初心者でも株の買い方がわかる!株の教科書.com

上場廃止になるとどうなる?知っておきたい株のゆくえ

上場廃止になるとどうなる?知っておきたい株のゆくえ

横山研太郎
株の知識レベル:★★☆☆☆

上場廃止になってしまった株は、証券取引所で取引することができなくなりますが、株主としての権利がなくなるわけではありません。そして、上場廃止になった理由によっては、廃止が決定された後の株価の動きに大きな違いがあるのです。

もし保有している株が上場廃止になってしまったときのために、知っておきたいことをまとめました。

上場廃止になっても株の価値がなくなるわけではない

「上場廃止になると、株が紙切れになる」と考えられがちですが、必ずしもそうなるわけではありません。

ただ、上場廃止になる多くの銘柄が、民事再生法適用や有価証券報告書の虚偽記載など、会社の信頼が失われる理由で廃止となるため、「上場廃止=株の価値がなくなる」と考えられがちなのです。

保有している株が上場廃止となることが決まったとしても、上場廃止の理由によっては投げ売りしなくてもよい場合もあるのです。

証券取引所で取引できなくても、株主としての価値は残る

上場廃止になると、証券取引所での売買はできなくなります。議決権・利益配当請求権・残余財産分配請求権といった株主の権利は残りますし、株式の取引相手を自分で見つけることができれば売却することもできます。

ただ、上場していればいつでも取引ができる(出来高が少ない場合はそうではありませんが)というメリットがなくなるため、上場廃止となってしまうと株式としての価値は下がります

上場廃止が決定した株は整理銘柄に

では、実際に上場廃止になった場合、どのようになるのかを説明しましょう。

上場廃止が決まった場合は、その銘柄が上場廃止になることを周知するために、「整理銘柄」に指定され、通常の銘柄とは区別して表示されます。整理銘柄に指定されてから約1カ月後に上場廃止となり、証券取引所での取引ができなくなります。

上場廃止かどうかを判断する基準に抵触する恐れがある銘柄は、「監理銘柄」として周知される場合があります。その後も状況が改善されずに上場廃止となると、監理銘柄から整理銘柄に移されます。

民事再生などの場合には1円に近づいていく

民事再生法適用申請や虚偽記載といった「会社の信用力がなくなったこと」が理由で上場廃止になった場合、株価は暴落します。会社の経営が立ち行かなくなっているため、債務超過に陥ってしまう可能性が高いからです。

債務超過とは、会社の資産を全て処分しても負債の返済が終わらない状態であり、「株主資本がマイナス」になった状態です。

支払いに問題がなければ倒産にはなりませんが、ほとんどの場合は倒産するか100%減資して再建するという形で株主が責任を取ることになるため、株価が1円に近づいていくのです。

上場廃止でも暴落しない場合がある

上場廃止でも暴落しない場合がある

上場廃止の多くは上記のようなケースですが、まれに上場廃止になっても株価が暴落しない場合があります。それは、会社が減資をしないで存続する場合です。この場合は、上場廃止になる会社の財務状況などから想定される株価までの下落にとどまるでしょう。

ただ、上場廃止が決まった時点で「減資をせずに会社が存続する」ということを完全に決めることはできません。その後の経営状況によっては、倒産や減資を決定せざるを得ない場合もあります。

上場廃止になった当初は経営再建を経て再上場を見据えていると判断されても、その後の状況次第でどうなるかが不透明な状況なので、株価がまだ高いうちに処分しておく方が賢明かもしれません。

完全子会社化などの場合は買収価格に近づく

もう一つ、上場廃止で株価が暴落しないパターンは、完全子会社化やマネジメント・バイアウト(MBO)などの場合です。上場廃止の決定をきっかけに株価が上昇することもあり得ます。

この場合は、上場廃止になる会社が倒産するわけではありません。あくまで、どこかの会社に買収されることで、「株主数」や「流通株式比率」などが上場基準に満たなくなるために上場廃止になるというものです。だから、株価が暴落しないのです。

完全子会社化やMBOにあたっては、株式公開買い付け(TOB)が実施されますが、上場廃止後の株価は、そのときに買収しようとする企業が提示した価格に近づいていくことになります。

TOB価格よりも低い株価で売却する必要はありません。TOBに応募すれば、TOB価格で買い取ってもらうことができるのです。慌てずに、情報収集をするようにしましょう。

まとめ

保有している株式が上場廃止になると聞くと、「この後どうなるんだろう?」、「株式の価値がなくなってしまうのでは?」と不安になってしまうでしょう。

しかし、上場廃止の理由は倒産だけではありません。どのような理由で上場廃止に至ったのかを確認した上で、その時に取るべき行動を正しく判断できるようにしておきましょう。

総合評価
(0)

証券会社を探そう!

免責事項

株の教科書.com(以下、当サイト)で提供している文章、画像、動画等のコンテンツ(以下、コンテンツ)は、作成時点で得られた情報を元に作成しております。その内容について作成時および未来において正確性、安全性は保証しておりません。

当サイトは投資に関する知識、技術情報の提供を目的としており、特定の銘柄、投資対象、投資行動、運用手法を奨励するものではありません。お客様ご自身の投資に関わる一切の行動につきましては、ご自身の責任の下でご判断ください。投資、資産運用によって発生した損益はお客様ご自身に帰属するものとし、当サイト掲載の情報に基いて発生した損害について一切の責任を負うものではありません。

:)