よくわかるアレルギーとアナフィラキシーアナフィラキシーってなあに?
意外と知られていないアナフィラキシーのこと。特徴とリスク、症状や原因をくわしく解説します。
アナフィラキシーは命にかかわることも
アナフィラキシーは、発症後、極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応です。
きっかけは?
主にアレルゲンを食べる(飲む)、吸い込む
どこにあらわれるの?
全身性に複数の臓器(皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など)にあらわれる
このアナフィラキシーによって、血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもあります。この生命に危険な状態をアナフィラキシーショックといいます。
アナフィラキシーショック
厚生労働省の人口動態統計の集計によると、日本におけるアナフィラキシーによる年間死亡者数は2011年に71名にのぼりました。
日本におけるアナフィラキシーによる死亡者数
西暦(年) |
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年間死亡者数(人) |
蜂毒関係 |
食物 |
薬物 |
血清 |
詳細不明 |
西暦(年) | 2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 |
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年間死亡者数(人) | 66 | 66 | 48 | 51 | 51 | 71 |
蜂毒関係 | 20 | 19 | 15 | 13 | 20 | 16 |
食物 | 5 | 5 | 4 | 4 | 4 | 5 |
薬物 | 34 | 29 | 19 | 26 | 21 | 32 |
血清 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 |
詳細不明 | 6 | 12 | 10 | 7 | 6 | 18 |
厚生労働省:平成18~23年 人口動態統計「死亡数、性・死因(死因基本分類)別」より作図
症状が出るまでの時間は、アレルゲンによってことなります
アナフィラキシーの特徴のひとつは、短時間で症状があらわれること。症状が出るまでの時間は、アレルゲンや患者さんによって差があります。
薬物や蜂毒は直接体内に入るため、早く症状が出る傾向があります。これに対し、食べ物は胃や腸で消化され吸収されるまでに時間がかかるため、症状が出るまで薬物や蜂毒よりは時間がかかることが多いです。アナフィラキシーが原因で心停止に至った例の、心停止までの平均時間は、薬物で5分、蜂毒が15分、食物では30分といわれます(アナフィラキシーがすべて心停止に至るわけではありません)。
また、アナフィラキシーは、一度おさまった症状が再びあらわれることもあります※。「おさまったから大丈夫」と安心はせず、すぐに病院で診断を受けることが大切です。
二相性反応といいます。
アレルゲンによる心停止発現までの時間(中央値)[海外データ]
【試験概要】
- 対象:英国立統計局(The Office for National Statistics:ONS)に1992~1998年までに登録された死亡を含むアナフィラキシー患者124例
- 方法:死亡を含む致死的アナフィラキシー発現症例の、既往歴、ショック反応、検死などの調査結果から、アナフィラキシー発現から心停止までの時間、アドレナリン使用のタイミング、予後などを調査した。
Pumphrey, R. S. H.: Clin Exp Allergy 30(8):1144, 2000より作図
監修昭和大学 医学部 小児科学講座 講師 今井 孝成 先生