告白させてください。
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あ、申し遅れました。
服飾系の大学を卒業後、アパレルメーカーに就職。
退職後、フリーライターとして活動している中馬さりの(@chuuuuuman)です。
今日お話ししたいのは、アパレル業界で本社勤務職をめざすと高確率でぶちあたる闇。
「販売員をがんばれば本社勤務できるのか問題」
です。
結論からいうと、
アパレル業界を目指すあなたが希望するのは本社勤務ですか?
アパレル業界と聞いて、思い浮かべる職業はなんでしょうか?
販売員やデザイナー、プレスなどが王道なのではと思います。
メーカーとして考えると営業や経理、人事なども想像つくかも。
それらの中で就職したいと思われがちなのは以下の職業です。
デザイナー(季節毎にだす洋服をデザインする人)
プレス(カタログ作ったり、雑誌やSNSなどの広報担当)
バイヤー(海外に行って材料や服を買い付けてくる人)
営業(どこのショッピングセンターに置くかなど話をつけてくる人)
アパレルに詳しい方だと、以下のような職種を目指す方もいますね。
- マーチャンダイザー(デザイナーの作った服を市場に合わせて売れそうに舵取りする人)
- ビジュアルマーチャンダイザー(お店での服の配置やビジュアル面を考える人)
- パタンナー(デザインから洋服の設計図をつくる人)
このあたりは就職活動時の花形!
もはやアパレル業界の集団面接で希望職種を聞くとこんな感じです。
ちなみにこの状態、こんな風にも表現できます。
そう、もはや
「アパレル業界志望者の9割が本社勤務職を希望していると言っても過言ではない」
のです。
アパレル業界で就活中、本社勤務職に就きたいというと……
でも、アパレル業界の面接で本社勤務がしたいと言うと十中八九かえってくるのが
「まずは販売員から挑戦してみない?」
「本社勤務は販売で現場経験を積んでからなんだよね」
……ショックですが、まあ、わからなくもない言い分ですよね。
接客をしていればブランドのファンであるお客様とじかに関われます。
製品知識だって毎日さわってればおのずと身につきます。
うんうん、今後のアパレル人生にも役立ちそう……!
だがしかし!
冒頭でもお話ししたとおり
アパレル業界は想像より販売員が不足している
そもそも、アパレルメーカーの本社勤務職と、それ以外のいわゆる販売職の割合を考えてみましょう。
基本的に本社勤務職のデザイナーやプレス、バイヤーなどはブランド1つにつき1人だけです。
(そのかわり、アシスタントやサブがいます)
営業職や事務職はもう少し人数が多いですね。
対して、販売職は1つの店舗をまわすだけでも最低2人から大型店舗なら8人ほどが必要です。
通販販売のみのブランドもありますが、まだまだ実店舗をもっているところがほとんど。
少なくとも全国に1店舗から、多くて100店舗ほど(1都道府県に2つ)のお店があります。
つまり、ブランド1個分のメンバーはこんな感じ。
アパレル業界は確かに人出不足です。
なんですけど、いやもう、とにかく本社勤務よりも外勤(販売員)が人手不足なんです。
年末年始やお盆のセールで、スーツの人を店頭で見かけませんか?
めっちゃ製品に詳しいのに他の販売スタッフより「いらっしゃいませ」の声が小さい人にであったことはありませんか?
あれ、人手不足が原因で本社から召喚されたデザイナーや営業(本社勤務の人達)です。
そのくらい販売員は足りていないんです。
人事部の頭のなかは
(販売員まじ足りない……!)
でほぼ統一されています。
売上とれば本社移動の辞令がって……そのノルマは達成できる状況?
「最初は販売員から始めるのが業界の決まりならしかたがない」
「がんばったら辞令がきて販売員から本社勤務になれるんでしょ?」
そういう風に考える努力家な方々もいると思います。
わかります、それくらい夢見る気持ちもわかります。
でも、先ほどの図を思い出してください。
もし仮にデザイナーが仕事を辞め、新しい人を募集したとしても販売員ってこんなにいるんです。
この販売員たちの中で、常に1番の売上を出し続けることができますか?
雨の日、雪の日、台風の日。天気によってエグいほど客足はかわります。
気候によっては単価が高く売上をとりやすい重衣類(コートとかダウン)がまったく売れない地域もあるでしょう。
どこの店舗に配属されても1番の売り上げをキープできるでしょうか?
それができるなら、販売員めっちゃむいてるから希望職種を考え直した方がいいよ。
くわえて、アパレル販売員は入社順に「番手」が決まります。
その店のナンバーワン、ナンバーツーみたいな感覚ですね。
で、その番手により販売業務とは別の雑務がふられます。
雑務はショッパー(買い物袋)の準備、備品の発注、在庫整理、DM書き、掃除などいろいろ。
ですが、状況によっては倉庫整理を永遠とし続け、店頭に出ることすらない日々が続きます。
お店に立てずして接客ができるわけがない。
接客ができなければ個人売上がとれるはずもない。
番手があがれば雑務は減りますが、基本的には年功序列なので新しく販売の子が入社してこない限り変動しません。
ちなみに、お店の1番手や2番手はそんな雑務をのりこえた正真正銘のプロ。
本社勤務になんて望まず、純粋に接客が好きで、息を吸うように人と仲良くなれる才能をもつ神達です。
「いつか本社勤務がしたい」
「本当は販売なんて好きじゃない」
そんな風に思っている人達が、接客が大好きな神達より売上がとれるでしょうか?
…………いや、無理ゲーでしょ。
会社の利益を考えたら売上がとれる販売員を本社に移動しない
「本社勤務職に就くためならできる!」
中にはそういう人もいるでしょう。
わたしの同期にも驚きの売上実績と本社職希望をだし続けた子がいました。
でもですね、会社全体で考えたら売上をとる販売員こそ現場から動かすわけがないんです。
アパレルメーカーの資金、売上をつくっているのはやっぱり販売スタッフ。
デザイナーがいくらデザインしようが営業が新店舗をつくろうが、販売員さんが売ってくれなきゃ会社は赤字。
そんな大事なポジションから、仕事ができる人間をあえて移すわけがないんです。
「でも社内勤務者が退職したら? 多部署の人で補充するでしょ?」
わかります。そう思いたいの、わかります。
でもですね、売上のとれる販売員を動かすよりも手っ取り早い方法があるんです。
他社からの引き抜き。中途採用をすることです。
花形といわれる以下の職種はほとんどが契約社員です。
皆が知っているハイブランドでさえ、デザイナーの任期は1年など。
任期が終わった人達は、当然のごとく転職活動をします。
そうやってグルグルと人が入れ替わるのがアパレル本社なのです。
本社勤務が初めての正社員は、販売員として優秀な売上をだしてくれている。
かたや、他社の社内事情にも詳しい中途採用者が期間契約でOKだと志望してきている。
あなたが人事だったら、販売スタッフからの移動願いは聞きいれないのでは?
アパレル業界で本社勤務がしたいなら入り方をとにかく間違えるな
「じゃあ本社勤務するにはどうしたらいいの……」
服飾系の大学に4年間。同時に販売員としてアルバイトをすること2年間。
その後、就職を機にアパレルの営業事務と経理を担当すること2年半。
このアパレル業界にどっぷり沈んでいた経験から思う対策は
「アパレル業界で本社勤務職を志望するなら、とにかく希望職じゃなくても本社に配属されよう」
人事担当者も人間です。
「デザイナーさんが手伝い欲しがってたし、いま余裕あるので担当してもいいですか?」
なんて毎日顔を合わせる子からお昼休みにサラッと提案されるのと、
履歴書ごしにしか知らない子からの年に1回の移動願いだったらどっちをOKしやすいでしょうか?
……おそらく、前者ですよね。
そんな感じで、アシスタントでも実績を手に入れてしまえばこっちのもの。
転職を機にどんどんとキャリアを積んでいくことができます。
かくいうわたしも最初は営業事務として入社。
人事や経理などを担当するようになり、途中退社しなければインターネット事業部に配属される予定でした。
理由は簡単、ちょうどいいタイミングで「できます」「それ好きです」って言ったからです。
我ながら、畑違いもはなはだしい……。
でもこれって何もわたしに限ったことでないんです。
同期も、先輩方も、皆ちょっとしたチャンスを掴んで実績を積み、転職を機に理想のキャリアを掴んでいました。
アパレル業界の本社勤務職をめざす方へ伝えたい本当のところ
新卒でアパレル業界の本社勤務職を目指す学生さん達は、まちがっても「販売員からがんばればいっか」って妥協しないでください。
そもそも販売職だって専門職だし、その場しのぎで結果を残せるもんじゃない。
にもかかわらず、ショッピングセンターなどの勤務になるため、自分の移動希望を伝えられるのは年に1回など少なくなります。
それだったら、希望通りじゃなくても本社配属の職種を選んだ方が自己アピールのチャンスが増えますよ。
販売員から本社勤務職を目指している人達は、年に1回の移動願いだけで諦めないでください。
個人的には販売をがんばれるような根気の持ち主は、どこに行っても成功すると思っています。
それこそデザイン系の資格や夜間学校に通い、転職を機に新しいキャリアを積み始める方が近道かも。
華やかそうに見えるアパレル業界だからこそ、やることやって希望を叶えていきましょう~!
この記事を書いた人
名前;中馬さりの(ちゅうまん さりの)
アパレルメーカーを退職後、高校時代から続けいていたライター業で独立。
現在は日本をふらふら一人旅しながら、文章を書いて生活しています。
好きなものは夜ふかし。
ブログ chuman.info
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