image credit:P. R. Grant
科学者たちは今、野生においてまったく新しい種が誕生する様子をリアルタイムで観察している。なんと、それにはわずか2世代しかかかっていないそうだ。
ガラパゴス諸島ダプネ・マヨール島にはガラパゴスフィンチの固有種が3種存在するが、そのうちの1種が、100キロメートル以上離れたエスパニョラ島からやってきたダーウィンフィンチ類と異種交配し、まったく新しい種が誕生したという。
発見者はそれを「ビッグバード」という愛称で呼んでいる。
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ダーウィンに進化論の着想を与えた鳥「ダーウィンフィンチ」
「ダーウィンフィンチ」という鳥の名は、進化論で知られているあの有名な自然科学者、チャールズ・ダーウィンの名にちなんでいる。
ビーグル号の航海の途中にガラパゴス諸島に立ち寄ったチャールズ・ダーウィンは、彼らの姿を見て自然選択による進化論 ー つまり、突然変異によって環境により適応し、それが後の世代に受け継がれるという理論を着想を与えたとしてこの名がつけられたのだ。
image credit:Charles Darwin
異種交配によりたった2世代で誕生した新種「ビッグバード」
アメリカ・プリンストン大学の生物学者ピーターとローズマリー・グラント夫妻は、40年に渡りダプネ・マヨール島でガラパゴスフィンチの調査を続けている。
今から36年前の1981年、グラント夫妻と共に調査を行っていた大学院生が在来種ではないダーウィンフィンチ類のオオサボテンフィンチ(Geospiza conirostris)のオスがいることに気が付いた。
オオサボテンフィンチ
image credit:P. R. Grant
オオサボテンフィンチはガラパゴス諸島エスパニョラ島の固有種である。この島に生息する固有種3種とは違う鳴き方をするために目立っていたのだ。
100キロメートルも離れているエスパニョラ島からどうやってやってきたのかはわからない。だがもともと長距離移動をしないオオサボテンフィンチはここに定住することとなった。
そしてダプネ・マヨール島の固有種であるガラパゴスフィンチ(Geospiza fortis)のメスと交配したのである。
ダプネ・マヨール島の固有種であるガラパゴスフィンチ
image credit:P. R. Grant
異なる種同士の交配で子供が生まれるケースはそれほど珍しくはない。有名な事例としては、雄ロバと雌ウマの間に生まれるラバがいる。また雄ライオンと雌トラを掛け合わせたライガーもよく知られている。
関連記事:種の違いを越えて。20のハイブリッドアニマル : カラパイア
その様子をずっと観測していたグラント夫妻らは、わずか2世代で新たなる種が誕生する瞬間を目の当たりにする。
その新しい血統が「ビッグバード」である。
新種のダーウィンフィンチ類「ビッグバード」
image credit:P. R. Grant
絶滅の危機を乗り越えたビッグバード
ビッグバードはオオサボテンフィンチとは違う鳴き方をし、クチバシの大きさや形状も異なる。これらはフィンチが交配相手を惹きつけるために用いるものだ。ゆえに繁殖の点において、ビッグバードは完全に孤立しており、生き残るためには同種と交配せねばならなかった。
それは厳しい戦いであった。2002~2003年にかけてダプネ・マヨール島に干ばつが発生。その当時ビッグバードは4世代目であったのだが、2羽を残してすべて死んでしまった。
それでも彼らは生き残った。
ようやく雨が降った。兄と妹が交配して26羽のヒナが生まれた。うち9羽が生き残り、オスのヒナが母親、メスのヒナが父親、残りはきょうだい同士で交配した。かなり同系交配的な血統である。
ビッグバードは在来種よりも大きかったので、それまで食べられることのなかった餌を口にして生き延びることができたのだ。
グラント夫妻が訪れた中で最も最近となる2012年の時点で、23羽の個体と、8組のつがいが確認されている。
この成功は、ダーウィンフィンチの異種交配がこれまで幾度も発生したであろうことを意味している。こうして新種が誕生し、一部は絶滅し、一部は今日我々が知るような種として生き残ったのだ。
via:sciencedaily / phys / sciencenewslineなど/ translated by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
閉鎖された環境で違う種同士で交配して進化するということは将来、元は地球から連れてきた動植物達も火星のテラドームなどのコロニー内で長い目で見ると地球とは違う進化を辿るということですな。
2. 匿名処理班
人類の起源も近親交配で生き残ったのかなぁ
などと考えてみる
3. 匿名処理班
ラバやライガーみたいな一代雑種とは違うようだね、どちらかというとワンコやニャンコの交配みたいなものかな?
4. 匿名処理班
これって全く新しい種類と言えるのか?
ホモ・サピエンスで例えれば黒人と白人程度の違いじゃないの?
5. 匿名処理班
兄妹って…まさにアダムとイブになったのか…
こうして異種交配で生まれて何千年も経って普通に繁殖してる種ってわりかしいるんだろうなあ
6. 匿名処理班
※100キロメートルも離れているエスパニョラ島からどうやってやってきたのかはわからない。
持ち込んだ奴がいるんじゃ?
種の汚染なのか新種の鳥が誕生なのか断言できる情報は少ないが
7. 匿名処理班
新種というより雑種だよねこれ。
8.
9. 匿名処理班
とんでもないことですよ、これは
10. 匿名処理班
※4
本文中に
>繁殖の点において、ビッグバードは完全に孤立しており
とありますので
元になった種と交配しない点で別種ですね
遺伝的には近いので交配は可能でしょうが自然状態で交配をしなければ新種
観察期間が短いので明確ではありませんが
11. 匿名処理班
※7
その雑種が一つの種として定着したってことそ
12. 匿名処理班
近親交配のどうこうはさておき、生き残ったのがたまたま雌雄で番になれたけど、これが同性同士なら、そのまま絶滅だったと言うこと?
13. 匿名処理班
人が手を加えずとも生き抜こうとする
14. 匿名処理班
きょうだい同士じゃなくて在来種のフィンチと交配したのはいないのかな?
ご先祖が生き残るためにしたのと同じように。
15. 匿名処理班
種の定義は、おそらく最も一般的には
「相互に交配可能で、その子孫も生殖能力を有するもの」なんだが、
その定義からいうと新種と言っていいのか、これ?
16. 匿名処理班
人間もガラパゴス諸島に住んだら早く進化するのだろう(全然わかっていない)
17. 匿名処理班
手塚治虫の『火の鳥』を地で行ってるな
生き延びるものは、どんな境遇でも生き延びるものだ
18. 匿名処理班
種として独立しているのとは違うような。。。
19. 匿名処理班
画像を比べてみてもよくわからないな
20. 匿名処理班
ライガーやラバの繁殖に成功すれば新種ってことかいな
遺伝子のくっつき方でごく稀に子供を作れる個体がいたらしいが
それも死んでたけどね
21. 匿名処理班
雑種と新種の違いとは?
22. 匿名処理班
白い鳩が外敵に襲われやすい為に、結果的に黒い鳩が増えていくのを生物淘汰・進化と呼ぶのであって、それまで交雑していなかった種が掛け合わさった程度でいちいち報告せんでええわーって思うんだけどw
京都大学の「暗黒蝿」の様に、千数百世代に渡る完全な暗室での累代飼育を行っても、蝿は視力を失わなかった・・・という様な報告には、問答無用の説得力がある。
暗黒蝿に比べたら、ずいぶんとお気楽な研究報告じゃね?
30年以上も地域個体群の研究するのは立派だけど、結果的に僅かな交雑報告しかしてないのかこの夫婦?それを進化と呼ぶにはあまりにお粗末じゃね?
23. 匿名処理班
※15
※18
記事を読んでくだい
元の種からは繁殖面で孤立してると書かれています
繁殖で孤立していれば、元の種とは別の遺伝子プールですから新種です
観測期間が短いので将来的にはわかりませんが、現時点では新種と言えます
24. 匿名処理班
凄い、嘴の上下がそれぞれの遺伝か。
どういう優性過程が働いてるのか不思議だ。
25. 匿名処理班
フィンチってスズメだよね
ガラパゴスでは観光客の捨てたごみをフィンチがあさってたりする
26. 匿名処理班
見落として居たか、捏造だと思う。
27. 匿名処理班
見てないとこで在来種と交雑してるかもしれないんじゃないのか?
一代目ができたんだから、より近い二台目以降の交雑種のほうが可能性は高いはず。
28. 匿名処理班
※2
※5
どうだろうね。
競馬馬でも近親交配は嫌う話があるし
人は哺乳類の中でも最弱の部類にある。
知恵があるから何となく生きてる訳で自然界では生き残れるかどうかは難しいと思う。
29. 匿名処理班
※6
あの二本足で歩き回り飛ばない生き物達は、
デカい魚の背中にのって現れたり居なくなったりしているな。
どうやらあのデカい魚は肉食では無いらしい。
ならば私も、あれに乗って何処かに行けるのでは無いだろうか。
そこにはきっと、見た事も無い可愛い雌が居るに違いない。
(とある鳥の手記より)
30. 匿名処理班
※12
そういう事ですね。
恐らく、これまでこんな事が幾度も起こっていて、
そうしたピンチを乗り切ったフィンチ達が
今の多種多様なバリエーションの先祖になっていったのでしょう。
31. 匿名処理班
※22
まあこの記事だけ見た意見だとしたらお粗末だよね
グラント夫妻、で調べたらもう少しわかると思うよ、超有名人なんで
32. 匿名処理班
台風や強風の際に、現地では生息してない生物が運ばれてくることがある、とバードウォッチャーから聞いたことがある。蝶の事例もあるけど、あの強風の中で無事なのはイメージできない。
33. 匿名処理班
※27
ホモ・サピエンスは厄介な生き物だぞー
なんせ50キロメートルを3時間以内で移動するからな
それだけ追い回されて無事でいられる生き物は少ないぞ
34.
35.
36.
37.
38.