登場人物
いずみ…
日本美術界の 夜明け前は
いったい いつまで
つづくのだろう……
「おとうさま…」
「あたくしがいます おとうさま!」
「あたくしが 強くなります!!」
ティーちゃ 松崎…
あなたは 本物でした
ほんとうの男性でした
あなたの 見事な人生は
時に
よきはげましと
なり
時には ムチのように
きびしく
あたくしを
追いたてる…
「人生は旅だ」と
だれが 最初にいったのか
砂利と いばらと 暗闇と…
そんな道が 気の遠くなるほど つづく
けれど かなたに
確かな 光が見える
今が苦しければ苦しいほど
前に進まねばならない
この苦しみからぬけ出るために!
はてしない
悩みなどない
底なしの
苦しみなどない
あれほど
苦い人生も
笑って逝った
人がいる!
あの人に
負けたくない!
「大関らしくもない」
「お前たちなら合う」
「大関になら オノが理解できる」
「オノなら 大関にこたえられる」
「いい合作になるはずだ
やる気さえあれば」
「あ ミチコ! あたくしよ!」
「大関夫人!」
「いよいよだわね どう?おちついていて?」
「いえ それが なんだか眠れそうになくて」
「まあまあ ホホ」
「描こうと することなど なくてよ ひろみ
あなたの プレイをすれば よろしいのよ
『この一筆』!つねに それだけで よろしいのよ」
「大関夫人…!」
「星でも ごらんなさい そして 深呼吸をして
ゆっくり おやすみなさい」
「…… ありがとうございます
ありがとうございます ほんとうに…!」
「ホホ よろしいのよ では これで」
あたくしにとって
これが あなたとの 合作よ
ミチコ!