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政治政策

連続黒字は一体なぜ…?GPIFに「次々湧き上がる疑問」

そもそも必要なのか、論も

そもそもGPIFは必要か?

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の収益が、5四半期連続の「黒字」となった。

'17年度第2四半期(7-9月期)の収益額は4兆4517億円で、世界的な株高や対ユーロの円安が進んだ結果、GPIFの資産運用に追い風となったという。

これまでGPIFの運用方法については、賛否両論さまざまに論じられてきたが、今回の5四半期連続黒字はどうか。この成果はGPIFの運用力が高まった結果とみるべきなのか、それとも単なる株高の「他力本願」によるものなのか。

 

GPIFは、四半期ごとの運用状況、年度の運用状況を公開している。'16年度の運用資産全体の収益率は5・86%だった。この数字を評価するには、市場全体の平均収益率を示す「ベンチマーク収益率」が重要であり、それは6・22%だった。つまり、昨年度の実績でいえば、GPIFの運用力は平均的な市場運用に対して0・36%及ばなかったことになる。

では、今回の'17年度第2四半期はどうかというと、収益率は2・97%だった。ベンチマーク収益率は2・96%となっており、運用力は平均的な市場運用とほぼ同じだった。

こうしてみると、たしかにGPIFの運用実績は昨年度よりも向上しているが、5四半期連続の黒字はGPIFがすごい成果を上げたわけではなく、ただ好調な株式市場で人並みの運用に成功しただけということがわかる。

そうすると浮かび上がってくるのは、そもそもGPIFは必要なのかという根本的な議論だ。