政治政策

森友問題で「的外れな追及」続けるマスコミには書けない、本当の結論

結局、悪いのは…

結局、分かったことは…

今日27日から4日間、国会では衆院選後初の予算委員会が開かれる。野党は安倍首相に対して、いわゆる「モリカケ」問題の追及を行う構えだ。

その森友学園問題について、会計検査院が国会に調査結果を報告した。2017年3月6日、参議院予算委員会において森友学園に対する国有地売却について会計検査を行うように要請があり、それに基づき、会計検査院が検査したものだ。

その報告書は、同院のサイトにあがっている(http://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/29/pdf/291122_zenbun_1.pdf)。事実関係が、時系列に沿ってよく整理されているのでぜひご覧いただきたいが、結論としては、所見において、

「国民共有の貴重な資産である国有財産は、適正に管理及び処分を行う必要があり、国有地の売却等に当たっては、財政法第9条第1項等の規定の趣旨を踏まえ、定められた手続を適正に実施して公平性、競争性、透明性等を確保し、かつ、十分な説明責任を果たすことが求められている。」

「今回、会計検査院が検査したところ、検査の結果に示したように、国有地の売却等に関し、合規性、経済性等の面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた。」

とされている。

 

要するに、件の土地売却の際に8億円余り値引きをおこなったが、その算定に十分な根拠が確認できないうえ、検証に必要な資料が十分残されていないということだ。

筆者は9ヵ月前から本コラムで、森友学園問題の本質は、財務省官僚に裁量を与えすぎて本件を入札案件にしなかったり、その経緯を記した文書の保存をしなかったりしたことであり、財務省の地方組織である近畿財務局の「杜撰な事務チョンボ」によって起こったものだと主張してきた。これらは、今回の会計検査院報告書でも確認されたと思う。

【PHOTO】iStock

さらに、本コラムで筆者は、森友学園への売却の前に行われた豊中市への売却実例や、「鴻池メモ」等から判断して、安倍総理や夫人の関与などはなかったと結論を出している。

2017.02.27「森友学園・南スーダン問題では安倍政権が崩れない、これだけの理由」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51077
2017.03.13「森友学園に関する私の発言に、財務省が抗議してきたので反論しよう」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51201
2017.03.20「財務省OBが見た、森友学園問題の本質と予測される「残念な展開」」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51260
2017.04.03「森友問題は結局、財務省の大チョンボ!? 3枚のメモから見えた真相」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51362

実際、マスコミや野党があれだけ声高に叫んでいた安倍首相や夫人の関与は、9カ月が経ったいまも何の証拠も出されていない。

筆者は財務省OBで、直接の担当でこそなかったが、多少国有財産の売却の手伝いをしたこともある。そのときの経験等から、森友学園の国有地売却の手続きはあまりに杜撰で、事務ミスとも言えるものが散見されたことが分かる。もし総理などの関与があったならば、もっとしっかりと手続きをしたはずである。文書が保管されていないこともあり得ない。その意味からも「関与がなかった」と直感的に思ったくらいだ。

野党はこの国会で、森友学園の売却について財務省理財局長を務めていた佐川国税庁長官を参考人として招致するよう求めている。財務省(近畿財務局)の事務チョンボである以上、この参考人招致は問題ない。

しかし、同時に加計学園の加計孝太郎理事長や安倍昭恵氏らの証人喚問も求めたというのはやはり疑問だ。加計学園は、本コラムで何回も書いているように、疑惑そのものが「作られたもの」である可能性が高く、証人喚問はまったくのお門違いだからだ。モリカケの両問題を切り分けずに、総理の「関与、意向」などとの曖昧な言葉によって、単に「総理批判」という観点だけで追及してきたマスコミや野党は反省したほうがいい。