【ソウル=山田健一】韓国軍合同参謀本部は13日、北朝鮮の兵士1人が板門店(パンムンジョム)の共同警備区域(JSA)の北側建物から南北軍事境界線を越えて韓国に亡命したと発表した。兵士は亡命した際、朝鮮人民軍の銃撃を受けて負傷していた。韓国軍は兵士を医療機関に緊急搬送。北朝鮮側が亡命を受け入れた韓国に強く反発することも予想されるため、韓国軍は警戒を強めている。
韓国軍によると、北朝鮮側の銃弾は南北軍事境界線まで届いておらず、韓国軍が北朝鮮に応射することは無かった。ただ、南北による銃撃戦に発展する危険もあった。北朝鮮の兵士が韓国に亡命する事例は1~2年に1回ほどあるが、南北の対峙するJSAを通って亡命するのは極めて珍しい。
韓国軍は13日午後3時30分ごろ、北朝鮮側の銃声を聞いたという。その後、同56分ごろにJSAの南側敷地で兵士の身柄を確保した。兵士の階級や性別などは不明。肩や肘を負傷しており、国連軍のヘリコプターで医療機関に搬送された。
聯合ニュースによると、兵士は南北軍事境界線から南側に約50メートル入った地点で発見された。聯合は「韓国軍の兵士は北朝鮮による追加の銃撃を予想し、ほふく前進しながら兵士を安全な場所に避難させた」という軍関係者の発言を紹介。現場は一時、非常に緊迫した雰囲気に包まれたと伝えた。JSAを通じた北朝鮮兵士の韓国亡命は、2007年9月以来10年ぶりという。