}と{|H>,|V>}の区別が付かないからです。
>>27
>しかし、そのような場合でも、1ビットの信号に対して十分に多くの試行回数を設定すれば、統計的に信号を取り出せると考えられます。
横からですが、
・|+45>にある光子のみを抽出できれば、+τ方向へのλ/4板の有意な回転
・|-45>にある光子のみを抽出できれば、-τ方向へのλ/4板の有意な回転
・|H>か|V>にある光子のみを抽出できれば、(ランダム性による)λ/4板の無回転
を実現することは原理的にも可能でしょう。
ただし、ボブ側の測定だけでは何れかの状態にある光子のみを抽出できないので、アリス側の測定結果も送ってもらう必要があります。
- >>30
>λ/4板が±1°の範囲で揺らいでいても、
度とラジアンを勘違いしてそう。
- >>33
>・|+45>にある光子のみを抽出できれば、+τ方向へのλ/4板の有意な回転
> ……
>を実現することは原理的にも可能でしょう。
確かにλ/4板の角運動量のゆらぎが よりずっと大きくても、*同一状態の光子を多数用意して*入射すれば、ゆらぎを超えて測定できますね。
>>28の「統計的にすら~」はちょっと考慮が足りない粗雑なコメントでした。結論自体は変わりませんが。
- >> TImeComm さん
「±ħ程度のトルクを検出できるλ/4板が存在する」
として話を進められないのですか?※32のような話には後で対応することにして。
そこが本質ではないような気がするのですが。
ちなみに、私は※33にあるように
> ボブ側の測定だけでは何れかの状態にある光子のみを抽出できないので、
> アリス側の測定結果も送ってもらう必要があります。
という事情により「超光速EPR通信と時間逆行EPR通信」は不可能であると考えています。
- >>32に補足しておくと、「λ/4板のマクロな極限として、
|0>M=lim[τ→0]|+τ>M=lim[τ→0]|-τ>M
∴lim[τ→0]U|H>|0>M=|H>|0>M
∴lim[τ→0]U|V>|0>M=-i|V>|0>M
のような古典光学的な変換が実現される」と解釈すべきなのでしょう。
・光子とミラー
・スピンとSG装置
などの「マクロ系との非測定的な相互作用」についても同様でしょうね。
- >>32
> U|H>|0>M=(|R>|+τ>M+|L>|-τ>M)/√2
> U|V>|0>M=-i(|R>|+τ>M-|L>|-τ>M)/√2
>>21
>>たとえば、アンチバンチング光のように光子が孤立する形で並んだ直線偏光光子群を、
>>高速軸に沿う形でλ/4板に入力すると、RLランダムな円偏光光子群に変換されるのでしょうか?
>変換されません。
>確かに、過渡的には光子とλ/4板との「量子もつれ状態」になるでしょうが、
>最終的には円偏光(RとL)の「重ね合わせ状態」としても表される、元の直線偏光に戻るでしょう。
もしそういうことがいえるなら、同様に、
H, Vの種類の直線偏光光子を入力してもλ/4板の角運動量は変化しません。
確かに、過渡的には光子とλ/4板との「量子もつれ状態」になるでしょうが、
最終的には角運動量(+τと-τ)の「重ね合わせ状態」としても表される、元の角運動量状態|0>に戻るでしょう。
といえるでしょう。
- >>38
>最終的には角運動量(+τと-τ)の「重ね合わせ状態」としても表される、元の角運動量状態|0>に戻るでしょう。
>といえるでしょう。
いえません。
・|0>M=α|+τ>M+β|-τ>Mを要請するような現象がない。
・|0>M=α|+τ>M+β|-τ>Mを要請したところで意味がない。
U|H>|0>M=|H>(α|+τ>M+β|-τ>M)
U|V>|0>M=-i|V>(α|+τ>M+β|-τ>M)
のように変換されるなら、
U|+45>|0>M=|R>(α|+τ>M+β|-τ>M)
U|-45>|0>M=|L>(α|+τ>M+β|-τ>M)
のように変換されるから。
・{…,|-τ>M,|0>M,|+τ>M,…}が直交系にならない。
(<+τ|M)(|0>M)=α≠0
(<-τ|M)(|0>M)=β≠0
>>21
>確かに、過渡的には光子とλ/4板との「量子もつれ状態」になるでしょうが、
>最終的には円偏光(RとL)の「重ね合わせ状態」としても表される、元の直線偏光に戻るでしょう。
の表現が拙かったかも知れませんが、>>32,>>37にも書いてある通りです。
厳密には「量子もつれ状態」になると考えられるので、
・λ/4板のマクロな極限では、Hのままの直線偏光とみなせる。
・λ/4板のミクロな極限では、RかLの円偏光になりうる。
- 本筋とは関係ありませんが、>>32の数式を訂正します。
U|V>|0>M=-i(|R>|+τ>M-|L>|-τ>M)/√2【誤】
↓
U|V>|0>M=(|R>|+τ>M-|L>|-τ>M)/√2【正】
- >>32
> 高速軸に対し水平や垂直に入射された直線偏光も、
> …
> つまり、光子の偏光状態とλ/4板の回転状態は「量子もつれ状態」になってしまいます。
いや、「量子もつれ状態」にはならないでしょう。
「(|R>|+τ>M±|L>|-τ>M)/√2」と表される光子でも、その角運動量は0です。
であれば偏光子(λ/4板)との角運動量のやり取りはありません。
ゆえに偏光子の側に不確定な要素は生じません。
これが次の検光子によってどちらかの状態に”収縮”させられたときに
光子の角運動量が変化し、検光子との間に角運動量のやり取りが生じるのでしょう。
- >>41
>「(|R>|+τ>M±|L>|-τ>M)/√2」と表される光子でも、その角運動量は0です。
それは違います。
「光子とλ/4板の合成系」の全角運動量の1成分が0になっているのです。
「スピンの合成」とのアナロジーで理解すれば、
(|R>|+τ>M+|L>|-τ>M)/√2⇔スピン3重項:(s1=1/2,s2=1/2)s=1,sz=0
(|R>|+τ>M-|L>|-τ>M)/√2⇔スピン1重項:(s1=1/2,s2=1/2)s=0,sz=0
実際、光子の基底を変えてみると、
(|R>|+τ>M+|L>|-τ>M)/√2
=[{(|H>-i|V>)/√2}|+τ>M+{(|H>+i|V>)/√2}|-τ>M]/√2
=[|H>{(|+τ>M+|-τ>M)/√2}-i|V>{(|+τ>M-|-τ>M)/√2}]/√2
つまり、「λ/4板に|H>を入射しても|V>が検出されることがある」ような状況設定を、
(本人の自覚はないようですが)TImeCommさんは提案しているわけです。
- ごめんなさい、目先の※だけを見てそれ以前の※は読んでいません。
考えてみたら、直線偏光であればどんな向きであっても角運動量は持たないでしょうね。λ/4板と偏光板をごっちゃにしていたかもしれません。
しかし、それだけのことではないでしょうか?つまり、
○直線偏光 → 角運動量を持たない
○円偏光 → 角運動量を持つ
○その混合状態 → 円偏光の成分だけ角運動量を持つ
というか、「λ/4板トルクセンサー」を使わないで普通に
「偏光板+APD」で偏光状態を検出してはだめなのですか?
- >> JK さん
※15は正しそうですが、※14は私もどうも成り立たないような気がします。
問題なのは、
> (U|+45>|0>M+U|-45>|0>M)/√2
> =(|R>|+τ>M+|L>|-τ>M)/√2
というところです。
今は1光子を考えているので、「(|R>+|L>)/√2」も「(|+45>+|-45>)/√2」も
異なる状態の確率的な重ね合わせ、ということになります。
その場合、外部に影響を与えた場合には自身の状態も確定して
確率的な重ね合わせは収縮しなければなりません。
;その”外部”が不確定性を持ち得る程度であれば、光子と外部が不確定性を
共有して量子もつれ状態にあることも考えらるが、
今の場合”外部”は「λ/4板トルクセンサー」であるため
不確定性の許されない巨視的な主体であると考えなければならない。
だとすれば、上の等式は
(U|+45>|0>M+U|-45>|0>M)/√2 → |R>|+τ>M, or |L>|-τ>M
のように不可逆的な状態の収縮で記述されなければなりません。
…てことが※11にあることなのか。
これだと確かに
「1光子によるトルクの変化は(不確定性に由来する)ノイズに埋もれて測定できない」
という結論になりそうですね。
- >>32 の主張は、量子光学の常識にもとづく以下の考察と矛盾します。
λ/4板と等価な偏光干渉計が、偏光ビームスプリッタ(略称PBS)2個を用いることによって構成可能です(補図1参照)。
補図1 http://img-cdn.jg.jugem.jp/ae8/2114200/20150206_1147095.png
PBS干渉計内において、光路は、水平偏光が通るH光路と垂直偏光が通るV光路とに分割されます。
そこで、H光路とV光路の光路差(Lv - Lh)をλ/4に設定することにより、λ/4板と等価な光学系が構成できます。
補図1(b)に示すように、PBS干渉計に水平偏光光子を入力すると、光子はH光路を通って水平偏光状態のまま出力されます。
したがって、λ/4板の場合も、始状態が |H>|0>M なら終状態も |H>|0>M であり、量子もつれ状態 (|R>|+τ>M+|L>|-τ>M)/√2 にはなりません。
つまり、入力光子の状態がλ/4板の低速軸に沿った|H>であれば、光子はλ/4板と角運動量に関する相互作用をしないので、量子もつれ状態は実現しません。
複数の系は、相互に作用し合うから量子もつれ状態になるのであって、相互に作用し合う物理的状況がなければ量子もつれ状態にはなりません。
- >>45において、ミラーにかかる力を測定すれば|H>か|V>になるでしょう?
その結果、|R>や|L>に角運動量がないことになりますか?
同様に、λ/4板にかかるトルクを測定すれば|R>か|L>になるわけです。
- >>44
多世界解釈的に表現すると、|光子>|λ/4板>|センサー>という直積状態に対して、
U2U1|H>|0>|0>=U2{(|R>|+τ>+|L>|-τ>)/√2}|0>
というミクロ・ミクロ間のユニタリ変換U1が作用した後、
=(|R>|+τ>|+τ>+|L>|-τ>|-τ>)/√2
というミクロ・マクロ間のユニタリ変換U2が作用します。
右辺第1項と第2項の|センサー>部分が直交するので、コペンハーゲン解釈的に表現すると、
|H>|0>|0>→|R>|+τ>|+τ>or|L>|-τ>|-τ>
のように同じ現象が観測されます。
それでは、センサーによる射影測定(ミクロ・マクロ間のユニタリ変換U2)がなかったら、どうなるでしょうか?
①U|H>|0>|0>=|H>|0>|0>
②U|+45>|0>|0>=|R>|+τ>|0>
③U|-45>|0>|0>=|L>|-τ>|0>
のような古典光学的な変換になると思われるかも知れませんが、①と②の内積をとれば分かるように、
左辺同士:(<H|<0|<0|U†)(U|+45>|0>|0>)=<H|+45><0|0><0|0>=<H|+45>
右辺同士:(<H|<0|<0|)(|R>|+τ>|0>)=<H|R><0|+τ><0|0>=<H|R><0|+τ>
∴<H|+45>=<H|R><0|+τ>
結局、|H>と|+45>,|H>と|R>,|0>と|+τ>の関係に帰着します。
<0|+τ>=0ならUが存在できないし、<0|+τ>=1ならτが測定できない。
つまり、①と②は両立しないのです。
- >>46, >>47
>>45補図1のλ/4板とPBS干渉計とは、光学的に等価です。
補図1 http://img-cdn.jg.jugem.jp/ae8/2114200/20150206_1147095.png
そして、補図1(b)のPBS干渉計の出力光子とPBS2側とが角運動量に関する量子もつれ状態にならないことは、実験によって確認されています。
一方、補図1(a)のPBS干渉計の出力光子は角運動量+ħを持つので、角運動量保存則から、PBS2側は角運動量-ħを持ちます。
λ/4板の場合にだけ量子もつれ状態が実現するという主張は理解できません。
仮にそうだとしても、λ/4板をPBS干渉計に取り替えればいいだけの話です。
- 全体のふるまいが分かっている実験でも、部分系について測定を行うためには、もともとの実験のセッティングに致命的な改変を施さざるをえない。
λ/4板の場合、角運動量測定のためにはλ/4板を「ぐらぐら」にせねばならず、結果として角度情報が犠牲になる。
>>45の場合、ミラーでの測定のためにはミラーを「ぐらぐら」にせねばならず、結果として位相差情報が犠牲になる。
これは、物理量の非可換性(あるいは不確定性関係)という量子論の本質から導かれる、避けようのない限界。
量子論の一般論として測定装置を仕掛けない場合と仕掛けた場合とで生じる違いについて、根本的なところでTImeCommさんに認識の甘さがある限り、ここでのやりとりはずっと堂々巡りになるだけでしょう。
- >>48
まず、>>47はあなたへのコメントではありません。
確かに、光学的に等価ではありますが、測定可能性的に等価ではありませんよね?
>>48のミラーのミクロな極限においては、|光子>|ミラーH>|ミラーV>という直積状態に対して、
|F>≠|0>
U|H>|0>|0>=|H>|F>|0>
U|V>|0>|0>=-i|V>|0>|F>
U|+45>|0>|0>=(|H>|F>|0>-i|V>|0>|F>)/√2
U|-45>|0>|0>=(|H>|F>|0>+i|V>|0>|F>)/√2
のような変換が実現することになります。
ここで、|F>は光子が反射したときのミラーの状態です。
|H>,|V>が「量子もつれ状態」にならないかわりに、|+45>,|-45>が「量子もつれ状態」になるわけです。
ミラーのマクロな極限においては、|0>と|F>の区別が付かないので、
lim[F→0]|F>=|0>
lim[F→0]U|H>|0>|0>=|H>|0>|0>
lim[F→0]U|V>|0>|0>=-i|V>|0>|0>
lim[F→0]U|+45>|0>|0>=(|H>|0>|0>-i|V>|0>|0>)/√2=|R>|0>|0>
lim[F→0]U|-45>|0>|0>=(|H>|0>|0>+i|V>|0>|0>)/√2=|L>|0>|0>
のような古典光学的な変換が実現するわけです。
- >>48
>一方、補図1(a)のPBS干渉計の出力光子は角運動量+ħを持つので、角運動量保存則から、PBS2側は角運動量-ħを持ちます。
おかしいとは思いませんか?
PBS2にかかるのは、|V>成分が反射されるときの反作用だけでしょう?
もちろん、PBS2の変化が測定できるようなら、それ自体が経路測定になってしまいますが。
その場合には、|光子>|PBS2>という直積状態に対して、>>50と同様の議論が成り立ちます。
円偏光の角運動量とは、|H>成分と|V>成分の位相差のことです。
λ/4板では局所的に生じる位相差が、>>48では光学系全体で生じています。
つまり、PBS2だけに反作用がかかるわけではないのです。
- >>49
>>>45の場合、ミラーでの測定のためにはミラーを「ぐらぐら」にせねばならず、結果として位相差情報が犠牲になる。
位相情報の犠牲を抑えるには、「ぐらぐら」を小さくすればいい。
「ぐらぐら」を小さくすると、トルク検出の精度が落ちる。
トルク検出の精度を高めるためには、検出閾値を調整し、試行回数を増やせばいい。
1光子限りの測定についての話ではないのですから、統計的測定が有効だと考えます。
- >>52
TImeCommさんがゆらぎをちゃんと計算してないことも、JKさんの>>33でのコメントを理解していないことも、よくわかりました。
もうTImeCommさんは実際に手頃な実験をなさるしかないと思います。
- >> JK さん
※47は※44の
> ;その”外部”が不確定性を持ち得る程度であれば、光子と外部が不確定性を
> 共有して量子もつれ状態にあることも考えらるが、…
というところに対する指摘でしょうか?
まあ「λ/4板」はどう見てもマクロな物体ですが、
もしそれと同じような機能を果たすミクロな物体があったとしても
やっぱり光子との間に量子もつれ状態は実現されない、ということでしょうか。
(あるいは「そもそもそういうミクロな物体もあり得ない」?)
ふーん、確かに、通常のEPR通信は二光子の量子もつれ状態を利用するので、
1光子とそれ以外のミクロな主体との間に量子もつれ状態が実現すると
※11、15で述べられている「クローン禁止定理」に反することになりそうですね。
> ∴<H|+45>=<H|R><0|+τ> (※47)
普通に考えると<H|+45>=1/√2、
<H|R>はよく分からないけれどもそれより大きくはならないだろう、
となると<0|+τ>は1よりもむしろ大きくなってしかるべきで、
一方<0|0>=1である事実は変えられないのでやっぱりおかしくなってしまいますね。
- 問題の成否について議論を喚起できれば、思考実験は意味があったということになります。
真の決着は、実験に委ねられます。
- >>54
TMOさん
そうではなくて、「TImeCommさんの思考実験では、光子とλ/4板が「量子もつれ」せざるを得ない」という指摘です。
以下、長文になるので面倒ならスルーして下さい。
量子力学の教科書では、まず、
U1|H>=|H>,U1|V>=-i|V>,U1|+45>=|R>,U1|-45>=|L>
のような1粒子状態のユニタリ変換を学びます。
任意の組み合わせについて内積をとると、確かに保存することが分かります。
次に、
U|H>|0>=|H>|w>,U|V>|0>=-i|V>|x>,U|+45>|0>=|R>|y>,U|-45>|0>=|L>|z>
のような2粒子状態のユニタリ変換を考えます。
任意の組み合わせについて内積をとると、|w>=|x>=|y>=|z>のときに保存することが分かります。
U|H>|0>=|H>|w>,U|V>|0>=-i|V>|w>,U|+45>|0>=|R>|w>,U|-45>|0>=|L>|w>
ここで、1粒子状態のユニタリ変換U1を思い出せば、
U=U1⊗U2,U2|0>=|w>
を満たす1粒子状態のユニタリ変換U2が存在して、2粒子が独立に時間発展することが分かります。
ところが、TImeCommさんの思考実験では、
【誤】T|H>|0>=|H>|0>,T|V>|0>=-i|V>|0>,T|+45>|0>=|R>|+τ>,T|-45>|0>=|L>|-τ>
を満たす2粒子状態のユニタリ変換Tが存在すると仮定しています。
仮定自体が間違っているので、>>47で示したように内積が保存しません。
また、第3式と第4式を満たすユニタリ変換Tが存在するなら、|+τ>≠|-τ>のため2粒子が独立には時間発展できません。
結果、第1式と第2式は「量子もつれ」せざるを得なくなります。
T|H>|0>=(|R>|+τ>+|L>|-τ>)/√2,T|V>|0>=(|R>|+τ>-|L>|-τ>)/√2,
T|+45>|0>=|R>|+τ>,T|-45>|0>=|L>|-τ>
経験則からいっても、「λ/4板は量子力学の対象にならない」という命題は正しいです。
であるからこそ、その対偶である「量子力学の対象になるなら、λ/4板ではない」もまた正しくなり、古典光学的なλ/4板の機能も失われてしまうのです。
- >>55
TImeCommさん
>思考実験は意味があったということになります。
これが、おーちゃんさんの指摘や>>32,>>33,>>50,>>51のコメントを受けての結論ですか?
>真の決着は、実験に委ねられます。
あなたの自腹で、ですよね?
結局、名前も間違ったままでした。
×TImeComm
○TimeComm
- >> JK さん
時間があるときにじっくり※56を読んでみます。
>> TImeComm さん
正直に言えば、私は※1にある「超光速EPR通信と時間逆行EPR通信の成立条件」
というところに興味を感じ、そこを読んでみたく思っています。
とはいえそれには「偏光板+APD」でなく「λ/4板トルクセンサー」で
偏光状態を検出することが重要だ、というのであればそう納得することにします。
- TMOさん
TImeCommさんのもともとの主張が正しければ、既に超光速通信が成立しています。
・アリスが基底{|H>,|V>}を選択したら、ボブはトルク{|0>,|0>}を検知する。
・アリスが基底{|+45>,|-45>}を選択したら、ボブはトルク{|+τ>,|-τ>}を検知する。
前者を0、後者を1に割り振っておけば、古典通信すら必要としませんので。
この主張に対し、「超光速通信だから成立するわけがない」という相対論的な反論はまったくの筋違いです。
なので、「非ユニタリ変換だから成立するわけがない」という量子力学的な反論に終始するよう心がけました。
- 要約すると、
> Aliceによる偏光板の角度(45°または0°)の切り替えを送信事象とし、(※3)
に対して
「45°または0°の偏光板を透過した光子がそのどちらを透過してきたかを
有意に検出することは出来ない」
「もしそれを有意に検出することができれば、超光速EPR通信が実現する」
ということになるのでしょうか?
- >>60
TImeCommさん本人の意思表示があれば良いのですが、そういうことですね。
ただし、「有意に」どころか「原理的に」検出できない、というのが量子力学の結論です。