今度こそ『好色一代女』のお話を紹介しようと思ったのですが、またもや他の作品が気になりまして(笑)
こないだ丸ごと読んだ『化物夜更顔見世』と同じ、
桜川慈悲成作・歌川豊国画の『大昔化物双紙』(寛政七 [1795]年刊)を懲りずにまた丸ごと読みたいと思います!
※国会図書館の画像を利用しています。
国立国会図書館デジタルコレクション - 大昔化物双紙 2巻
3ページ目です。
①本文
【翻刻】
御ぞんしのゑちごの◆くにの大にうだう◆
一子を一ツめ小ぞう◆とてちやうあいし◆
けるに此小ぞう◆おやにおとらぬばけ◆
ごうしゃにてありし◆かばあまたのばけもの◆
にうだうにいふやう◆一ツめどのいまはあつ◆
はれのばけやう◆なればにうだうは◆
ゐんきよして世を◆一ツめにゆずり給へと◆
すゝめけれはにう◆だうもなかまの◆
すゝめによりて◆わが一ツのめをくり◆
ぬき小ぞうに◆ゆづりわがみは◆
めひとつぼう◆とあらため◆
世をのがれて◆くらしけり
【現代語表記】
御存知の越後の国の大入道、一子を一つ目小僧とて寵愛しけるに、この小僧、親に劣らぬ化け豪者[剛者?強者?巧者?]にてありしかば、数多[あまた]の化け物、入道に言う様、「一つ目殿、今は天晴れの化け様なれば、入道は隠居して、世を一つ目に譲り給え」と勧めければ、入道も仲間の勧めにより、我が一つの目を刳り貫き[くりぬき]小僧に譲り、我が身は目一つ坊と改め、世を遁[のが]れて暮らしけり。
【ざっくり現代語訳】
みなさんご存知の越後の国の大入道、一人息子の一つ目小僧をたいそう可愛がっていました。
この一つ目小僧は、親の大入道に負けないくらい化け物として優秀でした。
多くの仲間の化け物たちは、「一つ目小僧殿は今や素晴らしい化け物になったので、大入道殿は隠居して、家督を一つ目小僧殿にお譲りなされ」と勧めました。
大入道は仲間の勧めにより、自分の目を一つくりぬいて小僧に譲り、自分の名前は目一つ坊と改め、世間から離れて暮らしました。
【解説】
『化物夜更顔見世』と同じ越後の国の大入道が登場しますが、全く別のお話になってますので、『化物夜更顔見世』の設定はもう忘れてくださいね(笑)
入道の子供が小僧なのは定番のようですが。
どうやら一つ目から二つ目になることが一人前の証しのようです。
②セリフ部分
【翻刻】
小ぞうめに世をはわたしたが
あじをやればいゝがむかしと
ちがつていまはばけものも
だへぶしにくひが
【現代語表記】
「小僧めに世をば渡したが、味をやればいいが、昔と違って今は化物も大分[だいぶ]し難[にく]いが。」
【ざっくり現代語訳】
[大入道改め一つ目坊のセリフ]
「小僧のやつに家督を譲ったものの、うまいことやれればいいが、昔と違って今は化け物稼業もだいぶやりにくくなったから心配だ。」
【解説】
『化物夜更顔見世』と同じく、本文と絵とセリフで構成されていますね。
ちなみに、【現代語表記】と【ざっくり現代語訳】の[]内は私の補足です。
このページにはありませんが()内には元々つけられている振り仮名を記しました。
【翻刻】の◆は改行を表しています。
なんか、だんだん現代語訳がざっくりじゃなくなってきたような気がします(笑)
家督を譲られて小僧は入道を襲名するわけですが、さてさて、うまくやっていけるのか、次回に続く!
あ、丸ごと翻刻&現代語訳はかなりしんどい作業なので、毎日は更新できないかもしれませぬ。。。
あらかじめご了承くださいませ。。。
この子かわいい♪
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はい、ちゃんと、くずし字クイズも復活ですよ♪
次回の分から出題します♪
当然、正解発表も次回です♪
◆ヒント1
はい、これはよく出てきますね!「多」のくずしです。
◆ヒント2
はい、これもよく出てきます!「可」のくずしに濁点がつけられています。
◆ヒント3
大サービス!
順に「保」「尓」「連」のくずしです!
◆ヒント4
すべて平仮名です!
※平仮名は漢字を崩して作られたものです。
※ここではわかりやすくくずし字と言っていますが、専門用語では変体仮名と言います。
それでは、今日も明日も楽しいくずし字ライフを♪(笑)