JR東海は25日未明、リニア中央新幹線の品川駅の工事を公開した。2027年に同駅―名古屋駅間が開業予定のリニアで、新駅の工事現場を公開するのは初めて。
リニア品川駅のホームは地下約40メートルに設置される。地上から穴をあけ、土留めの壁を設置し、東海道新幹線の線路を支える構造物を用意した後で地下を掘り進める。新幹線の営業は止めないので、作業ができるのは新幹線の終電後から翌日の始発までの間だけだ。
「声をかけあって」。25日午前0時半ごろ、東海道新幹線の品川駅ホームでは、線路の枕木が手作業で次々と取り外されていった。固く敷き詰められた砕石をかき出す作業も2人がかり。集まった作業員は100人ほどで、限られた空間の中、重機も巧みに操って砕石を運び出していく。
午前1時すぎ、特殊な大型クレーンが長さ12.4メートル、幅3メートルの巨大な工事桁をつり下げ、ゆっくりと線路を進んできた。この工事桁が東海道新幹線の線路を支える構造物の一部となる。
砕石を取り除いたばかりの設置場所に着くと、位置を慎重に確認しながら工事桁を下ろしていく。下りきったころには午前2時を過ぎていた。
午前6時には東海道新幹線が走り始める。作業可能な時間は1日あたり4時間半ほど。わずかな距離を少しずつ進めていく地道な作業だ。
品川や名古屋でのリニア新駅の工事は、地中深くを掘り進める山岳トンネル「南アルプストンネル」と並び、難しい工区とされる。品川駅の工事は2016年1月から進めてきた。
JR東海の林保弘・中央新幹線建設部担当部長は、「狭いスペースのなか、短時間で確実に作業を終えなければ、東海道新幹線の運行に影響が出る」と工事の難しさを説明した。
リニア中央新幹線は品川―名古屋間を最短40分で結ぶ。27年の開業に向け、各地で工事などが進んでいる。