冬になると食べたくなるものってたくさんありますよね。
鍋を友達や家族と突っつき合って温まる。
肉まんを「あちち」って言いながらほおばってみる。
おでんに辛子を付けすぎて、ツーンと鼻にきて涙が出る。
冬だからこそ生まれる小さな食の幸せっていくつもあると思います。今回は、冬の味覚「石焼き芋」に出会った時の少しセンチメンタルなお話。
この間、少し早めのいちょう並木を見に行ってきました。
全体的に黄緑色の状態でしたが、とても綺麗でした。本格的な紅葉シーズンだったらもっと黄色がかって綺麗だったのかな?
でも未完成の状態って好きだったりします。ここからもう少し時間をかけながら色が染まっていく、こんな想像をするだけでワクワクします。
左半分は綺麗な紅葉。右半分は紅葉までもう少し時間が必要な成長の途中。自分のペースで少しずつ、焦らなくてもいいからしっかりと前に進んでいく。周りに合わせなくたって良い、比較しなくたって良い。
勝手な妄想ではありますが、いろんな世界観を楽しめるのも紅葉の魅力だと思います。写真を撮ってシェアするのも良し、美味しいものを食べながら余韻に浸るも良し。何も考えず見ていたって良い。
ある程度楽しんだので、紅葉の余韻に浸りながら帰ることにしました。
駅に向かう途中、良い匂いがしたので周りを見渡してみると、一台の軽トラックが見えました。
そこではおじちゃんが石焼き芋を売っていました。石焼き芋の移動販売。
小さい頃、「い〜し焼〜きいも〜焼きいも〜」とゆっくり走る車から流れるアナウンスを聞いて、お母さんにお願いして買ってもらったことがあります。
その時は結局全部食べきれなかったけど、寒い中食べる焼き芋は美味しかったな。あの時の美味しさは今でも覚えています。
それ以来、こういう昔ながらの焼き芋って食べてなかったかも。
焼き芋を頼むと、茶色い紙袋に入れてくれました。ビニール袋じゃなくて紙袋ってところが趣があってすごく良い。
中から取り出すと、アルミホイルに包まれたお芋が。
茶色くなった熱々のお芋。早速割ってみよう。どんな色してるのかな?
パカッと割ってみると綺麗な黄色でホックホク。甘くて美味しそう!
焼き芋久しぶりだなあ。
コンビニとかスーパーでも冬になると温まった焼き芋をよく見かける。これだけ技術が発達してる世の中だから、機械で美味しい焼き芋は作れるのかもしれない
でもやっぱり移動販売の「石焼き芋」って良いなって思った。
おじさんが寒い中手渡しでくれる焼き芋。そこにあるのはただの焼き芋じゃなく、情緒ある光景と漂う冬の空気。思わず口ずさみたくなる「い〜し焼〜きいも〜」というフレーズ。
これら全部合わさって、ひとつの石焼き芋が完成しているんだと思います。
もし近くであのフレーズが聞こえたら、「寒い寒い」って言いながら駆け寄ってみてください。温もりいっぱいの石焼き芋があなたを迎えてくれることでしょう。
寒い日々が続きますが、冬の味覚を楽しんでいけたら良いですね。