僕は古いものが好きです。
古くなることで新しい価値が付加されるように思えるんですよね。(変な言い回しになってしまった)
神保町や高円寺で古本や小物を見て回るのがとても楽しいです。
地味な趣味だな(笑)
そうやって見つけた本の感想です。
「ひとごろし」山本周五郎
物騒なタイトルですが、内容は平和的(?)です。
舞台は江戸時代。
人斬り侍を捕まえないといけなくなった気弱な役人侍。
めちゃくちゃ弱虫なんですが命令なのでどうしてもやらざるを得ない。
しかも相手は相当な手練。
じゃあどうやって立ち向かうかというのがこの話の面白いところです。
切った張ったの血なまぐさい時代が嫌になってしまった現代人には知ってほしいアイディアです。
とても暖かくて幸せな気分になれます。
松田優作主演で映画化もされています。
ってまあそれすら古い話題ですな。
「カチカチ山と花咲爺」武者小路実篤
かちかち山と花咲爺の二本立て。
誰もが知っている童話ですが、それらを名高い文豪である武者小路実篤が脚色した物語。
ストーリーの本筋に大きく変更はありませんが描写には奥行きが増しています。
そして挿絵は岸田劉生。
キリスト教の宗教画のようなタッチで描かれていて今観ても新鮮に感じられます。
1917年ってちょうど100年前だ!でも装丁がめっちゃポップ!
この物語自体は100年前に書かれて出版されていますが、それを昭和56年に復刻した本です。
それでも36年前だからやっぱり古いな〜。
2本目の「花咲爺」での正直者のおじいさんの心の美しさには感動しました。
花咲か爺さんで泣いたのは初めてです。
欲張り爺さんはすごく嫌な奴ですが、その被害者意識というか自己正当化はたまに世の中で「普通の人たち」が言うようなことの気がして考えさせられました。
って自分も他人のことをとやかく言うんじゃなくて自分がそうなってしまわないか気をつけようと思いました。