体験レポートは前回で終了です。
この完結編ではこのセミナー体験に対する俺の私見を述べたいと思います。
総括1:セミナーの表の意義と裏の意味
セミナーが参加者に伝えたかったメッセージとは一体何だったんだろう?
俺は最初に山田君から、「人生をより良く変える素晴らしい何か」としてセミナーを勧められた。
体験してみた結果は今まで書いてきた通り。
俺は「人生をより良く変える」事はできなかった。
唯一良かった事といえば今こうしてネタにできる事くらいだろうか。
今思い返してみると、セミナーが伝えたかったメッセージにはいずれも真新しいモノは無かった。色々な本を読み、社会にでれば普通に学べる範囲のことでしかない。
例えば、体験セミナーのメッセージであった(と思われる)
「既存の枠組みに捕われて自由な発想ができていないのではないか?」
というメッセージ。
この程度の事は、普段の生活の中で当たり前に学べる事だと思う。
わざわざ大枚はたいて行くモンではない。
ベーシックセミナーを通じて伝えたかった他のメッセージに関しても同様の事が言える。
ところで、実は、ベーシックセミナーを終えた参加者達は、希望により(といっても物凄い勧誘を受けるのだが)アドバンスセミナーを受け、その後実践セミナーを受けられる。
この実践セミナーというのは、「これまでセミナーで学んできた事を実社会に応用する」セミナーだそうである。
これって具体的に何を「実践」すると思います?
勧誘するんです。新たなカモを。ノルマまで決めて。
俺を勧誘した佐藤君や山田君は、この実践セミナーの途中だったと思われる。
こうやってセミナーを主催する会社は自己保存を行っているわけだ。
良く出来たものである。
そう考えると、先ほどの命題「セミナーが伝えたかったメッセージとは何か?」の答もおのずと分かってきます。
・赤黒ゲーム
相手を信じ自分の不利益を恐れず行動すべきだ → 友達なくす事を恐れず勧誘すべし。
・最後の15分
一瞬一瞬を大切に悔いなく生きよう → 時間を惜しまず勧誘すべし
・石とダイヤモンド
人間は無限の可能性を秘めている → 諦めることなく勧誘すべし
・告白
好意を抱いた人には思いきって自分の気持ちを伝えよう → ためらわず勧誘すべし
・4つの選択
初めて会う人でもその出会いは大切にしよう。 → 道行く人をキャッチで勧誘すべし
どうですか?曲解してますかね俺?
でも、「学んだことを実践する事」=「勧誘」なら、こう理解するしかないんだけど。
俺のように何度も勧誘されて根負けしてセミナーに行く人も多いとは思うが、それぞれの夢や目標を持っていてそれを叶えるためにセミナーに行く人だっているのだろう。
そんな人がいつのまにか日々勧誘に明け暮れるようになっていくわけだ。
総括2:ハマった人達の見分け方の巻
ベーシックセミナーを受ける前の参加者達は、どこにでも居る普通の若者たちだ。
その普通の若者が、ベーシックセミナーを受け魅力に取りつかれ、アドバンスセミナーを受けた頃から皆ある特徴が出てくる。
俺が気づいた彼らの特徴をいくつか挙げたいと思う。
・目がムダに輝いている。
とりとめの無い会話をしている時でも俺の人生サイコー!って感じの目になっています。ギラギラしています。
・怪しい呪文を唱えている。
「エンロール」「シェア」「コミットメント」「ポジティブ・フィードバック」「ストレッチング」「ギバー」「テイカー」等々。
怪しいセミナー用語の数々。
「エンロール」は「勧誘する」という意味。
他の用語の説明は割愛するが、周りの人がこう言う事を言い始めたら要注意。
・無礼である。
彼らは勧誘する時、いきなりセミナーの話ではなく、「将来の夢」や「今夢中になっている楽しいコト」などの話を聞き出そうとする。それは別に良いんだが、「そんなコトしてどうなるの?」とか「それで満足なの?」というように何のてらいもなく他人を全否定する。そして至上の価値として「セミナーに行くこと」を上げます。
・勝ち誇っている。
無礼な上に、勝ち誇っている。常に相手を見下し、諭すように話す。
俺 「やっぱり俺には必要ないよ。俺だって頑張ってるんだし」
山田君「でもやっぱりお前はわかってないよ」
俺 「何故そんな事言いきれる?」
山田君「やっぱお前はアマいよ」
俺 「じゃあどうすれば良いって言うんだよ?」
山田君「セミナーに行くこと。行かなきゃ分かったとは言えないよ」
俺 「俺には必要ないって言ってるだろ?俺は俺なりに夢も目標もあるしさ。それに向かって努力もしてるんだからさ。」
山田君「今のままじゃお前絶対失敗するよ」
俺 「だから何で言いきれるんだよ!」
山田君「セミナー行ってないからさ。」
俺はこんな事言われてる訳だから当然苛立ってるが、山田君は終始笑顔。ワカってないなぁコイツって感じの。
ベーシックセミナー行ったら行ったで、
山田君「アドバンスセミナー受けるんだろ?」
俺 「いやーもう十分だ。もういいわ。」
山田君「そこで満足してちゃダメだよ」
俺 「いやもう俺色々学んだし、これからまた目標に向かって頑張ろうかなって」
山田君「ベーシックだけじゃ不十分なんだよ。アドバンス行って初めて学んだと言えるんだ」
こんな感じ。俺がいくら「もう十分」といっても、アドバンス経験者同士でニヤニヤしながら「アドバンス受けてないんじゃなぁ」というばかり。
総括3:ハマり易い人の巻
ここまで読んでくれた方は気が付いたと思うが、セミナーの効き目には個人差がある。
どっぷり浸かって涙腺が切れてしまう人もいれば、俺のように途中で居眠りてしまう人もいる。
(もっと瞑想系のゲームなども紹介したかったが、俺はその類は殆ど寝ていたので覚えていないのです)
以下にあげるタイプの方は、ハマってしまう可能性があると言える。
・マジメすぎる人
セミナーは「就職の為」とか「夢を実現する手段」なんていう名目で誘ってくる。勧誘者も自信ありげに「セミナーで学んだから夢に近づいた」なんてことを平気で言う。「夢に近づいた」結果として勧誘に明け暮れているのだから、マジメに付き合う必要はない。
・コンプレックスの強すぎる人
「今の情けない自分」を引き受けられない人が多くハマっていったように思う。
「人と上手く話せない」「努力しても思うようにいかない」など、誰しもが持っているかもしれない悩みを、勧誘者は巧妙についてくる。人工的な方法でたかが三日四日で自分の性格のイヤな部分を変える方法なんてのは、たとえ変わったような気がしたとしても、元に戻るのも早い。その「変わった」気分を維持するタメに、セミナーに金払って何度も通う「中毒者」も実際いた。
・プライドの高すぎる人
勧誘者は人の虚栄心や功名心をあおるのがとても上手い。
おだてたり、妙な仲間意識をチラつかせ、勧誘する。
カモ 「なんで俺を誘ったの?」
勧誘者「俺は、お前なら理解してくれると思ってお前だけに話したんだよ。」
カモ 「そう?」
勧誘者「お前は、他の奴らと違って頭イイし、夢に向かって努力することの出来る人だろ?」
カモ 「まぁな・・・。」
勧誘者「そんなお前だから、絶対このチャンス生かせると思って」
そしてアドバンスセミナーを卒業してしまえば、周りは同じ価値観を持った仲間ばかりになり、自分の事を悪く言う人は誰もいなくなる。さぞかし居心地が良いことだろう。