たぶん、オチもない。
人と話すのが上手じゃないのに、性欲だけは人一倍。
「こないだは○○ちゃんが好きだったくせに、もう××ちゃんに告白している」
と、評判は最悪中の最悪だった。
女子の噂はすぐに広まるのだ。
この子なら付き合ってくれるかも?
結局勇気がなくて手術はできず、
右見ても、左見ても綺麗な人ばかり。
会社の部活動も非常に盛んで、自分はボードゲーム部に入部した。
楽しい飲み会。女性にゴミカスのように見られていた過去の自分は
ここにはいなかった。
「優しい良い人な同僚として、性欲を徹底的に隠す」
ということを決めた。
もう二度と女性から蔑まれるような目で見られるのが嫌だったから。
飲み会も多く、俺は自然とそのメンバーの中に溶け込んでいった。
笑うと溢れる八重歯が、とても可愛かった。
俺は一瞬で恋に落ちた。
いや、正確に言うと会社の他の人も好きになったのだけど、
彼女は違った。もうどうにもならないぐらい、
身体が熱くなるのがわかった。
先輩として振る舞い続けた。
なんども夢に彼女が出てくるほど、俺は虜になっていた。
死ぬ気で食いしばり、他の人と変わらないように接した。
チームを組むときは、その子と組みたがるような素振りを出さない。
目で追いかけすぎない。
あっという間に時間が過ぎ、遠くの人たちは終電で帰って行った。
家が近く、お酒も好きな俺、A子、A子の友達、部長の4人が残った。
2次会をこのメンバーでしようということになった。
お酒が入れば色恋の話がはじまる。
俺に番が回ってきた。お酒を相当飲んでいたが、
それでもA子の事が好きだということは言わず、
とだけ伝えた。
A子は
「へー。そうなんですね。意外ー。優しいからモテそうなのに。」
と言って「私も半年前に別れてから居ないんですよね」と言った。
俺は、元彼との別れ話など全く聞きたくなかったが、
表情に出ないように、必死で相槌を打ったりしていた。
深夜1時を回っていたと思う。
それに気づいた部長は「毛布もってくるわ」と部屋を後にした。
その刹那。
「増田さん好きー」
とA子が抱きしめてきた。
俺は何が起こったのか全く理解できなかった。
酔っ払って、抱きしめ癖のあるのかなと思った。
しんどいくらい股間が硬くなって、
(今思い出しても夢なんじゃないかと思ってる)
「え?まじで?」
と俺が間の抜けた返事をすると、
皆と同じように接してきたつもりだったが、
A子には筒抜けだったようだ。
「私も好きだよ」
とにっこり笑って、キスをした。
俺はファーストキスだった。
後々聞いてみると、俺のA子への態度は他の人へのそれと全く違ってたそうだ。
かっこいい上司、素敵な先輩、物分りが良く理解の早い後輩など、
好意を持ってもらえる役を演じると良いと思う。
奥歯が割れるのではないかと思うほど、性欲を堪えて本当良かった。
最後の一文に鬼のような気迫を感じた!アンタすげえよwww 奥歯が割れるのではないかと思うほど、性欲を堪えて本当良かった。