首相 森友学園問題で関与なし 衆院予算委で強調

首相 森友学園問題で関与なし 衆院予算委で強調
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安倍総理大臣は衆議院予算委員会で「森友学園」の問題をめぐり、国有地の売却などにみずからや妻の昭恵氏は関与していないと重ねて強調しました。一方、財務省は森友学園側との打ち合わせを録音したとされる音声記録の内容を認めたうえで、口裏合わせなどは行っていないと説明しました。
この中で、衆議院の会派「無所属の会」の篠原孝氏は、「加計学園」をめぐる問題について、「役所がそんたくし、『自動そんたく機』ばかりだ。自民党は大横綱だから、もっと品格を持って正々堂々とやってもらいたい」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「加計理事長は長年の友人だが、私の地位を利用して何かしようとしたことは1度もない。『李下に冠を正さず』で、私自身も反省すべき点は反省しなければならないと思っている」と述べました。

共産党の宮本岳志氏は「『森友学園』の前の理事長は財務省に乗り込み、安倍総理大臣夫人の昭恵氏の名前をちらつかせて詰め寄った。安倍総理大臣が丁寧な説明をしても国民が納得しないので、昭恵氏がみずからの口で直接語る以外にない」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「当時の財務省の理財局長も近畿財務局長も、私の妻が小学校の名誉校長だったことは知らなかったと述べている。認可あるいは国有地の払い下げに、私や妻、事務所も含めて一切関わっていないことは明確にさせていただきたい」と述べました。

一方、財務省の太田理財局長は国有地売却をめぐる音声記録に、価格のやり取りがあることから、「価格の提示はなかった」などとする従来の財務省の国会答弁は誤りだと指摘され、「『金額』のやり取りはあった。一切やり取りがなかったかのように受け止められ、誤解を招いたとすれば、おわびする。『価格』については『予定価格』ということで答弁した」と述べました。

また、太田局長は一部で報道された森友学園側との打ち合わせを録音したとされる別の音声記録を基に「口裏合わせだ」と指摘されたのに対し、音声記録は去年の3月下旬から4月ごろのものだと思われると認めたうえで、「口裏合わせではない」と説明しました。

日本維新の会の下地国会議員団政務調査会長は「教育無償化を憲法に位置づけることが大事だ。安倍総理大臣はこれからの任期の中で、憲法改正をやると明確にしたほうがいい」と求めました。

これに対し、安倍総理大臣は「ここまで来ると私が何か言うことで、かえって妨げになる危険性があるので、まずは国会で議論してほしい。できるだけ多くの議員に賛成してもらって発議し、できるだけ多くの国民の支持を得て憲法改正を行いたい」と述べました。

また、安倍総理大臣は女性皇族の結婚などによる皇族数の減少への対策について、「皇族方のご年齢からしても先延ばしできない重要な課題だ。他方で、その方策についてはいろいろな考え方・意見があり、国民のコンセンサスを得るためには十分な分析・検討と慎重な手続きが必要だ」と述べました。

森友学園 値引き理由は解明されず

会計検査院が先週、「森友学園」への国有地売却をめぐり、「値引き額の算定方法には十分な根拠が確認できない」などとする検査結果をまとめたことで、これまで「適切な処分だった」としてきた政府の主張は崩れた形です。

こうした中、2日間にわたって行われた衆議院予算委員会では、近畿財務局が根拠の確認できないような異例の値引きをした理由がどこまで解明されるかが注目されました。

しかし、政府側の答弁は検査院の指摘を踏まえて、国有地を処分する手続きをどう見直していくかという「今後の在り方」論に終始し、森友学園をめぐって何が行われていたのか核心部分はほとんど触れられませんでした。

今回の質疑では、これまでの政府の説明が妥当だったのかについても議論されました。特に学園側との間で価格交渉はなかったとした財務省の佐川前理財局長の答弁の是非が問われました。

この点については、これまでの国会議論では一切ないと受け止められていた金額のやり取りが実際には行われていたことを財務省が認めました。

ところが、正式な売却予定価格は提示していないと理屈づけし、問題のある価格交渉にはあたらないという新たな主張を展開しました。

また、大阪の関西テレビが報道した去年3月下旬から4月上旬にかけて、近畿財務局の担当者が地中深くのゴミが実際には確認できないのに存在するよう工事業者に口裏合わせを求めたような内容の音声記録について、財務省は実際の協議を録音したものと認めました。

しかし、この内容についても言葉の使い方が適切ではなかったと釈明しつつ、口裏合わせは否定し、追及する野党側との間でかみ合わない質疑が続きました。そして、事前の金額のやり取りが値引き額の算定に影響したのかどうかなど重要な点については政府側からほとんど言及がなく、全体として深まらない議論となりました。

売買契約前に具体的な価格交渉の疑いも

森友学園に国有地が8億円余り値引きされた問題では、近畿財務局が学園との協議の記録を破棄したため、政府は詳細がわからないとしてきましたが、関係者への取材や学園側が録音していた音声記録などから、売買契約が結ばれる前に具体的な価格交渉が行われていた疑いが浮かび上がっています。

森友学園は国有地の地中から新たなゴミが見つかったことをきっかけに去年3月24日、近畿財務局に対して、初めて土地の買い取りを打診しましたが、この日の協議で金額をめぐるやり取りが行われていたことが大阪地検特捜部の調べなどで明らかになっています。

それによりますと、この協議で財務局側が学園側に対し、「いくらまでなら支払えるのか」などと、購入できる金額の上限を尋ね、学園側はおよそ1億6000万円と答えたということです。

一方、財務局の担当者も国がおよそ1億3200万円を負担して土壌改良工事が行われることから、これを下回る価格では売れないなどと説明したということです。

この協議の場にはその後、ゴミの撤去費用の見積もりを直接担当した大阪航空局の職員も同席していたということです。

こうした経緯について、協議に加わった関係者は大阪地検特捜部の事情聴取に対し詳しく説明しているということです。

さらに事前の価格交渉を裏付けるような音声記録の存在も明らかになりました。最終的な売却価格が提示される直前の去年5月中旬ごろに行われた籠池前理事長夫婦と近畿財務局の担当者との協議を録音したとされるもので、民進党が公表しました。

音声記録では籠池前理事長が「ゼロ円に近い形で払い下げてほしい、本当はね。ゼロ円に極めて近い形」と希望を伝えています。

これに対し、財務局の担当者は「理事長がおっしゃるゼロに近い金額まで私はできるだけ努力する作業をやっています。だけど、その1億3000万を下回る金額にはなりません」と発言しています。

また、財務局の担当者が「最初に2割くらいを払って、マックス10年であとの8割を返すやり方もある」、「劇的に月額の負担料が安くなる」などと一括払いが原則の国有地の払い下げで、異例の分割払いを提案していたことが記録されています。

近畿財務局が去年6月に設定した売却価格は1億3400万円で、3月の協議で双方が認識した折り合える範囲に収まっていて、10年の分割払いも契約に盛り込まれました。

これまでの財務省の説明は

森友学園との協議について財務省の佐川前理財局長はことし3月、衆議院財務金融委員会で「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいという希望があったこともない」と説明するなど、ことし7月に国税庁の長官に就任するまでの間、国会で事前の価格交渉を否定し、売却価格が適正だったとする答弁を繰り返してきました。

こうした説明は国民の共有財産である国有地の処分では、特定の購入希望者の意向に沿って売却価格を決めたとの疑念を持たれないよう、事前に具体的な金額を出した価格交渉は行わない原則を踏まえたものでした。

しかし、森友学園と財務局との協議を録音した音声記録の存在が明らかになったことや、会計検査院の検査結果を受け、27日と28日の衆議院予算委員会では与野党の議員から佐川前理財局長のこれまでの答弁が虚偽だったのではないかとの質問が相次ぎました。

これに対し、佐川前理事長の後任の財務省の太田理財局長は学園側との間で、事前に金額をめぐるやり取りがあったことを一転して明らかにし、音声記録も実際の録音だと認めました。

しかし、財務局の職員が「1億3000万を下回る金額にはなりません」と具体的な金額に言及していたことについて、太田理財局長は国がほぼ同じ額を負担する土壌改良工事が行われていたことから「それを下回る形での売却は考えられないという主旨の話をした」と説明し、問題ないとの考えを示しました。

そして、佐川前理財局長が答弁の中で「提示したことがない」とした「価格」については、あくまで最終的な「売却予定価格」のことだと主張しました。

野党の議員は「先方からいくらで買いたいという希望があったこともない」とした佐川前理財局長の答弁について、「籠池前理事長が『ゼロ円に近い形』と希望を伝えていたことは音声記録から明らかだ」とただしました。

これに対して、太田理財局長は売却予定価格を前提にしていないとして、学園との間で行われていた具体的な「金額」をあげてのやり取りは「価格交渉」にあたらないとする主張を展開しました。

そのうえで、「金額に関する一切のやり取りがなかったかのように受け取られたのであればおわびします」と述べました。

こうした太田理財局長の説明に野党の議員は納得せず、「売却を前提にしたやり取りにおいて『価格』と『金額』は同じ意味で詭弁(きべん)だ」と強い口調で批判しました。

首相 森友学園問題で関与なし 衆院予算委で強調

安倍総理大臣は衆議院予算委員会で「森友学園」の問題をめぐり、国有地の売却などにみずからや妻の昭恵氏は関与していないと重ねて強調しました。一方、財務省は森友学園側との打ち合わせを録音したとされる音声記録の内容を認めたうえで、口裏合わせなどは行っていないと説明しました。

この中で、衆議院の会派「無所属の会」の篠原孝氏は、「加計学園」をめぐる問題について、「役所がそんたくし、『自動そんたく機』ばかりだ。自民党は大横綱だから、もっと品格を持って正々堂々とやってもらいたい」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「加計理事長は長年の友人だが、私の地位を利用して何かしようとしたことは1度もない。『李下に冠を正さず』で、私自身も反省すべき点は反省しなければならないと思っている」と述べました。

共産党の宮本岳志氏は「『森友学園』の前の理事長は財務省に乗り込み、安倍総理大臣夫人の昭恵氏の名前をちらつかせて詰め寄った。安倍総理大臣が丁寧な説明をしても国民が納得しないので、昭恵氏がみずからの口で直接語る以外にない」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「当時の財務省の理財局長も近畿財務局長も、私の妻が小学校の名誉校長だったことは知らなかったと述べている。認可あるいは国有地の払い下げに、私や妻、事務所も含めて一切関わっていないことは明確にさせていただきたい」と述べました。

一方、財務省の太田理財局長は国有地売却をめぐる音声記録に、価格のやり取りがあることから、「価格の提示はなかった」などとする従来の財務省の国会答弁は誤りだと指摘され、「『金額』のやり取りはあった。一切やり取りがなかったかのように受け止められ、誤解を招いたとすれば、おわびする。『価格』については『予定価格』ということで答弁した」と述べました。

また、太田局長は一部で報道された森友学園側との打ち合わせを録音したとされる別の音声記録を基に「口裏合わせだ」と指摘されたのに対し、音声記録は去年の3月下旬から4月ごろのものだと思われると認めたうえで、「口裏合わせではない」と説明しました。

日本維新の会の下地国会議員団政務調査会長は「教育無償化を憲法に位置づけることが大事だ。安倍総理大臣はこれからの任期の中で、憲法改正をやると明確にしたほうがいい」と求めました。

これに対し、安倍総理大臣は「ここまで来ると私が何か言うことで、かえって妨げになる危険性があるので、まずは国会で議論してほしい。できるだけ多くの議員に賛成してもらって発議し、できるだけ多くの国民の支持を得て憲法改正を行いたい」と述べました。

また、安倍総理大臣は女性皇族の結婚などによる皇族数の減少への対策について、「皇族方のご年齢からしても先延ばしできない重要な課題だ。他方で、その方策についてはいろいろな考え方・意見があり、国民のコンセンサスを得るためには十分な分析・検討と慎重な手続きが必要だ」と述べました。

森友学園 値引き理由は解明されず

会計検査院が先週、「森友学園」への国有地売却をめぐり、「値引き額の算定方法には十分な根拠が確認できない」などとする検査結果をまとめたことで、これまで「適切な処分だった」としてきた政府の主張は崩れた形です。

こうした中、2日間にわたって行われた衆議院予算委員会では、近畿財務局が根拠の確認できないような異例の値引きをした理由がどこまで解明されるかが注目されました。

しかし、政府側の答弁は検査院の指摘を踏まえて、国有地を処分する手続きをどう見直していくかという「今後の在り方」論に終始し、森友学園をめぐって何が行われていたのか核心部分はほとんど触れられませんでした。

今回の質疑では、これまでの政府の説明が妥当だったのかについても議論されました。特に学園側との間で価格交渉はなかったとした財務省の佐川前理財局長の答弁の是非が問われました。

この点については、これまでの国会議論では一切ないと受け止められていた金額のやり取りが実際には行われていたことを財務省が認めました。

ところが、正式な売却予定価格は提示していないと理屈づけし、問題のある価格交渉にはあたらないという新たな主張を展開しました。

また、大阪の関西テレビが報道した去年3月下旬から4月上旬にかけて、近畿財務局の担当者が地中深くのゴミが実際には確認できないのに存在するよう工事業者に口裏合わせを求めたような内容の音声記録について、財務省は実際の協議を録音したものと認めました。

しかし、この内容についても言葉の使い方が適切ではなかったと釈明しつつ、口裏合わせは否定し、追及する野党側との間でかみ合わない質疑が続きました。そして、事前の金額のやり取りが値引き額の算定に影響したのかどうかなど重要な点については政府側からほとんど言及がなく、全体として深まらない議論となりました。

売買契約前に具体的な価格交渉の疑いも

森友学園に国有地が8億円余り値引きされた問題では、近畿財務局が学園との協議の記録を破棄したため、政府は詳細がわからないとしてきましたが、関係者への取材や学園側が録音していた音声記録などから、売買契約が結ばれる前に具体的な価格交渉が行われていた疑いが浮かび上がっています。

森友学園は国有地の地中から新たなゴミが見つかったことをきっかけに去年3月24日、近畿財務局に対して、初めて土地の買い取りを打診しましたが、この日の協議で金額をめぐるやり取りが行われていたことが大阪地検特捜部の調べなどで明らかになっています。

それによりますと、この協議で財務局側が学園側に対し、「いくらまでなら支払えるのか」などと、購入できる金額の上限を尋ね、学園側はおよそ1億6000万円と答えたということです。

一方、財務局の担当者も国がおよそ1億3200万円を負担して土壌改良工事が行われることから、これを下回る価格では売れないなどと説明したということです。

この協議の場にはその後、ゴミの撤去費用の見積もりを直接担当した大阪航空局の職員も同席していたということです。

こうした経緯について、協議に加わった関係者は大阪地検特捜部の事情聴取に対し詳しく説明しているということです。

さらに事前の価格交渉を裏付けるような音声記録の存在も明らかになりました。最終的な売却価格が提示される直前の去年5月中旬ごろに行われた籠池前理事長夫婦と近畿財務局の担当者との協議を録音したとされるもので、民進党が公表しました。

音声記録では籠池前理事長が「ゼロ円に近い形で払い下げてほしい、本当はね。ゼロ円に極めて近い形」と希望を伝えています。

これに対し、財務局の担当者は「理事長がおっしゃるゼロに近い金額まで私はできるだけ努力する作業をやっています。だけど、その1億3000万を下回る金額にはなりません」と発言しています。

また、財務局の担当者が「最初に2割くらいを払って、マックス10年であとの8割を返すやり方もある」、「劇的に月額の負担料が安くなる」などと一括払いが原則の国有地の払い下げで、異例の分割払いを提案していたことが記録されています。

近畿財務局が去年6月に設定した売却価格は1億3400万円で、3月の協議で双方が認識した折り合える範囲に収まっていて、10年の分割払いも契約に盛り込まれました。

これまでの財務省の説明は

森友学園との協議について財務省の佐川前理財局長はことし3月、衆議院財務金融委員会で「価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいという希望があったこともない」と説明するなど、ことし7月に国税庁の長官に就任するまでの間、国会で事前の価格交渉を否定し、売却価格が適正だったとする答弁を繰り返してきました。

こうした説明は国民の共有財産である国有地の処分では、特定の購入希望者の意向に沿って売却価格を決めたとの疑念を持たれないよう、事前に具体的な金額を出した価格交渉は行わない原則を踏まえたものでした。

しかし、森友学園と財務局との協議を録音した音声記録の存在が明らかになったことや、会計検査院の検査結果を受け、27日と28日の衆議院予算委員会では与野党の議員から佐川前理財局長のこれまでの答弁が虚偽だったのではないかとの質問が相次ぎました。

これに対し、佐川前理事長の後任の財務省の太田理財局長は学園側との間で、事前に金額をめぐるやり取りがあったことを一転して明らかにし、音声記録も実際の録音だと認めました。

しかし、財務局の職員が「1億3000万を下回る金額にはなりません」と具体的な金額に言及していたことについて、太田理財局長は国がほぼ同じ額を負担する土壌改良工事が行われていたことから「それを下回る形での売却は考えられないという主旨の話をした」と説明し、問題ないとの考えを示しました。

そして、佐川前理財局長が答弁の中で「提示したことがない」とした「価格」については、あくまで最終的な「売却予定価格」のことだと主張しました。

野党の議員は「先方からいくらで買いたいという希望があったこともない」とした佐川前理財局長の答弁について、「籠池前理事長が『ゼロ円に近い形』と希望を伝えていたことは音声記録から明らかだ」とただしました。

これに対して、太田理財局長は売却予定価格を前提にしていないとして、学園との間で行われていた具体的な「金額」をあげてのやり取りは「価格交渉」にあたらないとする主張を展開しました。

そのうえで、「金額に関する一切のやり取りがなかったかのように受け取られたのであればおわびします」と述べました。

こうした太田理財局長の説明に野党の議員は納得せず、「売却を前提にしたやり取りにおいて『価格』と『金額』は同じ意味で詭弁(きべん)だ」と強い口調で批判しました。