【イエメン内戦】 サウジの封鎖一部解除で救援食料が入港
イエメン内戦でサウジアラビア主導の封鎖が3週間近く続き、ただでさえ困窮していた数百万人が飢餓寸前に追い込まれるなか、サウジアラビアが封鎖を一部解除したのを受け、食料を積んだ国連の人道援助船が26日、反政府勢力の抑えるサリーフ港に入港した。
国連の救援船は、何としても必要とされている小麦数千トンをサリーフ港に運び込んだ。世界食糧計画(WFP)のイエメン担当責任者スティーブン・アンダーソン氏はBBCに対して、国連の救援船はイエメン北部の180万人に必要な食べ物を積んでいると話した。
25日には190万人分のワクチンなど医薬品を積んだ航空機が首都サナアに着陸したが、救援食料が届けられるのは今月6日の封鎖開始以来、初めて。
WFPのアンダーソン氏によると、WFPの船は入港許可が得られるまでの2週間、「沖合で浮いている」しかなかったという。
WFPの船に先駆けて、小麦粉5500トンを積んだ民間船が、サリーフの南にある主要港フダイダに入港している。フダイダもフーシ族が制圧している。
商品としての小麦粉がイエメンに届いたことについて、アンダーソン氏は「これも前向きな動きだ。人道援助だけでは、イエメン北部の人たちに必要なものをすべて提供できない。特に、我々の支援が届かない人、比較的良い状況にあるものの、市場で食料を変えないと困る人たちにとっては、大事な動きだ」と歓迎した。
医薬品を届けた国連児童基金(ユニセフ)のヘルト・カッペラエレ中東・北アフリカ地域事務所代表はロイター通信に対して、切迫して必要な分のごく一部に過ぎないと強調した。
サウジアラビアと連合国は、イエメン反政府勢力フーシ派が首都リヤドに弾道ミサイルが発射した2日後、イエメンの陸海空路をすべて封鎖した。ミサイルは国際空港上空で迎撃された。
サウジ主導連合は22日、武器援助がフーシ族に届かないことを前提に、緊急人道援助受け入れのためにフダイダ港を再開し、サナアの空港を国連援助受け入れのために再開すると発表した。しかし国連は24日、フダイダ港は封鎖されたままだと指摘していた。
サウジアラビアはイランが、フーシ族に武器を提供していると非難している。イランはこれを否定している。
イエメンでは2000万人以上が緊急人道援助を必要としている。そのうち1100万人が子供で、40万人が重度で緊急な栄養不良状態にあるという。
サウジアラビア主導の連合軍は2015年、アブドラ・マンスール・ハディ大統領派とフーシ派の内戦に介入。国連によると、それ以降、地上戦と空爆による死者は8670人以上に達する。
(英語記事 Yemen war: First food aid arrives at port after blockade eased)