- 【1】 "例のツイート"とは
- 【2】結論
- 【3】ツイート内容は真実か? - 高江暴行事件と基地反対運動への誹謗中傷
- 【4】ツイートの公共性・公益性について
- 【5】名誉棄損罪における違法阻却
- 【6】私を訴えようとしている依田啓示さんへ
- 【7】さいごに
- 【付記】依田啓示さんへお願い
【1】 "例のツイート"とは
さて、思わぬことが炎上につながるものです。このツイート。全く予想外でした。
ひっきりなしに来るリプライによれば、このツイートは依田啓示氏および依田氏が経営するカナンスローファームへの名誉棄損(とそれに起因する業務妨害)に該当するとのことです。
【2】結論
まず結論から申しますと、このツイートは名誉毀損にはあたりません。
名誉毀損罪とは「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損すること」。(刑法230条)
ただし、
①利害の公共性
②目的の公益性
③摘示事実の真実性
以上3点を満たす場合、名誉毀損罪は成立しません。(刑法230条の2、違法阻却要件)
当該ツイートは「公共の利害」の観点から「公益を図るため」「事実を摘示」したものです。
したがって、名誉棄損にはなりえないのです。
順に検討してまいりましょう。
【3】ツイート内容は真実か? - 高江暴行事件と基地反対運動への誹謗中傷
1.依田啓示氏による暴行事件
当該ツイートは、1~2行目に明記している通り「ヘリパッド問題に揺れる東村高江区を応援するために東村へふるさと納税をする人たち」を広く対象とした注意喚起であります。
そもそもなぜこのような注意喚起をしなければならないのでしょうか。
事の発端は昨年(2016年)9月、ヘリパッド建設反対運動に参加するため高江を訪れた女性を依田氏が殴った事件に遡ります。
複数の当事者の証言によれば、依田氏は高江の座り込み現場を訪れた際、乗用車から降り男性を突き飛ばし、その後一直線に被害者女性のもとへ向かい、いきなり拳で顔を殴りつけカメラと携帯を奪い藪の中に投げ捨てたといいます。
殴られた女性は口の中がズタズタになる程の傷を負い、唇は見るも無残に腫れあがりました。こちらが被害者女性が負った傷…。
言葉を失います。
躊躇なく女性の顔面を拳で殴ることができるメンタリティが、私には全く理解できません。
2.暴行事件後の誹謗中傷
しかしながら、本当に酷かったのはここから先でした。
なんと依田啓示氏は被害者へ謝罪すらせず、自らの保身のためでしょうか、被害女性への誹謗中傷さらには基地反対運動全体への攻撃を始めたのです。
「私は女性を殴っていない。もみ合いの中で手が当たっただけ」
「基地反対派が救急車を止めた」
「基地反対派がドクターヘリを呼びつける」
「辺野古ゲート前で交通事故に遭った被害者は嘘つきで、本当は米軍車両にひかれたかった」
あの悪名高き極悪ヘイトデマ番組「ニュース女子」にも地元住民として出演しデマを拡散、facebookでも、ツイッターでも…。
詳しくは「依田啓示 デマ」等のキーワードで検索していただくとして、とにかくあることないこと、基地反対運動を貶めるためなら何でもあり。
今年(2017年)に入ってから依田氏の活動はさらに幅を広げ、シンポジウムや講演会等に頻繁に登壇し自らの正当性を訴えるとともに、基地反対運動全体を攻撃するようになります。
3.被害者女性に対する個人攻撃
加えて直近では、上記暴力事件の被害者女性に対する個人攻撃が苛烈さを増しています。
依田啓示氏はツイッターの固定ツイートで4ヶ月近く被害者女性の実名を晒し続けています。このツイートは現在8000回以上リツイートされ、被害者女性をネットリンチという二次被害に晒しています。
さらに、被害者女性の実名と顔写真をリツイートし「平気で警察官を竹やりで串刺しにし、鉄パイプであらゆる骨を打ち砕き、最後にガソリンをかけて、生きたまま火あぶりにした残党です」とコメントしました。
限度を越えています。無茶苦茶です。このような卑劣な個人攻撃を、絶対に許すことはできません!
4.基地反対運動全体への攻撃
しかも、依田氏はこうも言います。「こんな『オウム』みたいな組織が、法的制約・干渉を受けずに沖縄を荒らしまわっている」「オール沖縄はテロリストを使っている」と。
基地に反対する個人のみならず、沖縄の大衆運動をも誹謗中傷しているのです。
このように、基地反対運動参加者への個人攻撃ばかりでなく運動全体をも誹謗中傷する依田啓示氏は、運動に参加する人々、運動に連帯する人々を明確に敵視しています。
基地反対の立場にあり、かつ既に依田氏の行状を知っている方々は私と同様「許せない」と考える方がほとんどでしょう。
基地反対の立場にありながら依田氏の行状を知らない人は、依田氏が基地反対運動を徹底的に攻撃していることを知ったならばやはり「許せない」と考えることでしょう。
まずはここを押さえて下さい。
【4】ツイートの公共性・公益性について
1.基地反対自治体へのふるさと納税
全国の納税者が、基地建設に反対する自治体を経済的にバックアップできる方法があります。ふるさと納税です。
基地問題が社会問題として大きな注目を集める中、たとえば本土の方が「自分にも何かできることはないだろうか」と考えふるさと納税を選択する―そういう事例が増えています。
たとえば辺野古新基地建設問題で国と対立する名護市には最大で2億円が匿名希望者から寄せられるなど、全国から莫大なふるさと納税が集まっている事実があります。
[琉球新報]名護市、ふるさと納税12倍 反基地支援、県4400万円
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-236017.html
このように「基地反対応援のためのふるさと納税」は、広く認知され市民権を得たスキームであり、高江ヘリパッド問題を抱える東村とて例外ではありません。
2.危惧
そう考えていたところに、あろうことか東村ふるさと納税の返礼品提供業者に依田啓示氏のカナンスローファームが指定されていることを知ったのです。
私は大変な危機感を覚えました。
ヘリパッドに反対する高江区を応援するためにふるさと納税をしたのに、基地反対運動を徹底的に誹謗中傷し個人攻撃を繰り返す依田啓示氏から返礼品が届く。
基地反対運動を応援するためのふるさと納税が、結果的に基地反対運動の敵対者を利することになる。
万が一にもこんなことがあってはならない、と考えました。
依田氏を応援したい人はすればよい。しかしながら、少なくとも基地に反対する人たちには、
「カナンスローファームの経営者が依田啓示氏であること」
「依田氏は反基地運動を徹底的に敵視し卑劣な手段で叩いていること」
この二点を知らしめなければならない、注意喚起しなければならない、そう考え例のツイートを投稿したのです。
【5】名誉棄損罪における違法阻却
冒頭でも申しましたように、刑法230条2に定められている通り、下記の要件を満たす言論は名誉棄損にあたらないと判断されます。
私の例のツイートは、上記で詳述したように、「広く認知されたスキームである『基地反対自治体応援のためのふるさと納税』を選択する納税者の権利を守る」という「公共の利害」の観点から「公益を図るため」「事実を摘示」したものであります。したがって、名誉棄損には該当しません。
私のツイートを再掲いたします。冒頭でわざわざ「高江応援のためにふるさと納税される方はご注意を!」と断っていることにお気付きでしょうか。
このツイートによって、高江応援のためにふるさと納税をする納税者は、正しい情報を元に返礼品を選択することができるようになったのです。
私的制裁であるとか、誹謗中傷であるとか、営業妨害であるとか、そういった指摘が相次いでいますがそのいずれもが完全に的外れであることがお分かりいただけるでしょう。
事実、当該ツイートに関連し以下のような反応がツイッターユーザーから届いています。
【6】私を訴えようとしている依田啓示さんへ
さて、以上長々と「私のツイートは名誉棄損に該当しない。なぜなら私の行為には刑法203条2の違法阻却事由が認められるからである。」との主張を論理立てて展開してまいりました。
依田さん、私を訴えてどうするつもりですか?
そもそも、訴訟となれば私は前述刑法203条2第一項「公共性」および「公益性」の証明のため、また「真実であること」の証明のため、1月に予定されている高江暴行事件の公判資料、およびあなたの過去の誹謗中傷ツイート、個人攻撃ツイートのデータを証拠として提出するつもりです。
あなたが私を訴えることで、あなたの卑劣極まりないツイートが白日の下に晒されるのです。
殴った被害者女性に対し、「平気で警察官を竹やりで串刺しにし、鉄パイプであらゆる骨を打ち砕き、最後にガソリンをかけて、生きたままま火あぶりにした残党です」と誹謗中傷した事実が裁判で再確認されるのです。
というより、もしあなたの目的が訴訟そのものではなく、私の実名を暴くことだけであったとしたら。
現在あなたが被害者女性に対し行っているように、実名を晒してネットのお仲間とネットリンチを繰り広げるのでしょうか。
いま現在進行形であなたとあなたのフォロワーが繰り広げている苛烈な個人攻撃を、私に対しても行うのでしょうか。
もしそのような状況となれば、私はそれら全ての証拠を集めその一つ一つと徹底的に戦うつもりです。私に個人攻撃は効きません。とことんやります。
【7】さいごに
今回の炎上劇(とはいっても通知が鳴り止まない程度ですが)、実は予想外でした。
公共の利益のために行った注意喚起がここまで反響を呼ぶとは正直思っていませんでした。
しかも、私のツイートが結果的に基地反対運動を誹謗中傷する依田啓示氏およびカナンスローファームの宣伝になってしまったという現実もあります。これは全くもって不本意であり、この事態が予想できなかったことは深く反省すべき点であります。
「デマゴーグを相手にしていたらキリがないよ」との指摘も頂きました。
この反論記事のために何時間も費やさざるを得ませんでした。
このまま「基地を止めるためのたたかい」に費やすべき貴重な時間が浪費されていくことが耐えられません。
そこで一つ決断をいたします。
騒動の元となったツイートを削除します。
大量の通知が元ツイートにぶら下がってくるのが不愉快であることと、ツイートを放置することでこれ以上依田啓示氏およびカナンスローファームの利益となる宣伝行為に加担したくないこと、以上が理由です。
※ツイートの削除はこの記事がある程度拡散されたタイミングで行います
【付記】依田啓示さんへお願い
暴行事件の被害者女性への個人攻撃を止めて下さい。
基地に反対する人たちへの誹謗中傷を止めて下さい。
理不尽な基地負担押し付けに抵抗するぎりぎりの必死なたたかいに対して、ネットの影響力を駆使し潰そうとしないで下さい。
今日もやんばるの空は一日中軍用機の轟音が途切れることなく、さながら戦場のようです。
私はただ、自然をまもりそだて、平穏な日々を未来に残したいだけなのです。
以上です。
2017年11月27日