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  1. 昨日、IDの大学院時代の先輩と久しぶりにじっくり話す。

    そのトピックは「共創って何の価値があるの?」

    これは、確かにとても面白い問いだ。話していて考えたことを書いてみようと思う。

    共創というのは、創るために、複数で創るという意味なので、手段。

    逆にいうと目的によって答えが変わる。

    前例のないものを形にするイノベーション型プロジェクトと、既存のものを最適化していく改善型のプロジェクトによって意味合いが違う。これらをいわゆる0-1, 1-10, 10-100, 100-∞というフレームで考えてみた。

    1. 0-1フェーズ:自信を作る共創
    まず、イノベーションプロジェクトがうまくいくのは、狂信的に内発的に湧き出てくるビジョンを実現したい人がいるというのが絶対条件になる(と言い切ってしまう)。
    前職のソニーにいた時、過去のイノベーションの事例を追った資料があってそこにも、狂信的な開発者の存在が不可欠だったことがわかる。

    ここに必要なのは、共創ではなく、独創である
    世の中に理解されないことを考えているのはとても孤独なもの。そして、そこにあるイメージ、言語になっていない体感知や、視覚情報レベルのビジョンというのはとても脆いもの。このプロセスで必要なのは、自分のビジョンを披露し、それに対して共感してくれたり、肯定してくれることで確信を持っていくこと。そういう意味では、共創に意味があるのは、自分のビジョンに深く共感してくれる仲間を増やし、価値があるしいつか時代がくると自信を持って前に進める自信をつけてくれるための共創だと思う。リーンスタートアップの方法論も、初期のユーザーとの出会いを作り出すことで、妄想を自信にし、確信に変えていくことが重要。これが0−1プロセスにおける共創の価値。

    2. 1-10フェーズ:共感者を増やす共創
    次の段階が、それを世に送り出すことに理解を得るための共創。これは、社内政治的な意味合いが強い。ビジョナリーな人が特に大きな組織にいる場合、組織の文脈は世の中の文脈から時間の遅れがあることが多い。ビジョナリーな人はだいたい組織では辺境にいて外と接しているため、世の中の文脈について行きやすい。外の変化がわかるが故に、逆に組織内の文脈に違和感を感じ、結果的に孤立していくパターンが多い。

    このフェーズにおいて大事なのは、組織内でその文脈が当たり前だと思える文脈を作り出すこと。日本の組織は空気で動いたりするので、一度文脈を作ってしまうとあとは一気に物事が進めやすくなる。この共創は、社内の文脈に社外のビジョナリーな人の文脈を混ぜ合わせて創造する。外部者がいるとき、社内の文脈を堂々と押し出すのはやりにくいし、社内の人とも結果的に本音を話しやすくなるという効果があるため、参加した人においては新しい文脈が埋め込まれ、世の中の文脈とのギャップがある程度の集団レベルで埋まる。そのくらいの仲間がいると、社内でも新しいことを通しやすくなる。社内の共感者を増やす文脈を作るのが1-10段階の共創の価値だと思う。

    3.10-100フェーズ: 価値を翻訳する共創
    次の段階が、世に出しし、広がっていくまでの共創。市場向けのコンセプト作りから、クラウドファンディングや、商品を発売した後のフェーズ。
    ここでは、作り手の世界や言語を、世の中の価値に翻訳していくことがチャレンジになる。作り手にとって、誰が喜ぶかというのは、当たり前のように生まれるものではなく、ある程度直接接して話したりしながらその反応を体感的に感じながら、自分の作りたい世界の価値を翻訳していく。このプロセスで社外と共創することは、自分の価値を社外価値に翻訳し、自分の知らなかった価値に気づかされて自分の世界が広がり、かつ「市場」という抽象概念が、具体的な人の顔という解像度の細かい世界で見れるようになる。特に、ファンになってくれる意外な人との出会いは、結果的に自分の価値を飛躍させるきっかけとなる出会いになる。自分の価値の幅を広げ、越境するための翻訳をする価値が10−100の価値だと思う。

    4.100-∞フェーズ: 同じ方向に向かうための共創
    世の中の価値が定まると、今度は改善のフェーズに入ってくる。ここでは大事なのは、プロジェクトに関わるチームが、全員で変化し続ける情報を捉え、同じ方向に向かって変えていくこと。これはいわゆる古くはQCサークルや、Workoutなどの方法論で使われているが、一緒に課題を感じ、それを改善に向けて行動していくという習慣づくりが大事になる。開発チームが、ユーザーと一緒にワークショップをやったりすると、全員が肌感覚でプロダクトを改善していく方法が見えて、無駄な議論のずれが無くなったりする。
    ここでの共創の価値は、同じ現実をみて同じ方向に同期して動けるというチームダイナミクスづくりが100ー∞における価値だと思う。

    最初に戻ると、共創の反対は独創で、実際には独創と共創というのはどちらも方法論の一種である。最近は、複雑で利害関係者が絡み合うことが増えてきたので共創ではないと答えが出ない(正確にいうと全体像を見えないため全体解が出しようがない)場面が増えてきたように思う。

    一方で、0-100までのプロセスは、独創があって初めて共創が生きると思う。独創を生むためには、内発的動機に立ち返ったり、その脆い世界を具現化したり、さらにそれに必然性を感じられるようなストーリーを作ったり(時に会社のDNAやミッションと呼ばれるもの)が大事だと思う。根っこのある独創環境を作らないと共創は機能しないし、日々仕事をしている中で上記のようなことを無意識に考えながらやっているんだなあということに気づかされた。

    とても気づきの多い対話で本当に感謝。

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このブログについて
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このブログは、マーケティングの世界で生きてきた筆者が、2012年8月から1年間アメリカのシカゴ、イリノイ工科大学のD schoolに留学する筆者の留学体験記です。

イリノイ工科大学のD school(http://www.id.iit.edu/)は、デザイナー、エンジニア、ビジネスのメンバーによって構成され、異なる背景を持つ人の交差点から新しいアイデアを生み出すことを意図されてデザインされ、デザインの実務というよりデザイン思考を使った戦略立案や、商品/サービス開発、改善の方法論を教えています。

D schoolといえばデザイナーではない人にとって敷居の高い印象が有ると思いますが、デザイナーではない視点から、D schoolで行われているプログラムについてレポートしたいと思っています。

D schoolの生活についてご質問がございましたら気軽にiitidlife@gmail.comまでお問い合わせください。
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「動的ビュー」テーマ. テーマ画像の作成者: mariusFM77 さん. Powered by Blogger.