今後10年間で、3メガバンク(三菱UFJフィナンシャルグループ<FG>、三井住友FG、みずほFG)が約3万人を削減する計画と報道されている。
大手行は従業員の数を減らして固定費をカットし、収益性を高めようとしている。
その背景としては、国内の需要低迷や低金利環境が続いているため、利ザヤが確保しづらいことがある。
確かにそれは無視できない要因だ。
だがそれに加えて、ファイナンシャルテクノロジー=フィンテック技術の進歩によって”省人化”への取り組みが進んでいることがある。
代表例が、分散型のネットワーク技術である”ブロックチェーン”だ。
新しい情報技術を活用することで、銀行だけでなく、物流や小売りなど、社会の様々な分野で従来にはなかった取り組みが進む可能性が高まっている。
今年度上期のメガバンク決算を見ていると、政策投資目的(持合い)で保有してきた株式の売却益が収益を支えた。
一方、銀行の本業である貸し出しは減益が続いている。
地銀に関しては、金融庁から外債投資のリスク管理の厳格化を求められるなど、収益獲得は容易ではない。
当面、国内行を取り巻く収益環境は厳しい状況が続きそうだ。
稼ぎ頭となるビジネスが見当たらない中、メガバンクだけでなく多くの銀行がコストを削減することを重視している。
そのための主な手段として注目されているのがIT技術と金融技術の融合であるフィンテックだ。
「フィンテック」と聞くと、資産運用のアドバイスをしてくれるアプリケーションなどを思い浮かべる方が多いようだが、それはごく一部に過ぎない。
具体的に、フィンテックの威力が発揮される分野としては「バックオフィス業務」が考えられる。
資金繰りや有価証券の売買記録などに関する事務処理を行う部門だ。