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パルシステムのごはんでしあわせ!物語

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vol.1「飼料米」という挑戦は、自給的暮らしへの切り札!

豚肉の自給率は、たったの6%!?

スーパーなどでは、「国産」と表示のある豚肉や鶏肉はたくさんあります。食の安全・安心への関心の高まりもあり、国産品を選ぶ方も多いのではないでしょうか。しかし、その家畜が食べる飼料は、ほとんどを輸入に頼っているという実情を、ご存知でしょうか。
たとえば、豚肉の自給率(重量ベース※)は53%と、半分以上は国産です。しかし、この数字には、家畜が食べている飼料のことまでは考慮に入れられていません。国産飼料を使って育てた豚肉の自給率(カロリーベース※)を計算すると、わずか6%しかないのです。
つまり、「国産」とはいっても、そのほとんどが、輸入飼料を与えて育てられているといっても過言ではありません。

食料自給率の推移

震災であらわになった輸入依存の危うさ、とまらない飼料価格の高騰

こうした輸入依存の危険性は、畜産農家が一番よく知っています。エサ代は、家畜の飼育コストの大半を占めているからです。世界では、人口増加や気候変動、経済の影響を受け、穀物の価格は上がり続けています。たとえば、豚の主なエサとなるとうもろこしの国際価格を見てみると、ここ最近は、2006年ごろと比べると3倍以上の水準。2012年にはアメリカの干ばつなどの影響で、史上最高値を記録しています。

とうもろこしの国際価格推移

また、大きな痛手となったのが東日本大震災です。直接の被害がなくても、地震と津波により、東北沿岸にある輸入飼料の工場や港が被災したため、畜産農家は深刻なエサ不足に陥ったのです。「工場が止まってしまい、飼料を制限せざるを得ませんでした。エサに群がって圧死した豚や、食べることすら諦めてしまった豚もいました」。秋田県で養豚を営む、ポークランドグループの豊下勝彦さんは、当時の状況をそう話します。

エサに群がる豚たち

震災で被害を受けた仙台港の食料工場

「飼料米」が、豚のいのちをつないだ!

「このまま、輸入に頼りきっていては危ない」。そう考えた畜産生産者とパルシステムが、2007年から取り組んできたのが、「飼料米」でした。米は、日本の長い歴史のなかで育まれ、気候風土に合った作物。飼料用に育てることで、立派な家畜のエサになります。地域で使われていない田んぼを活用してできた飼料米を使い、2008年に誕生したのが『日本のこめ豚』です。
当初56トンの飼料米を使うことで始まったパルシステムのこの取り組みは、飼料米は4年間で1,020トンにまで増え、2012年度には3万頭の『日本のこめ豚』を生産する計画です。

このことは、震災においても功を奏しました。『日本のこめ豚』を生産するポークランドグループでは、飼料米の在庫が1年分(850トン)あったことで、多くの豚のいのちを救うことができたのです。「輸入飼料に頼らない、自給型の養豚をめざして進んできた私たちの方向は、間違っていなかった」。豊下さんはそう話します。

「日本のこめ豚」出荷頭数と飼料米の使用量

自給的な暮らしへシフトし、農村に活気を!

飼料米の利点は、自給率の向上だけに留まりません。国の「減反政策」や消費量の低迷で、米の生産量は年々減少。先祖代々耕されてきた田んぼは、「休耕田」や「耕作放棄地」となり、どんどん荒れてしまっています。ところが、飼料米の栽培によって、水田がよみがえりつつあるのです。
飼料米を作付けする産地からは、「一時は、耕作放棄地ばかりだったんですよ。田んぼには稲が植わって、秋になれば黄金色になるのが、米農家の願いなんです。本当に、うれしいねえ」、そんな声がたくさん聞かれます。
「地域の田んぼがよみがえり、そのなかに養豚もある。"つながり"のない社会ではなく、土地や先祖を敬いながら自然とともに豊かに暮らす。それが地域のあるべき姿だと思うんです」と豊下さん。
飼料米は、あらゆる資源を輸入に依存してきた現状から自給的な暮らしへとシフトし、農村の抱える課題を解決する可能性を秘めているのです。

飼料米の栽培でよみがえったJAかづの(秋田県)の田んぼ

「進むべきは自立型の養豚」と話すポークランドグループ(秋田県)の豊下勝彦さん

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