観光で苦戦する地方が陥る「幕の内弁当」の罠

外国人客にスルーされるのには理由がある

人を呼べる地方は何が違うのか?(写真はさいたまスーパーアリーナで行われた世界盆栽大会の様子。筆者提供)

なぜ埼玉に外国人が集合!?

日本でインバウンドの観光地というと京都やニセコなど、特定の観光地をイメージする人が多いかもしれません。でも、実はそれだけではなく、意外な土地に外国人が詰め掛けて盛り上がっていることがあります。

たとえばさいたま市。今年4月27日から30日の4日間、多数の外国人が押し寄せ、さいたまスーパーアリーナを埋め尽くしました。

目的は「第8回 世界盆栽大会」。欧米の日本文化好きだけでなく、インドや中国など世界各国から「BONSAI好き」が押し寄せたのです。

実はこの大会、1989年に埼玉・大宮で第1回が開催されて以降、米国・韓国・ドイツ・プエルトリコ・中国など、世界中で開かれ、今年の第8回大会は28年ぶりの日本開催。「盆栽/BONSAI好き」は日本だけに限らず、世界中にいることがわかります。

この盆栽大会の参加費は4日間で4万円もするのですが、多くの外国人がこのチケットを購入し、さいたまスーパーアリーナで行われるさまざまなデモンストレーションやワークショップに参加しました。会場は市内に点在しており、由緒ある神社や盆栽美術館、さらには大宮盆栽村といわれる盆栽農家が点在しているエリアをまわります。

イベントは4日間続くため、海外から参加する旅行客の多くはこの期間、さいたま市に宿泊します。盆栽用の鋏(はさみ)や鉢といった日本でしか買えない材料も買っていきます。さらには、盆栽は普通に買うと海外に持ち出すのが難しいため、会場内で売っている検疫を通過できる1鉢数万円もする盆栽を大量に購入して帰っていくのです。その経済効果はかなりものです。

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  • NO NAMEa6c84ee505cc
    日本全国津々浦々までツーリングで訪れていますが、観光客を金蔓としか見てない所はだめですね。
    買ってけ食ってけという割にゴミは持ち帰れとか、もうもてなすつもりなし。
    自分が思うにまずはバックパッカーとかツーリングライダー・チャリダーなどの若い旅行者を大事にする事。
    今は金はないけど、いい所だと思えば将来家族を連れてきてくれます。
    息の長い話ですが、実際自分の経験でもそういう地域が結局リピーターを獲得して長続きしてます。
    インバウンドインバウンドで金儲けで鼻息荒くするのもいいですが、それで客が来てくれるのは最初だけ、後が悲惨ですよ。
    up56
    down1
    2017/11/27 08:30
  • NO NAMEa6c84ee505cc
    もう一つ、地方は「こんだけ金かけて○○を作ったんだから客来るだろう。金を落としてくれる」と言う勘違いをやらかしてる。
    up51
    down0
    2017/11/27 08:10
  • NO NAME246b6433651c
    短い滞在でいかに多くの観光スポットを訪れることができるかという、「数」の発想なんですね。高度成長期に出来上がった旅行スタイルから、供給側が脱しきれないという良い指摘だと思います。もちろんそのような需要も団体客を中心に残っていますが、一箇所にいかに長く滞在してもらうかという旅の「質」の部分にもっと注力していく必要がありますね。日本にはまだまだ眠ったままのコンテンツが残っていると思います。
    up29
    down0
    2017/11/27 09:18
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