納会ゴルフでハッスルした村田だが、置かれた立場は厳しい

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 巨人から戦力外通告を受け、新天地で現役続行を目指す村田修一内野手(36)に、いまだオファーは届いていない。自力ではいかんともしがたい、“敬遠される理由”がある。

 「やっぱり観客がいないとダメだな」

 24日に神奈川県内で行われた球団の納会ゴルフ。報道陣が取材可能な最終18番ホールで多くの視線が注がれる中、約12メートルのロングパットを見事に沈め、村田は満足そうにうなずいた。これがこの日、最初で最後のバーディーだった。

 注目され、期待される中でこそ真価を発揮する男。それゆえに、初めて所属なしで迎えるこのオフは「トレーニングもちょっとずつしているが、次が決まらないと気持ちも体も動いてこない。なかなか難しい」と苦しい胸の内を明かす。

 チームの若返りのため功労者を切った鹿取GMは「せめてもの誠意」として、補償が発生するFAよりも手頃な条件が提示しやすい自由契約にすることで、他球団から声がかかるよう配慮した。ところが6週間たった今も、村田を獲得しようという動きは皆無だ。

 この不人気ぶりは球団フロントも誤算だったようで、「本当にどこからも声がかかっていないのか」と逆取材される報道陣が後を絶たない。外様で球団初の選手会長を任されるほど信望を集めた選手だけに、退団としたら後は関知せずというわけにもいかないのだ。

 一方で他球団コーチからは、そうした存在感こそが敬遠される要因との見方も。「セ・リーグの監督はここ数年で一気に若返った。村田のような親分肌のベテランを手なずけるのは、親子くらい年が離れた老練な監督でないと難しい」。リーダーが2人いてベンチが分断される懸念だ。

 巨人・高橋監督をはじめ4人が40歳代。再登板のヤクルト・小川新監督は60歳だが、近い将来に47歳の宮本新ヘッドコーチへの禅譲が視野に入る。63歳の中日・森監督が唯一の希望か。パ・リーグでは最も戦力不足なロッテの井口新監督が42歳。確かに厳しい年齢構成だが、クセのある豪傑を使いこなしてこそ名将だろう。手をさしのべる球団は出てくるのか。(笹森倫)