横綱・日馬富士が現役引退会見
大相撲の平幕・貴ノ岩に暴行した責任を取って、29日引退した横綱・日馬富士の記者会見が、師匠の伊勢ヶ濱親方も同席して午後2時すぎから福岡県太宰府市で始まりました。
会見の冒頭、師匠の伊勢ヶ濱親方は「横綱・日馬富士の引退届を提出しました。私は日馬富士を16歳という少年のころから見てきていますが、稽古、稽古で精進したのみならず、色んな勉強もし、難病救済など社会貢献も行う珍しいタイプのお相撲さんだと思っていました。酒癖が悪いとか、乱暴とか私自身は見たことも聞いたこともないなかで、なぜこのようなことになってしまったのか、ただただ不思議で残念でなりません。本人が1番悪いんです。他人様のせいにするわけにはいけません。本当に申し訳ありませんでしたと言うしか有りません。ただただ支えて頂いたファン、相撲協会のみなさんにこころからお詫びします」と涙ながらに話しました。
日馬富士は、冒頭「このたび、貴ノ岩関にけがを負わせたことに対し、お詫びをさせていただきます。相撲ファン、相撲協会、後援会の皆様、伊勢ヶ濱親方に大変迷惑をかけたことを心から深くお詫び申し上げます」と話したうえで、およそ20秒にわたって深々と頭を下げました。
日馬富士は引退の理由について「親方と話して、横綱としてやってはいけないことを自分がやってしまった」と話しました。
そのうえで、届け出が29日になったことについて「場所中だったので、がんばっている力士達にがんばってほしいということから本日になりました」と話しました。
日馬富士は、暴力に到った理由について「先輩の横綱として、礼儀と礼節がなっていないときにそれを教えるのが義務だと思っている。叱ったことが、彼を傷つけ、世間を騒がし、相撲ファン、協会、後援会の皆さんに大変迷惑をかけてしまうことになってしまいました」と話しました。
日馬富士は、「人様に迷惑をかけず人として生きる。相撲を通じて縁があった方々、私を支えてくれたファンのおかげで75代横綱になることができました。相撲を愛しています。ファンの皆様に心からお詫びを申し上げて心から感謝、感謝、感謝を申し上げたい」と話していました。
師匠の伊勢ヶ濱親方は、今回の問題について、「やった事実はあるわけなので、横綱として責任は取らなければいけないという話をした。横綱という名前を汚すことはあってはいけないことで、その意味では私の指導不足もあるが、本人が社会貢献なり、なんなり、頑張っていけばいいのではないか」と話しました。
日馬富士は、大相撲への思いについて「わたしは相撲が大好きです。強いだけではなく、人として、相撲を通じて社会に何が出来るか考えることを親方やおかみさんから学んだ。相撲を通じて世の中に希望を与えられるよう自分ができることをやってきた。私の相撲はただ戦って強いだけでなく、希望を与える相撲なのかなと思います」と話しました。
伊勢ヶ濱親方は、日馬富士とのこれまでの稽古について振り返り、「とにかく稽古、稽古で、弱音を吐かずにずっと頑張り続けてきょうまでやってきた。その相撲は、みなさんに喜んでもらえたんじゃないかなと思います」と話しました。
日馬富士は、これまでの思い出を聞かれると「お客さんに楽しんでいただける喜んでいただける相撲だけを考えて横綱としての責任を果たしました」と話しました。
そのうえで、「たくさんあります。相撲で戦っていた仲間たちに申し訳ないと伝えたい。思い出に残っているのは初土俵で序の口で優勝したこと。初心を忘れてはいけないと思ってやっていた」と話していました。
日馬富士は、会見で涙ながらに話す伊勢ヶ濱親方の姿について、「僕は父を15歳のときに亡くした。親方は僕のお父さんであり師匠であり、僕の憧れでもあった。いつも親方と女将さんに恩返ししたい。女将さんに喜んで頂きたい。親方に評価して頂きたい。いい息子でいたいという気持ちが強かった。最後に世間を騒がせたこと、本当に申し訳ない。これからも相撲の名を傷をつけないよう恩返ししたい」と話しました。
日馬富士は「貴ノ岩関にけがを負わせて、心も傷つけたと思います」とした上で、今後について、「礼儀と礼節を忘れずちゃんとした生き方をして頑張っていきたい」と話しました。
伊勢ヶ濱親方は、ほかに解決方法があったかという質問に対し、「それは皆さんがどのように思うかでしょう。よその部屋の関取に指導してそれが行き過ぎてしまう。行き過ぎたのは、横綱に原因があったので、その責任は絶対に取らなければいけないと思っています」と述べました。
日馬富士は、九州場所の2日目まで土俵に上がったことについて「相撲に集中して頑張っていた。暴行のことが新聞に出ることもわからなかったし、親睦会のあと貴ノ岩が謝りに来て、『お兄さんがいることに感謝しろよ。気をつけて頑張れよ』と話し握手をして別れた。ことが大きくなると思いませんでした」と話しました。
日馬富士は、「今回のことで『彼のためになる、正しいことをしている』という気持ちが強い、いきすぎたところがあったなと思いました。今まで酒を飲んで問題を起こしたことはありません。人を傷つけたり、暴れたりしたことや、酒癖が悪いと言われたことは一度もないです」と話していました。
日馬富士は、これまでも指導で暴力をふるったことがあったかという質問に対して「こういう指導はしたことはありません。見たこともありません。やってはいけないことをしてしまったので、横綱らしく責任を持つ」と話しました。
伊勢ヶ濱親方は日馬富士に、暴力に至った経緯の詳細を聞く質問が出ると「捜査中のことなので答えられない」と代わりに答えました。
日馬富士は会見の最後に、「どうもすみませんでした」と一礼して会見場をあとにしました。