○渡部 豊議員 発言通告に従い、質問いたします。ご答弁をよろしくお願いいたします。 構造改革特区についてお伺いします。 経済の活性化のためには、規制改革を行うことによって、民間活力を最大限に引き出し、民間事業を拡大することが重要ですが、全国的に規制改革の実施は、さまざまな事情により、進展には地域差があります。そこで、政府は、地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案により、地域の特性に応じた規制の特例を導入する特定の区域を設け、地域の自発性のもと、構造改革を進めています。 構造改革特区は、2002年12月に成立した構造改革特区法により創設された制度で、地域経済の活性化を目的に、地域限定で規制緩和を行い、特色のあるまちづくりや企業のビジネスチャンスの拡大などを推進しています。例えば、市場参入に関する規制を取り払うと、新しく市場に参入できる企業がふえ、企業間の競争が生まれるので、企業は創意工夫し、より品質のよいサービスや品物をつくるようになります。また、新しい技術や発明が生まれる可能性も高くなります。さらに、新しい雇用も大幅にふえることが期待されます。 特区制度がスタートして、これまでに全国の特区認定件数は910件に達しています。そのうち昨年11月までに特区認定した709件を対象に行った経済効果に関する調査では、設備投資額が約5,300億円、年間売上額が約5,200億円も増加し、またコスト面においても約150億円削減されるなど、特区導入による経済効果が大きく示されています。 ユニークな一例としては、当市の姉妹都市である群馬県太田市では、太田外国語教育特区を設けた学校で、国際性豊かな人材を育成することを目的に、学習指導要領の規制を緩和し、国語などを除く大半の授業を外国人による英語で行っています。愛媛県においても、松山市では、平成17年11月に松山IT人材育成特区の認定、ことし3月には新居浜市でも同じく、新居浜市IT人材育成特区の認定を受けています。これは高度情報化社会に対応するために、ITを利活用できる人材を育成し、地域の情報化を推進するとともに、地域産業の発展を目指しています。 このように愛媛県では、本年11月までに13件の特区認定がなされております。そのうち今治市が2件含まれています。平成15年11月に、今治市ほか3市6町1村が申請主体となり、愛媛県東予地域外国人研修生受入れ特区として、外国人研修生の受け入れ人数枠の拡大により、研修生が高度な技術、技能を取得し、国際交流の促進と地域の国際友好関係の強化を図ることで認定されております。 そこで、お伺いします。当市では、特区制度で外国人研修生を受け入れた会社は何社あるのですか。また特区を利用した現在の研修生は何人いるのかお聞かせください。さらに、地域において外国人研修生の受け入れ効果をどのように評価されているのか、ご所見をお尋ねいたします。 2点目は、平成17年7月に認定された今治市しまなみ教育特区です。大三島にある旧南小学校の校舎を有効活用して、土地建物の無償貸付による学校法人立の広域通信制・単位制高等学校を開設し、特色あふれる集中スクーリングを実施することにより、教育や産業の振興を図り、地域の再生を目指すことで認定されました。本年4月に、日本ウェルネス高等学校が開校したところですので、これからの同校の発展と地域活性化が図られることを大いに期待したいと思います。 そこで、今後の特区への取り組みについてお伺いします。 特区の理念の中には、地方の自助と自立の精神の尊重が込められています。これまでのように、地方が何か事業を実施する際に、国の補助金を活用したり、税制上の優遇措置などを受けるなどは一般的でありますが、この特区制度には財政支援は原則としてありません。当市の財政も大変に厳しい中で、特区は市のお金を使わずに、規制改革を行うことで、経済に刺激を与える画期的な改革とも言えます。 私は、先月、愛媛平成市議の会が宇和島市で開催され、参加いたしました。そこで、11月12日に、宇和島商店街で行われたじゃこ天カーニバルの仕掛け人である宇和島地方局長さんのアイデアに富んだ講演を聞くことができました。具体的には、カーニバルを行う際に、最初の発想はゼロ予算で、お金がなくても何ができるかから出発したそうです。じゃこ天カーニバルのポスターも自前で作成し、ポスターは張って何ぼのもん、人目についてこそ生きるので、枚数もタイムリーにつくった。ポスターの作成では皆が知恵を出し合って、宇和島市出身の鉄道唱歌の作詞者である大和田建樹のイラストを載せたことで、鉄道発祥の地である新橋駅や東京駅に営業活動に行った。本来、駅の構内は高額な有料掲示板でありますが、発想がよかったのか、無料で20枚のポスターを張らせていただいたそうです。カーニバルの当日、市民によるじゃこ天の歌を大合唱する際にも、商店街の既存のスピーカーを活用されました。また、軽快なリズムに合わせた踊りでは、市長を初めとして400人の職員、市議会、警察署も参加して、商店街は人でうずまり、大いに盛り上がり、大成功したそうです。最後に局長は、地域おこしも覚悟が要ると言われておりました。そこには、何としても宇和島のよさを知ってもらい、地域経済を活性化させたいとの思いを感じることができました。 我がまちにおいても、自分が地域に誇りを持ち、人に伝えていってこそ、活気に満ちた、魅力あるまちになるのではないでしょうか。当市でも、自然やすぐれた施設の宝を、補助政策に頼るだけでなく、地域の実情に合った規制改革で、行政と民間が連携して、地方発信の取り組みを推進することが望まれます。自然環境の実例で言えば、瀬戸内海の中でも特に来島海峡や周辺の景観は世界に誇れるものと思われますが、地域経済の活性化にはさらなる努力が必要ではないでしょうか。 一方、隣の香川県では、瀬戸内の島嶼部を活用して、瀬戸内海国際観光特区の認定を受けて、県経済の活性化を図っています。また施設においても、国が設立したコンピュータ・カレッジが今治市にも平成元年に設立され、昨年4月には、最新鋭の機器に更新されました。しかし特区による特例措置を受けていないため、松山市や新居浜市の民間施設と差をあけられています。生徒の募集にも影響が出るのではないでしょうか。 これらはほんの一例ではありますが、さらに特区の提案を推進する必要があると思います。構造改革特別区域法では、地方自治体による特区申請ができる期限を2007年3月までと規定していますが、政府は特区制度が有効に機能し、継続の要望が強いとして、申請期間の延長などを盛り込んだ改正法案を次期通常国会に提出するそうです。今後、当市では、特区にどのように取り組んでいかれるのか、あわせて民間事業者へどのように啓発していかれるのか、ご見解をお伺いしたいと思います。 以上で質問を終わります。ご答弁、よろしくお願いいたします。
○寺井政博議長 答弁を求めます。
○矢野 巧企画振興部長 渡部豊議員さんの構造改革特区についてのご質問にお答えさせていただきます。 まず、第1点目の特区の達成状況についてということで、愛媛県東予地域外国人研修生受入れ特区による研修生の受け入れ人数についてお尋ねがございました。 議員さんご発言のとおり、この特区は、外国人研修生受け入れによる人材育成促進事業として、今治市は平成15年11月に認定を受けております。団体管理型により、外国人研修生を受け入れている常勤職員50人以下の中小企業におきまして、1企業当たり3名の研修生の受け入れが上限でありますが、特区により、受け入れ枠を6名まで緩和されているものでございます。 現在、市内には、中国からの派遣を中心として、研修生約580名、実習生が約820名おられます。この特区の適用が認定されている企業は、市内には縫製関係の企業を中心として、現在24社ございます。現在、55名の研修生がおられます。本市といたしましても、外国人研修生の円滑な受け入れができますよう、実務研修の際の公民館等の公共施設の提供や外国人研修生を対象とした日本語講座を開設してきております。 この研修生が技術、技能等を修得することにより、帰国後、会社のリーダーとなる例があるなど、派遣国の技術、技能の向上に貢献いたしております。また、市民のまつりおんまくやスリーデーマーチなど、地域の行事に参加するといったことで、交流の促進も図られておるようでございます。また、受け入れ企業におきましても、1年間の研修終了後、技能実習生として2年間の受け入れが可能なことから、円滑な技術の伝承、安定した技能者の確保につながるなど、地場産業の振興にも寄与している一面もございます。 しまなみ教育特区につきましては、議員さんご発言のとおり、日本ウェルネス高校が大三島に開校しております。この特区につきましては、今年度中に、規制の特例措置が全国展開されることとなっております。 第2点目は、今後の特区への取り組み、民間事業者への啓発についてお尋ねでございます。 当面、当市の取り組みといたしましては、民間事業者からの要望を受けて、今治コンピュータ・カレッジも対象としたIT人材育成特区の認定を新たに受けるべく、年明けには申請ができるよう準備を進めているところでございます。 ご案内のとおり、構造改革特別区域法、これは時限立法でございます。議員さんご発言のように、来年3月が申請の期限となっておるようでございます。そして国においては、地域の創意工夫を高め、取り組みを強化し、制度の拡充をするための改正法案、これを来年の通常国会に提出する方針のようでございます。本市といたしましても、その動向を見極めながら、特区制度の活用につきまして、引き続き、努力をしてまいりたいと考えております。また、制度改正に対しましては、市のホームページの活用など、市民あるいは民間事業者の方々への周知啓発を図ることを検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。 以上でございます。
○越智 忍市長 渡部豊議員ご質問の構造改革特区につきましては、先ほど部長から答弁があったとおりでございますが、私の方からもお答えをさせていただきたいと思います。 議員ご指摘のように、現在、国も地方も大変厳しい財政状況にございますけれども、こういう時代であるからこそ、構造改革特区制度を活用することが、地域の活性化を図る上で、大変有効な手段になるものと考えておりまして、引き続き、制度の活用や民間事業者への啓発等を図ってまいりたいと思っております。 また、渡部議員のご質問にございましたまちおこしのアイデアにつきましては、機構改革によりまして、本年度から政策研究室を設置いたしまして、企画立案能力の充実を図っておりますほか、愛媛県によります県版特区とも言えますけれども、えひめ夢提案制度の活用や市独自のICANアイデア提案制度の啓発、充実にも努めているところでございます。 今後とも、特区制度を含めましたさまざまな手法で、市職員や市民の皆様方の英知を結集いたしまして、新しいまちづくりに取り組んでまいりたいと考えておりますので、ご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。 以上でございます。
○寺井政博議長 以上で答弁は終わりました。再質問はありませんか。
○渡部 豊議員 議長。
○寺井政博議長 渡部 豊議員。
○渡部 豊議員 ご答弁によりますと、民間事業者より特区の提案が1件あったということで、行政では、現在、申請の準備を進めておられるとのことで、大変心強く思います。 先ほど申し上げましたように、全国の特区認定は910件も認められています。これらのメニューを総点検していただき、地域活性化につながる事案を公開し、今治市の発展や地域経済の向上にさらに努めていただきたいことを要望といたしまして、私の質問を終わります。大変ありがとうございました。 |
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