【インタビュー】B'z、『DINOSAUR』完成「君が今聴いているバンドとは違うと思うよ」

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B'zの最新作『DINOSAUR』は、デビュー30周年となる年にリリースされる20作目となるアルバムだ。記念すべきアニバーサルイヤーでもあり、ひとつの区切りとも思しき作品だが、いつものようにB'zのふたりは何を意識することもなく、自然体のままに作品づくりを行っていた。何年経とうと何作つくろうと、彼らのミュージシャンシップは何にも揺らぐことなく、妙な意識が働くこともない。

◆B'z 画像

一度たりとも歩みを止めることなく走り続けてきた30年ものキャリアは、どうやって形成されたのか。奇跡のユニットB'zのふたりの発言には、今も昔も変わらぬ純粋で素直なアーティストの真実が隠されている。

   ◆   ◆   ◆

■わりとお互い話すから
■波みたいなものはわかりますね

──30周年でもあり20作目でもあるアルバム……ということで、どんな意識が働きましたか?

松本孝弘:いや、アルバムを創っているときは20作目だなんて知らなかった。

──え? マジで?

松本:スタッフは知っていたみたいだけど、あとで聞いて「あ、そうなんだ、20作目なんだ……」って感じ。

──稲葉さんも知らなかったんですか?

稲葉浩志:全く意識していなかった。30周年は分かっていましたけど、アルバム制作に対してはさして意識することはなかったですね。

──『DINOSAUR』には若々しいエネルギーが渦巻いていますけど、それはアニバーサリーへの意識ではなかったんだ……。

稲葉:あえてテーマもなかったし。

松本:いつもそういうテーマとか決めてなくて、創っていく過程で出てくるという感じだからね。今回は「Dinosaur」という曲がわりと早い時点でできたから、その歌詞とタイトルが出てきた時点で「今回のアルバムタイトルは、もうこれだな」というのはありましたけど。

──曲作りの手法は以前と変わらず?

松本:それは昔からずっと変わらず、メロディが先にあって、アレンジメントを固めていく過程で歌詞が乗っていく。

稲葉:アレンジを進めていく中で、自分が持っているモチーフを曲のイメージにあわせて膨らませて書いたり、ですね。

──30年間制作スタイルも変わらず、バンドとして歩みを止めていないという事実は、本当に凄いことだと思うんですが。

松本:それは本当にありがたいことです。長くバンドをやっていると、インタビューとかで「レコード会社にやりたくないことを強要された」みたいな発言ってよく見るじゃないですか(笑)? そんなことも一切なく、やりたいことだけを30年間やらせてもらえたというのは、本当にありがたいことですよね。だから休まず続けてこれたのかもしれない。ストレスなく創り続けられたから。

──スタッフに恵まれた?

松本:それももちろんそうだし、ファンのみなさんですよね。だから、もちろんそういうみなさんの期待に沿うものを創ろうという努力は続けてきたと思う。1作目からこの20作目まで、音楽のスタイルもだいぶ変わってきているかもしれないけど、その都度やりたくないことをやってきたことは一度もなかったから。

──やりたくないことに遭遇しそうになることはあったでしょう?

松本:んーそうね……例えば、日本の場合はタイアップというのが大きなヒットの要因になることが多いから、ある程度縛りみたいなもの……特に歌詞にはそういうところがあるよね。でもそれはそれで楽しんでやってきたし。

──むしろ「お題をもらって、それに応える制作作業は好き」って言っていましたよね?

松本:そうそう。オーダーに沿ってものを創るのはすごく好き。

稲葉:結構楽しいですよね。自分が思いつかない切り口をもらっている気がする。それがすごくいいヒントになったりして、いつもとは違う刺激をもらえるような感覚があるので。昔はそこまで思えなかったかもしれないけど、今は楽しいですよ。

──B'zの活動歴の中で、最も辛かったこと/悲しかったことは何ですか?

松本:んー、やっぱりね、音楽に対しては非常に貪欲なんだと思う。“良くなればそれでいい”だけだからさ、だから、あれは嫌だったなぁ……みたいなのはあんまり思い出せないなあ。

──自分への苛立ちとか、理想と現実のギャップのストレスとかは?

松本:それはね、長くやっているとありますよ。自分で自分のメロディに飽きてくるところ……「またこれかよ」みたいな。

──ミュージシャンであれば誰しも味わうところだと思います。

松本:「なんかこう、違ったもの……なんかもっとないのかな」とか、そういうときはあります。

──そんな心の中のボヤキは、稲葉さんには聞こえていないわけで?

稲葉:いや、でもわりとお互い話すから、自分でなかなかうまく進まないことに苛立っていればそれも言うし、どんどんアイディアが出ることもあればその逆のときもあるから、その都度その都度で話をしているので、そういう波みたいなものはわかりますね。

──そんなところもふたりで解決してきたんですね。

稲葉:作品ができればそれで解消されることなので。

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