バリ島火山、大規模噴火の警戒を最高水準に
インドネシア・バリ島の活火山アグン山で大規模な噴火が起きるおそれが高まるなか、当局は警戒水準を最高に引き上げ、避難区域を拡大した。
バリ島の空港は現在閉鎖されており、多くの観光客が足止めされている。アグン山から上がった黒煙は頂上から最大3400メートルの上空まで達している。
インドネシア国家災害対策庁(BNPB)によると、アグン山頂上から12キロ離れた地点でも噴火の音が聞こえたという。
BNPBは「災害の危険があり、かつ切迫している」として、現地時間の26日午前6時(日本時間午前7時)に警戒水準を最高の4に引き上げた。
BNPBはフェイスブックに掲載した発表文で、「噴火の光が夜に観測されるのがより頻繁になっているのは、さらに大規模な噴火が起きる可能性があるのを示している」と述べた。
当局は地元住民にマスクを配布しており、避難区域を半径10キロ圏に拡大した。
バリ島東部にあるアグン山は、島の主要観光地域のクタとスミニャックから約70キロ離れている。
当局や専門家らは25日、マグマが火山の表面近くに上ってきていることが検知されたと明らかにした。
BNPBの情報担当幹部はツイッターで、バリ島の東にあるロンボク島の町マタラムで火山灰を含む雨が降ったと書いた。
今年に入って14万人以上が一時避難所に身を寄せたが、今でも約2万5000人が避難生活を続けているとみられる。火山活動の活発化によって、大規模噴火が近いのではないかという懸念が高まった。
9月末には避難区域外の住民のほぼ全員に帰宅勧告が出され、火山活動は断続的になっていた。
大規模な避難が行われるなか、島の観光収入に少なくとも1億1000万ドル(約122億円)の損害が出たと政府は推計している。
130以上の活火山があるインドネシアの島々は、太平洋を取り囲む「炎の輪」の一部を構成しており、頻繁に火山噴火や地震が起きている。アグン山が噴火した最も最近の例は1963年で、1000人以上の犠牲者を出した。
(英語記事 Mount Agung: Bali volcano alert raised to highest level)