(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年11月27日付)

韓国における昨年の出生率、1.17に OECD加盟国で最低

韓国・ソウルで、娘を抱きながら歩く母親。(c)AFP/JUNG YEON-JE〔AFPBB News

 オ・スンジャさん(68)はこの4年間、韓国ソウルの街頭で、さびた台車を押して歩きながら箱や段ボールを集めてきた。

 「この年だと動き回るのも大変ですが、そうするしかないんです。私ら夫婦を支えてくれる人が誰もいませんから」

 この仕事で1日に2万ウォン(約2000円)稼ぐオさんは、こう言う。「これが私の運命です。我慢するしかありません」

 貧困は韓国の高齢者の半数近くを苦しめている。

 今の高齢者と言えば、戦後韓国の活力源となり、先進国への目覚ましい変貌を支えた世代だ。

 国民年金(基礎年金)の支給額は月間20万ウォンで、住まいと食費を何とかまかなえる程度。このため多くの高齢者は家計をやりくりするために、単調な仕事や恥ずべき仕事に就かざるを得ない。

 中には、売春に手を出すしかない人もいる。ソウルの高層ビル街の下にたたずむ緑豊かな公園では、高齢だと80歳にもなる女性たちが近所のさびれたモーテルへ誘い込む客を探している。