日馬富士 引退の意向固める

日馬富士 引退の意向固める
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大相撲の横綱 日馬富士が平幕の貴ノ岩に暴行した問題の責任を取って現役を引退する意向を固めたことがわかりました。日馬富士は29日、日本相撲協会に引退を届け出たあと、記者会見を開くことにしています。
横綱 日馬富士は巡業中の先月25日、鳥取市内の飲食店で貴ノ岩を殴ってけがをさせたとして、鳥取県警察本部が傷害の疑いで調べています。

日本相撲協会は警察と連携しながら危機管理委員会で事実関係の調査を進めていて、結果がまとまり次第、日馬富士の処分を決める方針でしたが、関係者によりますと、日馬富士は処分を待たずに、問題の責任を取って現役を引退する意向を固めたということです。

日馬富士は29日、日本相撲協会に引退を届け出たあと記者会見を開くことにしています。

日馬富士はこれまでの危機管理委員会の調査や警察の捜査に対して、貴ノ岩の態度に腹を立て素手やカラオケのリモコンで殴ったことを認め、九州場所3日目の今月14日には「貴ノ岩のケガについては、貴乃花親方、貴乃花部屋後援会の関係者、相撲協会などに大変迷惑をかけたことを深くおわび申し上げます」と述べ、謝罪していました。

九州場所後に開かれた横綱審議委員会では、調査が継続していることを理由に委員会としての判断は示されませんでしたが、日馬富士に対し、「厳しい処分が必要」という意見が多くをしめていました。

なぜこの時期に引退

日馬富士が日本相撲協会の処分を待たずに、みずから引退を決断したのは、品格を問われる最高位の横綱としての責任のとり方を優先したためと見られます。

日馬富士は鳥取県警察本部の事情聴取や相撲協会の危機管理委員会の聞き取りに対し、一貫して暴行した事実を認めてきました。

27日開かれた横綱審議委員会では日馬富士に対して、「厳しい処分が必要」という意見が大半を占めました。今後、相撲協会の調査がまとまり、横綱審議委員会に報告が行われると「注意」や「引退勧告」が出る可能性があります。

横綱審議委員会が「引退勧告」を出したのは、67年の歴史の中で平成22年に酒に酔って知人の男性に暴行した朝青龍の1例しかなく、日馬富士はそうした判断が出る前にみずから身を引いた形です。

さらに、次の場所の番付を決める番付編成会議が29日、開かれることも決断のきっかけになったと見られます。番付編成会議は千秋楽の3日後の水曜日に開かれることになっていて、この会議のあとに引退を届け出た場合は、次の場所の番付にしこ名が残ってしまいます。

このため、今場所限りで引退する力士はこの会議に引退届を出すのが慣例で、師匠の伊勢ヶ濱親方は29日の番付編成会議で正式に相撲協会に日馬富士の引退を届け出る見通しです。

問題の経緯

横綱 日馬富士は、先月25日の夜、巡業先の鳥取市で平幕の貴ノ岩に暴行したことを認めています。

貴ノ岩の師匠の貴乃花親方が先月29日に鳥取県警察本部に被害届を提出し、警察は傷害の疑いで捜査を始めました。このとき、貴乃花親方から相撲協会への報告は行われず、相撲協会は今月2日に警察から連絡を受けたことでこの事案を把握しました。

相撲協会は、貴乃花親方や日馬富士の師匠の伊勢ヶ濱親方に事情を聞いたものの詳細な説明はなく、貴ノ岩のけがの具合は軽いと判断していたこともあって、当初は公表しませんでした。

しかし、その後、貴ノ岩が九州場所を休場し、2日目の今月13日に提出された診断書に「頭蓋底骨折、髄液漏れの疑い」と書かれていたことなどから、問題の発生から3週間近くたった今月14日に初めて事案を公表しました。

日馬富士は貴ノ岩のけがについて謝罪したうえで、けがを理由に九州場所を休場しました。

相撲協会の調査は外部理事や弁護士などで作る危機管理委員会が行い、日馬富士をはじめ、暴行現場に同席していた鶴竜や照ノ富士など力士や相撲関係者からの聞き取りを進めています。

一方で、被害者である貴ノ岩については、貴乃花親方が「警察の捜査を優先させたい」、「本人の体調が悪い」などとして相撲協会の調査を断っているため、聞き取りは行われていません。

こうした中、27日、開かれた横綱審議委員会では、協会の調査が続いていることから「引退勧告」や「注意」など委員会としての判断は示されませんでしたが、日馬富士に対し、「厳しい処分が必要」という意見が多くを占めていました。

日馬富士とは

日馬富士はモンゴル出身の33歳、平成13年初場所に安馬のしこ名で初土俵を踏みました。

軽量ながらスピードのある立ち合いと気迫あふれる取り口で番付を上げ、平成16年春場所で十両に昇進、その年の九州場所で新入幕を果たしました。

同じ頃に入門した白鵬や稀勢の里などとともに番付を上げ、平成20年の九州場所後に大関に昇進、それに合わせて、しこ名を日馬富士に改めました。

日馬富士というしこ名は安馬の時代から支えてきた神奈川県の神社の神職がつけたもので、相撲界に太陽のように日を照らす力士であってほしいという意味が込められています。

日馬富士はその年の夏場所に初優勝を果たすと、平成24年には名古屋場所から2場所連続で全勝優勝し70代横綱に昇進しました。横綱に昇進したあとは、ひじのケガなどに苦しみながらも優勝を重ねました。

ことしの秋場所は4横綱の中でただ1人休場せず、9回目の優勝を果たして横綱の責任を果たし、横綱審議委員会から「きつい思いをしながらも頑張りとおした気力には敬意を表さなければいけない」と評価されていました。

過去にもトラブルで引退

大相撲では過去にも暴力行為などのトラブルをきっかけに現役の横綱が引退する事態が起きています。

平成22年には68代横綱の朝青龍が、初場所中に都内の繁華街で酒に酔って知人の男性に暴行しけがをさせた問題が発覚しました。朝青龍は責任をとって引退し、そのあとに横綱審議委員会から初めて横綱に「引退勧告」が出されました。朝青龍はその後、傷害の疑いで書類送検されました。

また、昭和62年には60代横綱の双羽黒が師匠とトラブルになり、部屋を飛び出して居所がつかめなくなる事態になり、横綱在位わずか8場所、優勝を経験することなく廃業という形で角界を去っています。

日馬富士 引退の意向固める

大相撲の横綱 日馬富士が平幕の貴ノ岩に暴行した問題の責任を取って現役を引退する意向を固めたことがわかりました。日馬富士は29日、日本相撲協会に引退を届け出たあと、記者会見を開くことにしています。

横綱 日馬富士は巡業中の先月25日、鳥取市内の飲食店で貴ノ岩を殴ってけがをさせたとして、鳥取県警察本部が傷害の疑いで調べています。

日本相撲協会は警察と連携しながら危機管理委員会で事実関係の調査を進めていて、結果がまとまり次第、日馬富士の処分を決める方針でしたが、関係者によりますと、日馬富士は処分を待たずに、問題の責任を取って現役を引退する意向を固めたということです。

日馬富士は29日、日本相撲協会に引退を届け出たあと記者会見を開くことにしています。

日馬富士はこれまでの危機管理委員会の調査や警察の捜査に対して、貴ノ岩の態度に腹を立て素手やカラオケのリモコンで殴ったことを認め、九州場所3日目の今月14日には「貴ノ岩のケガについては、貴乃花親方、貴乃花部屋後援会の関係者、相撲協会などに大変迷惑をかけたことを深くおわび申し上げます」と述べ、謝罪していました。

九州場所後に開かれた横綱審議委員会では、調査が継続していることを理由に委員会としての判断は示されませんでしたが、日馬富士に対し、「厳しい処分が必要」という意見が多くをしめていました。

なぜこの時期に引退

日馬富士が日本相撲協会の処分を待たずに、みずから引退を決断したのは、品格を問われる最高位の横綱としての責任のとり方を優先したためと見られます。

日馬富士は鳥取県警察本部の事情聴取や相撲協会の危機管理委員会の聞き取りに対し、一貫して暴行した事実を認めてきました。

27日開かれた横綱審議委員会では日馬富士に対して、「厳しい処分が必要」という意見が大半を占めました。今後、相撲協会の調査がまとまり、横綱審議委員会に報告が行われると「注意」や「引退勧告」が出る可能性があります。

横綱審議委員会が「引退勧告」を出したのは、67年の歴史の中で平成22年に酒に酔って知人の男性に暴行した朝青龍の1例しかなく、日馬富士はそうした判断が出る前にみずから身を引いた形です。

さらに、次の場所の番付を決める番付編成会議が29日、開かれることも決断のきっかけになったと見られます。番付編成会議は千秋楽の3日後の水曜日に開かれることになっていて、この会議のあとに引退を届け出た場合は、次の場所の番付にしこ名が残ってしまいます。

このため、今場所限りで引退する力士はこの会議に引退届を出すのが慣例で、師匠の伊勢ヶ濱親方は29日の番付編成会議で正式に相撲協会に日馬富士の引退を届け出る見通しです。

問題の経緯

横綱 日馬富士は、先月25日の夜、巡業先の鳥取市で平幕の貴ノ岩に暴行したことを認めています。

貴ノ岩の師匠の貴乃花親方が先月29日に鳥取県警察本部に被害届を提出し、警察は傷害の疑いで捜査を始めました。このとき、貴乃花親方から相撲協会への報告は行われず、相撲協会は今月2日に警察から連絡を受けたことでこの事案を把握しました。

相撲協会は、貴乃花親方や日馬富士の師匠の伊勢ヶ濱親方に事情を聞いたものの詳細な説明はなく、貴ノ岩のけがの具合は軽いと判断していたこともあって、当初は公表しませんでした。

しかし、その後、貴ノ岩が九州場所を休場し、2日目の今月13日に提出された診断書に「頭蓋底骨折、髄液漏れの疑い」と書かれていたことなどから、問題の発生から3週間近くたった今月14日に初めて事案を公表しました。

日馬富士は貴ノ岩のけがについて謝罪したうえで、けがを理由に九州場所を休場しました。

相撲協会の調査は外部理事や弁護士などで作る危機管理委員会が行い、日馬富士をはじめ、暴行現場に同席していた鶴竜や照ノ富士など力士や相撲関係者からの聞き取りを進めています。

一方で、被害者である貴ノ岩については、貴乃花親方が「警察の捜査を優先させたい」、「本人の体調が悪い」などとして相撲協会の調査を断っているため、聞き取りは行われていません。

こうした中、27日、開かれた横綱審議委員会では、協会の調査が続いていることから「引退勧告」や「注意」など委員会としての判断は示されませんでしたが、日馬富士に対し、「厳しい処分が必要」という意見が多くを占めていました。

日馬富士とは

日馬富士はモンゴル出身の33歳、平成13年初場所に安馬のしこ名で初土俵を踏みました。

軽量ながらスピードのある立ち合いと気迫あふれる取り口で番付を上げ、平成16年春場所で十両に昇進、その年の九州場所で新入幕を果たしました。

同じ頃に入門した白鵬や稀勢の里などとともに番付を上げ、平成20年の九州場所後に大関に昇進、それに合わせて、しこ名を日馬富士に改めました。

日馬富士というしこ名は安馬の時代から支えてきた神奈川県の神社の神職がつけたもので、相撲界に太陽のように日を照らす力士であってほしいという意味が込められています。

日馬富士はその年の夏場所に初優勝を果たすと、平成24年には名古屋場所から2場所連続で全勝優勝し70代横綱に昇進しました。横綱に昇進したあとは、ひじのケガなどに苦しみながらも優勝を重ねました。

ことしの秋場所は4横綱の中でただ1人休場せず、9回目の優勝を果たして横綱の責任を果たし、横綱審議委員会から「きつい思いをしながらも頑張りとおした気力には敬意を表さなければいけない」と評価されていました。

過去にもトラブルで引退

大相撲では過去にも暴力行為などのトラブルをきっかけに現役の横綱が引退する事態が起きています。

平成22年には68代横綱の朝青龍が、初場所中に都内の繁華街で酒に酔って知人の男性に暴行しけがをさせた問題が発覚しました。朝青龍は責任をとって引退し、そのあとに横綱審議委員会から初めて横綱に「引退勧告」が出されました。朝青龍はその後、傷害の疑いで書類送検されました。

また、昭和62年には60代横綱の双羽黒が師匠とトラブルになり、部屋を飛び出して居所がつかめなくなる事態になり、横綱在位わずか8場所、優勝を経験することなく廃業という形で角界を去っています。