嫡出否認の民法規定は合憲か きょう判決

嫡出否認の民法規定は合憲か きょう判決
妻が生んだ子どもを法律上、自分の子どもではないと求める手続きは、民法では、夫しかできないことになっていて、この民法の規定が憲法に違反するかどうかが初めて争われた裁判の判決が29日、神戸地方裁判所で言い渡されます。この規定が子どもが無戸籍になってしまう問題の背景にあると指摘され、裁判所の判断が注目されます。
民法では、結婚している妻が妊娠した場合、子どもの法律上の父親は夫と推定すると定められています。父と子の間には親子関係がないと裁判所に求める手続きは「嫡出否認」と呼ばれ、民法ではこの手続きは夫しかできないことになっています。

神戸市に住む60代の女性やその子どもや孫たちは、この規定が男女平等を定めた憲法に違反するなどとして国に賠償を求める訴えを起こし、29日、神戸地方裁判所で判決が言い渡されます。

これまでの審理で60代の女性は、暴力を振るう前の夫から逃げて別居し、別の男性との間に子どもを生みましたが、離婚が成立する前の子どものため、前の夫の戸籍に入ることを避けようと出生届を提出できなかった結果、娘や孫が無戸籍の状態になったと訴えています。そして、無戸籍の原因は「嫡出否認」をできるのが夫側に限られ、妻や子どもには認められていないためだと主張しています。

これに対し、国は「子どもの法的な立場を安定させる」として規定には合理性があると主張しました。

この規定が憲法違反かどうか争われた裁判は初めてだということです。規定が見直されれば、無戸籍の人たちにとって戸籍を得るための方法が広がると指摘されていて、裁判所の判断が注目されます。

嫡出推定とは

民法では、結婚している妻が妊娠した場合、子どもの法律上の父親は夫と推定すると定められているほか、離婚から300日以内に生まれた子どもを前の夫の子どもとすることなどが規定されています。これらの規定は「嫡出推定」と呼ばれています。

血縁上の母親と子どもとの関係は出産の証明によって明らかなのに対し、血縁上の父親と子どもの関係は必ずしも明らかでないため、妊娠の時期によって父と子の関係を早期に確定させて、相続や養育など子どもにとっての利益を確保しようという考えから規定が設けられているとされています。

この「嫡出推定」に関連して、法律上の父と子の関係を覆すための手続きは厳しく制限されていて、親子関係がないことを裁判所に認めてもらう訴えを起こすことができるのは父親だけと定められているうえ、申し立ての期間は、子どもの出生を知ってから1年以内に限られています。
これらの規定は「嫡出否認」と呼ばれています。

この規定を含めた「嫡出推定」は、戸籍のない子どもが生じる原因と指摘され、例えば、暴力を振るう夫から逃げて別居した妻が、離婚の成立する前の段階で別の男性との間に子どもを産んだ場合、法律上、夫の子どもと扱われ、これを避けるために出生届を出せなかった結果、無戸籍になる子どもが生じるとされています。

明治時代に作られた「嫡出推定」の規定は、DNA鑑定の技術が進んで親子関係の証明が比較的簡単になっている現代には合わなくなっていると指摘され、専門家からは規定の見直しを求める意見も出ています。

全国の無戸籍者数

法務省によりますと、ことし10月10日の時点で、無戸籍の人たちは、全国で少なくとも715人に上るということです。

民法の「嫡出推定」の規定で、離婚が成立する前に妻が妊娠した子どもは、生まれたあと夫の戸籍に入ることになるため、それを避けるために出生届を出していないケースが多いということです。
嫡出否認の民法規定は合憲か きょう判決

嫡出否認の民法規定は合憲か きょう判決

妻が生んだ子どもを法律上、自分の子どもではないと求める手続きは、民法では、夫しかできないことになっていて、この民法の規定が憲法に違反するかどうかが初めて争われた裁判の判決が29日、神戸地方裁判所で言い渡されます。この規定が子どもが無戸籍になってしまう問題の背景にあると指摘され、裁判所の判断が注目されます。

民法では、結婚している妻が妊娠した場合、子どもの法律上の父親は夫と推定すると定められています。父と子の間には親子関係がないと裁判所に求める手続きは「嫡出否認」と呼ばれ、民法ではこの手続きは夫しかできないことになっています。

神戸市に住む60代の女性やその子どもや孫たちは、この規定が男女平等を定めた憲法に違反するなどとして国に賠償を求める訴えを起こし、29日、神戸地方裁判所で判決が言い渡されます。

これまでの審理で60代の女性は、暴力を振るう前の夫から逃げて別居し、別の男性との間に子どもを生みましたが、離婚が成立する前の子どものため、前の夫の戸籍に入ることを避けようと出生届を提出できなかった結果、娘や孫が無戸籍の状態になったと訴えています。そして、無戸籍の原因は「嫡出否認」をできるのが夫側に限られ、妻や子どもには認められていないためだと主張しています。

これに対し、国は「子どもの法的な立場を安定させる」として規定には合理性があると主張しました。

この規定が憲法違反かどうか争われた裁判は初めてだということです。規定が見直されれば、無戸籍の人たちにとって戸籍を得るための方法が広がると指摘されていて、裁判所の判断が注目されます。

嫡出推定とは

民法では、結婚している妻が妊娠した場合、子どもの法律上の父親は夫と推定すると定められているほか、離婚から300日以内に生まれた子どもを前の夫の子どもとすることなどが規定されています。これらの規定は「嫡出推定」と呼ばれています。

血縁上の母親と子どもとの関係は出産の証明によって明らかなのに対し、血縁上の父親と子どもの関係は必ずしも明らかでないため、妊娠の時期によって父と子の関係を早期に確定させて、相続や養育など子どもにとっての利益を確保しようという考えから規定が設けられているとされています。

この「嫡出推定」に関連して、法律上の父と子の関係を覆すための手続きは厳しく制限されていて、親子関係がないことを裁判所に認めてもらう訴えを起こすことができるのは父親だけと定められているうえ、申し立ての期間は、子どもの出生を知ってから1年以内に限られています。
これらの規定は「嫡出否認」と呼ばれています。

この規定を含めた「嫡出推定」は、戸籍のない子どもが生じる原因と指摘され、例えば、暴力を振るう夫から逃げて別居した妻が、離婚の成立する前の段階で別の男性との間に子どもを産んだ場合、法律上、夫の子どもと扱われ、これを避けるために出生届を出せなかった結果、無戸籍になる子どもが生じるとされています。

明治時代に作られた「嫡出推定」の規定は、DNA鑑定の技術が進んで親子関係の証明が比較的簡単になっている現代には合わなくなっていると指摘され、専門家からは規定の見直しを求める意見も出ています。

全国の無戸籍者数

法務省によりますと、ことし10月10日の時点で、無戸籍の人たちは、全国で少なくとも715人に上るということです。

民法の「嫡出推定」の規定で、離婚が成立する前に妻が妊娠した子どもは、生まれたあと夫の戸籍に入ることになるため、それを避けるために出生届を出していないケースが多いということです。