米国株投資家コタの退屈な毎日

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スピンオフ銘柄への投資は報われる可能性が高い!一般口座への振替がネックに

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スピンオフ銘柄に対する投資に関する諸々の話題です。

 

先日、私の保有銘柄のファイザーが、コンシューマー・ヘルスケア事業の売却もしくはスピンオフを検討している旨のリリースが出たこともあり、この機会に改めてスピンオフについて自分用に調べてみることにしました。

 

そこで今日は、スピンオフ銘柄に対する投資に関して参考になりそうな内容を部分的にご紹介してみようと思いますので、スピンオフの可能性がある銘柄を保有しているホルダーの方は是非ご参考ください。

 

スピンオフとは

 

スピンオフとは、事業部門などを独立した企業として分離することを指し、その企業は上場会社として株式市場で取引されます。

 

なおスピンオフした場合、元の親企業の株主に対しては、分離した子企業の株式を持分割合に応じて配当として分配することになるため、親企業の株主は親企業の株式と分離した子企業の株式の両方を保有することになります。

 

親企業の株主にとっての目先のメリットとしては、株主の意向と関係なく事業が他社に売却されてしまうのに対して、スピンオフの場合は株主の意思でその子企業を保有するか否かを判断することができるというメリットが挙げられます。

 

確かにメリットではあるものの、実際にはスピンオフされた企業の株式を保有し続けるべきか否かという部分は、株主にとって判断に迷うところではないかと思いますがいかがでしょうか?

 

スピンオフ企業に対する投資が成功する可能性は高い!?

 

スピンオフ企業として成功している例を挙げるならば、アルトリア・グループから国際部門がスピンオフされたフィリップ・モリスや、アボット・ラボラトリーズからバイオ医薬品や新薬開発部門がスピンオフされたアブビーなどが挙げられましょう。

 

米国の上位企業から分離・独立した銘柄で構成され、取引初日から3年間を期限に組み入れることをルールに計算されているブルームバーグスピンオフ指数を見る限り、組み入れられている構成銘柄によって状況は異なってくるかと思いますが、安定して良好なパフォーマンスを実現しているようです。

 

また、著名投資家のピーター・リンチも著書「株で勝つ」の中で、お薦めする銘柄の条件の一つとして、以下の抜粋の通りスピンオフされた企業を挙げていることからも、これらの銘柄への投資は成功する可能性が高いのかもしれません。

 

大企業は、独立させた部門が失敗することで評判に傷がつくことを恐れる。だから、分離独立する会社は、通常良好な財務内容を持ち、独立するに十分な備えを持っている。ひとたび独立するや、新しい経営陣によって、コスト削減や新戦略の導入で収益性の向上を図ることができる。(「ピーター・リンチの株で勝つ」より抜粋)

 

今回ファイザーが売却もしくはスピンオフする対象となる事業は、市販の鎮痛薬「アドビル」、リップクリームの「チャップスティック」、ビタミン剤「セントラム」などのブランドを持ち、昨年の売上高が34億ドルと薬局などで購入できる一般用医薬品(大衆薬)では世界最大規模とも言われているため、スピンオフ後にコスト削減や事業投資などを適切且つ有効に実施できれば、化ける可能性も十分ありそうな気がします。

 

スピンオフ銘柄へ集中的に投資可能なETFのご紹介

 

スピンオフ企業に対して集中的に投資したい方向けに、スピンオフ企業を集めたGuggenheim S&P Spin-Off ETF(CSD)という米国ETFを紹介させていただきます。新たな投資の切り口の一つとして興味がある方は、ポートフォリオの一部として組み入れることを検討してみてはいかがでしょうか?

 

①ETF概要

 

過去2年間にスピンオフ、株式部分的売却または一部新規株式公開された企業の約40の米国株で構成されており、S&Pスピンオフ・トータル・リターン・インデックスの 運用実績に連動する投資成果を目指すETFです。

 

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※morningstarウェブサイトより

 

②組み入れ上位銘柄

 

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※morningstarウェブサイトより

 

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※morningstarサイトより

 

③パフォーマンス

 

参考までに、S&P500指数のSPYとの過去5年間の比較チャートは以下の通りですが、組み入れ銘柄によって変わる可能性はあるものの、この5年間においてはSPYを上回る良好なパフォーマンスを実現しています。

 

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※morningstarサイトより

 

スピンオフした場合の証券口座上の問題点

 

私は基本的にSBI証券の特定口座を米国株投資のメイン口座としていますが、仮にスピンオフしてしまった場合、SBI証券に関して言えば、子企業の株式だけでなく親企業の株式も含めて一般口座に振り替えられてしまうようです。

 

お客さまが特定口座で保有されている外国株式で、スピンオフ、買収・合併(株式交換・現金交換等)、ライツイシュー、資本返還、ETFにおけるキャピタルゲインの配分等の権利処理が発生した場合、当該株式残高は一般口座に振替えられます。(SBI証券ウェブサイトより抜粋)

 

念のため、他の証券会社も確認してみましたが、マネックス証券は若干状況が異なるものの、私が併用している楽天証券もSBI証券と同じく一般口座へ振り替えられてしまうようです。

 

ご存知のように、一般口座になってしまうと納税に絡む記録や計算も自ら行わなければならず、しかも米国株の場合は為替も絡んでくるため、とにかく面倒の一言に尽きる形になってしまうということです。

 

最後に

 

いろいろ書きましたが、いずれにしてもスピンオフ銘柄に対する投資可否判断は、やはり銘柄毎の事業内容次第だと言え、その意味では今回報道されたファイザーのスピンオフ検討案件に関しては、一定の投資価値があるような気がしています。

 

しかしながら、本題から逸れた問題ではありますが、上記に書いた通り一般口座へ振り替えられてしまうという、面倒くさがりな私にとっては大問題が発生してしまうため、正直なところどんなに有望なスピンオフ銘柄であっても投資することはないでしょう。

 

つまり、それがどういうことを意味するかと言うと、ファイザーがスピンオフを決定した段階で、本意ではありませんがファイザーを全て売却する決断をする可能性が高いということです。

 

恐らく不可能だとは思いますが、そうなる前にSBI証券がスピンオフの特定口座対応を実現してくれることを祈ります。