【ニューヨーク=高橋里奈】米出版大手タイムは26日、発行済み全株式を米メディア大手のメレディスに売却すると発表した。売却総額は28億ドル(約3100億円)。タイムは雑誌「タイム」や「フォーチュン」など多くの著名雑誌を発行するが、デジタル化への対応が思うように進まず、身売りを余儀なくされた。
複数の投資会社などが保有するタイムの全株式を、メレディスが15日終値より46%高い1株当たり18.5ドルで取得する。メレディスはタイムが抱える負債も引き取る。買収は2018年1~3月期に完了する見通しだ。
タイムは1922年に創業し、世界で約60の雑誌を出版する。米メディア大手のタイムワーナーから14年に分離。ネットメディアに押されて販売、広告とも収入が落ち込んでいる。
メレディスのスティーブン・レイシー会長兼最高経営責任者(CEO)は声明で、タイムの買収により「テレビから出版、モバイルにまたがる約2億人の米国の消費者を抱えるメディア企業になる」と述べた。
メレディスは地方のテレビ放送や雑誌を手掛ける。16年時点のタイムとメレディスの売上高は合計で約48億ドルになるという。このうち広告収入は27億ドル。メレディスはタイムとの統合により、合併後2年間のコスト節減効果は4億~5億ドルになると予測する。
買収資金のうち6億5千万ドルは、大富豪のチャールズ・コーク氏とデービッド・コーク氏傘下の投資会社、コーク・エクイティ・デベロップメント(KED)が拠出する。コーク兄弟は保守的な政治思想で知られ、共和党に大きな影響を持つ。メレディスによると、KEDは取締役を送らず、タイムの編集や経営に直接関与しないという。